特集

2006.01.31 Special Issue No.11

ミレニアム目標(MDGs) 貧困を終わらせる世界のリーダーたちの約束

教育や衛生に力を注ぎ、国民の生活レベルを改善して命を救うか、
あるいは一部の人の利益を優先するために争い、人々を苦しめて命を奪うか――。

国家の政策は、その国に住む人々の生命や人生を大きく左右します。
つまり政治的リーダーたちの意志と行動は、国や国際社会の仕組みを変え、
多くの人々の命を救うための重要な鍵です。


2000年の約束から5年、期限まではあと10年

2000年、国連ミレニアムサミットにおいて、すべての加盟国によって「ミレニアム開発目標(MDGs)」が採択されました。世界のリーダーたちは、貧困を終わらせることを各国の共通目的として掲げたのです。

MDGsでは、2015年の期限までに達成できると判断された8つの目標と18のゴールが定められました。進み具合を確かめるための指標も決められ、過去の宣言に比べて「実現させること」を重視しているのが特徴です。

また、「貧困との闘いは世界の共同作業であり、すべての国がその結果から利益を享受する」という考え方が示されたことも大切なポイントです。開発途上国も先進工業国も、ともに努力し合うことが貧困の解決には不可欠という認識が、確かなものとなりました。 ミレニアムサミットから5年が経った今、これまでの成果とこれからの課題のいくつかを確認してみましょう。

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ミレニアム開発目標(MDGs)
目標1 とてつもない貧困と餓えをなくそう
目標2 みんなが小学校に通えるようにしよう
目標3 ジェンダーの平等を進めて女性の地位を向上させよう
目標4 子どもの死亡率を減らそう
目標5 女の人が健康な状態で妊娠し、子どもを産めるようにしよう
目標6 HIV/エイズ、マラリア、その他の病気が広がるのを防ごう
目標7 環境の持続可能性を確保しよう
目標8 世界の一員として、先進国「も」責任を果たそう


貿易の落とし穴 格差が生まれるシステム

目標1 ゴール1:とてつもない貧困と飢えをなくそう

アジアでは前進。しかし、世界的には目標達成は困難との予想も。
世界30ヵ国以上で、1日1ドル未満で生活する人の割合が、過去10年間に25%以上減少しました。特に、アジアにおいて大幅に減少していることが目に付きますが、30ヵ国のうち14ヵ国は飢餓と栄養不良が最も深刻なサハラ以南のアフリカ諸国です。

しかし、サハラ以南のアフリカ全体を見渡すと残念ながら悪化しています。何百万人もの人々が10年前より貧しくなってしまいました。人口増加、雇用の不足、低迷する農業、そしてHIV/エイズなどが主な原因です。また、世界的にも1日1ドル未満で生活する人の割合が減少する速度は遅くなっています。この目標の達成は、このままでは困難と予想されています。より一層効果的な取り組みを模索し、実行しなければなりません。

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目標1 ゴール2:栄養不良をなくそう

割合は低下したものの、人数は増加。
世界全体では、栄養不良人口の割合は、21%から18%へ緩やかに低下していますが、人数は増加しています。

現在、健康を維持し、軽い活動に必要な栄養さえも摂ることができない「栄養不良状態」の人々は8億4000万人といわれています。栄養不良人口は、中国、インドネシア、ベトナム、タイ、ナイジェリア、ガーナ、ペルーでは著しく減少しました。しかし、それ以外の開発途上国47ヵ国では停滞しており、25ヵ国では逆に増加しています。

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栄養不良でお腹のはったこどもたち


目標4:子どもの死亡率を減らそう

地域によっては40%以上も減少。サハラ以南のアフリカと南アジアでは、一層の努力が必要
5歳未満の子どもの死亡率は、北アフリカ、中南米、東南アジアでは40%以上も減少。順調に目標達成に向かっているといえるでしょう。

しかし、子どもの死亡数のほぼ半数を占めるサハラ以南のアフリカでは、減少が進んでいません。HIV/エイズの影響が大きいといわれます。また、南アジアでは、貧困が緩和されたにも関わらず、子どもの死亡の約3分の1が集中している状態です。今後は、これらの地域で、集中的な取り組みがされる必要があります。

例えばアフリカでは、安価で安全な予防接種の普及によって、「はしか」の予防接種を受けた1歳児の比率は、90年代の48%から2003年までに62%に上がりました。子どもの死亡の主な原因になっているほかの病気の多くも、簡単で低コストの手段で救うことができます。また、上下水道などの公共衛生サービスの普及や、女性への教育などの政策は、子どもの死亡率の低下に大きくつながります。

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ポリオ(小児麻痺)の予防接種


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