特集

2008.05.01 Special Issue No.19

気候変動と飢餓~明日のエコでは間に合わない?~2

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温暖化は人類が招いた人災
私たちは、今、現状を変えるための行動をとる必要があります。

これまで世界では、「地球温暖化は人間が引き起こしたものなのか、それとも自然現象なのか」という議論が続けられてきました。しかし、ここ数百年の気温の変化は自然現象だけでは説明できず、人類が排出した二酸化炭素などの温室効果ガスによる影響を加えることで、ほぼ正確なシミュレーションができることがわかりました。


毛布をかぶった青い星

地球をすっぽりと包む大気の中には、二酸化炭素などの温室効果ガスがわずかだけ含まれています。温室効果ガスの役割は、太陽からの熱を閉じ込めて地表を温めること。その働きのおかげで地球の平均気温は、私たちや動植物に快適な 15℃に保たれています。温室効果ガスは、地球を寒さから守る毛布のような存在といえます。

毛布が厚くなる、つまり、温室効果ガスの濃度が上がると、地球の気温は高くなります。20世紀に入ってから、温室効果ガスの濃度はどんどん高くなってきています。これは、18~19世紀の産業革命を境に私たちが石油や石炭をたくさん消費して、二酸化炭素をよりたくさん排出するようになったためです。温暖化問題で最も権威のある科学者のグループ「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、2007年に発表した報告書で「温暖化は自然現象ではなく、人類が招いた人災」と断定しました。


先進国でも対応できない大規模な自然災害

産業革命前と比べて、現在の平均気温は0.74℃高くなりました。一見、たいしたことのない数字に思えるかもしれません。しかし、オーストラリアでの干ばつや、フランスで猛威を奮ったヨーロッパの熱波、アメリカのニューオーリンズを襲った巨大ハリケーンなど、先進国でも対応できないほど大きな自然災害の発生には、温暖化が関係しているといわれます。それだけではなく、氷河が溶け出したことによる海面の上昇や生物種の減少、感染症のリスクが大きくなるなど、自然界にはさまざまな異変が見られます。

二酸化炭素の排出量は、今でも増え続けています。さらなる温暖化が進んだ場合、世界の食料事情にはどのような影響が出るのでしょうか。


小規模農民は自然環境の変化に対応できない

赤道から遠い高緯度にある国の場合、3℃までの上昇であれば農作物の生産高が増えるといわれています。寒さがやわらぐことで生育可能な期間が長くなるなど、農作物にとって環境がよくなるためです。
一方で、赤道に近い低緯度の国では、1~2℃気温が高くなるだけでも生産高は減ってしまうといわれています。元々気温が高く、乾燥することが多いこれらの国々では、農作物の多くがさらなる温度の上昇に耐えられないためです。

赤道の近くにあるアジア・アフリカを中心とした開発途上国では、温暖化による影響がより大きく表れます。なぜなら、アフリカでは小規模な農民の95%が水源を雨水に頼っているといわれるように、こうした地域では多くの農民が自然資源に頼って農業を行っているためです。また、先進国では品種改良や灌漑施設を設けるなどの対策が取れますが、技術や十分な資金を持たない貧しい人たちは、生産高の低下をただ眺めることしかできません。

自給自足の生活を営む農民が多くいる一方で、開発途上国の多くは主食となる穀物を海外からの輸入に頼るという、構造的な問題も抱えています。食生活の変化によって、自国では生産できない食品の消費が増えていることもありますが、植民地時代に支配国から換金作物(※)の生産を押しつけられたという歴史的な背景も関係しています。穀物の生産量が減ると、輸出される穀物も減るため貿易が滞ります。日本のように資金のある国が競って買い集めたら、開発途上国には手が届かなくなってしまうでしょう。

※ 換金作物:サトウキビ、ゴム、タバコといった、自分たちでは消費しない、お金を稼ぐためだけに作られる作物のこと

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雨水で農業を営むアフリカの人々


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