特集

2008.02.03 Special Issue No.17

都市化の光と影~人口増加がもたらすさまざまな問題~

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INDEX

世界の人口は1日に20万人近く増え続けています。中でも都市人口が急激な増加を見せ、2007年中に人類の歴史上初めて都市人口が農村人口を上回るといわれています。農村から都市へ。生活拠点の変化は、貧しい人々にどのような影響を与えるのでしょうか。


世界の人口増加を引っ張る、都市部での人口増加

世界の都市人口の増加が目を引きます。
世界の人口は1950年から2000年までの50年間で2.4倍(25億人→60億人)になりましたが、同じ期間で都市人口は3.7倍(7億5000万人→28億人)にも増えています。

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開発途上国を都市化が襲う

農村に比べて都市の人口が著しく増える「都市化」は世界中で見られる傾向です。欧米の国々は19世紀の後半に、日本でも20世紀中盤の高度経済成長期に都市化を経験し、人々の生活の拠点はすでに都市部へシフトしました。現在は、開発途上国の都市人口の急激な増加が、さらなる都市化を促進しています。

例えばHFWが活動するベナン共和国の場合、1950年時点での都市人口・農村人口の比率は1:19。都市で活動する人々は国民のわずか5%しかいませんでした。しかし、2000年になるとその比率は3:4となり、都市と農村の人口の差はごくわずかに。今後、この比率が逆転するのは時間の問題だといわれています。ベナンに限らず、今後の人口増加の95%は、開発途上国の都市部で起こると予測されています。

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南アジア最大級のショッピングモールの前に広がるスラム街


経済成長をもたらした今までの都市化

欧米や日本で都市化が進んだ大きな理由は、経済成長にともない、都市に雇用だけではなく娯楽・情報、医療や教育の機会が集中したことです。成功の可能性を求めて、多くの人々が都市への移動を選びました。これらの人々は経済活動が活発な都市部での人材不足を補い、さらなる経済の発展をもたらしました。

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建設ラッシュ
(バングラデシュ首都ダッカ)


経済のグローバル化も関係

しかし、現在の開発途上国で、かつての欧米や日本のような経済成長の段階にある国は多くありません。それでも、農村に住む人々が都市へと向かう原因は何なのでしょうか。

そもそも農村に住む人々は、自分たちで育てた農作物や家畜を食べたり、販売して現金収入を得ることで生活を営んできました。ところが、日照りが続いたり、土地がやせてしまったことなどが原因で収穫が減少。また、経済のグローバル化によって外国から安くて質のよい農作物が輸入されるようになったことで、生産性の低い農作物の価格や売れ行きは下がり、現金収入も減る傾向にあります。

家族を守るためには、どうにかして収入を確保する必要があります。しかし、農村には農業以外に収入を得られる産業がありません。そこで、働き手が新しい可能性を求めて都市へと移動しているのです。


満たされるのは、一部の富裕層だけ

開発途上国の都市でも、高層ビルや大型の商業施設などを見ることができます。しかし、それは都市が持つ一面に過ぎません。大規模なスラム街が生まれたり、ストリートチルドレンが増加するなど、以前に比べて飢餓・貧困は深刻さを増しているといわれます。

中でも問題なのは、多くの人々が食料を十分に手に入れられていない点です。都市では現金によって食料を購入する必要がありますが、開発途上国の都市には人口に見合うだけの十分な雇用がなく、国による社会保障のしくみも十分に整っていないため、安定した現金収入を得られる人が限られていることが原因です。

多国籍展開するスーパーマーケットの進出や食料輸入の増加によって、流通する食料の量や種類も増え、食生活の幅も広がりつつあるなど、人々の生活は豊かになったかのように見えます。しかし、それらを口にすることができるのは、一部の富裕層だけ。貧しい人々は食事を口にすることなく、今日も眠りについています。


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