特集

2008.05.01 Special Issue No.19

気候変動と飢餓 ~明日のエコでは間に合わない?~3


先進国の責任

求められる、先進国の責任

このまま何も対策をとらずに経済成長を続けた場合、2100年には気温は4℃(最大6.4℃)も上昇してしまうといわれています。しかし、食料以外へのさまざまな影響も考えると、私たちは気温の上昇を2℃までに抑える必要があります。

2℃を超えた場合、飢餓、水不足、マラリア、洪水の危険にさらされる人口が大幅に増えるためです。それを防ぐためには、2050年までに世界の二酸化炭素排出量を50%減らすという、高い目標を達成しなくてはなりません。

求められるのは、先進国に住む私たちが責任を果たすことです。これまでに排出した二酸化炭素量を見てみると、7割がごく一部の先進国によるもので、開発途上国による排出はたったの3割だけです。また、最近の二酸化炭素排出量を国別に見てみても、多くを先進国と中国、ロシア、インドなどの新興国が占め、1人あたりの排出量では先進国が群を抜いています。

先進国が温暖化を招いたにもかかわらず、被害は開発途上国に集中するのです。先進国が変わらなければ、未来を変えることはできません。

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バングラデシュでは洪水被害が深刻


先進国の約束「京都議定書」と2008年

「京都議定書」という、2005年に発効された先進国による温暖化を防ぐための国際的な取り決めがあります。掲げた目標は、先進国全体で2008~12年の間に温室効果ガスの排出を1990年比で5.2%削減すること。国ごとに異なる目標が設定され、日本は6%を減らすことを約束しています。

こうした背景を受けて、日本では京都議定書の目標を達成するための国民的プロジェクト「チームマイナス6%」がスタートしました。身近にできるちょっとしたことにチームで取り組むことで京都議定書の目標達成を目指すこのプロジェクトの参加者は、累計で200万人以上(個人・団体)。しかし、日本の温室効果ガス排出量は年々増え続け、2005年の排出量は基準となる1990年と比べて7.8%も増加してしまっているのが現状です。

世界では、一番の二酸化炭素排出国でありながら京都議定書に参加していないアメリカや、影響が大きくなりつつある中国やインドなどを、京都議定書の効力が終わる2013年以降に、どのように位置づけていくかという課題もあります。2007年12月にバリで行われた国際会議では、利害関係が衝突したものの、2009年末までに今後の行動計画を作ることが合意されました。一方で、この会議で日本政府の後ろ向きな姿勢は各国から大きな批判を浴びました。

2008年7月に行われる北海道洞爺湖G8サミットでは、気候変動問題が議題に上ることが決定しています。日本政府にはホスト国として、脱温暖化に向けたリーダーシップを取ることが求められます。

二酸化炭素の国別排出量

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二酸化炭素の一人あたりの排出量(トン)

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出典:エネルギー・経済統計要覧2007年度版/日本エネルギー経済研究所


温暖化はすぐに止められない

もし、世界中が「温暖化を止めよう」と決めて、私たち全員が温暖化を止めるための取り組みを始めたとしても、実際に大気中の二酸化炭素量に影響を与えるまでには時間がかかります。

例えば、自動車について考えてみます。日本人は平均約11.5年で車を新しく買い替えます。その後、日本での役目を終えた自動車はアジアやアフリカなどに輸出され、さらに10年以上は現地の貴重な足として活躍します。つまり、環境に配慮した最新のモデルが作られていても、世界では10年以上前のモデルが一番多く走っているということになります。このことは、自動車だけではなく、工場や発電所などの設備や製造技術などについても同じことがいえます。

また、明日からまったく二酸化炭素を出さなくなったとしても、温暖化をすぐに止めることはできません。なぜなら、一度放出された二酸化炭素は数十年から200年間は大気の中にとどまっているため、昨日までに私たちが出した二酸化炭素が温暖化を進めてしまうのです。

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輸出され走り続ける日本車


“明日のエコ” が間に合わなくなる前に

温暖化を止めるには確かに長い時間がかかります。だからこそ、種をまかなければ芽が出ることはないように、いま取り組みを始めなければ現状は変わりません。そして、温室効果ガスを吸収する大気には国境がありません。言い換えれば、どこでも、誰でも、二酸化炭素を減らすことは、地球の脱温暖化につながります。

すぐには変えることができないから手をつけないか、時間のかかることだから今始めるか。あなたはどちらを選びますか。

世のなかにあるモノの耐用年数

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出典:総務省ホームページより抜粋