特集

2007.09.03 Special Issue No.15

NGOの基礎力作り~「やりたいけど、できない」から抜け出そう~

NGO=国際協力のプロフェッショナル、という図式が日本でも徐々に浸透してきました。
分野を問わず、その道で高い成果を継続して生みだし続けるのがプロ。
そのためには、すぐれた専門能力はもちろんのこと、それを裏打ちする基礎力が必要です。
国際協力のプロとしてさらなる飛躍を遂げるために。
足元を見つめなおし、改めて基礎力作りに励むNGOの取り組みをご紹介します。


NGOの足腰を鍛える、キャパシティビルディング

世界の都市人口の増加が目を引きます。
世界の人口は1950年から2000年までの50年間で2.4倍(25億人→60億人)になりましたが、同じ期間で都市人口は3.7倍(7億5000万人→28億人)にも増えています。


発途上国を都市化が襲う

世界的に開発途上国という概念が生まれたのは、第二次世界大戦直後のこと。アフリカやアジアの国々が植民地から独立したことがきっかけです。当時の開発途上国に対する世界の共通認識は「新しく誕生したのだから、今はまだ貧しくて当然。国が経済的に成長すれば、先進国に追いつけるはず」というもの。国の経済成長を促すため、インフラなどの巨大公共事業に資本を集中させた、モノ重視の支援が行われてきました。

しかし、戦後60年たっても飢餓・貧困は終わりに近づくどころか、むしろ深刻さを増していきます。大規模な支援を行っても貧しい人にまで支援が行き届かない、作物を作っても生産者の利益に結びつかない不公正な貿易のしくみがある(参考:特集No.12 貿易が作り出す貧困問題)など、問題が山積していたためです。次第に、「飢餓・貧困の原因は不平等な社会の仕組み。先進国にはそのような仕組みを作った責任がある」「飢餓・貧困は開発途上国に住む人々が、自らの手で終わらせるべきだ。そのために、国ではなく人々を支援して欲しい」という声が開発途上国からあがります。開発途上国に住む人々が主体的に飢餓・貧困を終わらせるために、先進国は環境を整えたり、人々の力づけを行うべきという考えです。

NGOを始めとする市民組織は、いち早くこの声に呼応。国から人々へと、開発支援の対象を変えてきました。やがて、開発途上国の人々の自立を重視する考え方が開発支援の中で浸透。NGOは、国家同士の開発支援では手の行き届かない場所にも手が届く存在として、注目を集めます。開発支援の主人公は先進国ではなく、開発途上国であるという認識は今や常識に。開発途上国で自ら飢餓・貧困に立ち向かう人々の能力を向上させる、キャパシティビルディングの重要性が増していきます。


経済成長をもたらした今までの都市化

次に、日本社会におけるNGOの役割の変化を簡単に追ってみましょう。元々は、少数の志を持った人々によるボランティア集団という特徴が色濃かった日本のNGOが本格的な活動を始めたのは、1979年からのインドシナ半島の大量難民流出が問題になった時期です。難民を救出するために、多くの団体が設立されました。その後、支援対象や活動地域の広がりとともに団体数が急激に増していきます。特に1980年からの伸びはめざましく、約50団体から、10年足らずで200団体を超えるまでになりました。また、欧米の国際NGOが日本に支部を置いたり、NGO間のネットワークを構築するNGOが誕生したりと、活動形態にも多様性が出てきます。

1990年代に入り、NGOへの関心はさらに高まります。1995年の阪神大震災では、多くの団体が海外での活動経験を生かした救援活動を実施。1998年に「特定非営利活動促進法」が施行されると、信頼性が向上し、活動がしやすくなるとともに、社会的な認知度も高まりました。2000 年にはNGO、経済界、政府の垣根を越えた緊急支援の仕組み「ジャパン・プラットフォーム」が設立され、アフガニスタンにおける支援事業でNGOが独自性を発揮するなど、NGO=国際協力のプロフェッショナルという認識が、市民の間に広がってきました。

市民から寄せられる質問にも、変化を見て取れます。一昔前の「NGOって何?」という疑問は影をひそめ、NGOとは何かを理解した上で、それぞれの活動分野や団体について深く知りたいという要求が増えています。どんな団体で、どんな人が、どんな支援を行っているのか。使われたお金や労力に見合った成果を出しているのか。市民の期待や疑問に対して明確に答えることは、市民に支えられて活動を行うNGOにとって欠かすことのできない責務となりました。その根幹となるのは、強固な運営基盤に他なりません。


NEXT P2 NGOが抱える5つの課題