特集

2009.08.01 Special Issue No.25

トイレが守る、命と尊厳 2

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INDEX

支援が進む「水」と、立ち遅れる「トイレ」

こうした中、国際社会はミレニアム開発目標(MDGs)の中で「安全な飲料水及び基礎的な衛生施設(トイレ)を継続的に利用できない人の割合を2015年までに半減する」という目標を掲げています。

1990年~2006年には、安全な飲み水を利用できる人の割合が76%から87%に、衛生的なトイレを利用できる人の割合が50%から62%に増えました(世界子供白書2009)。

これをMDGsの目標と照らし合わせてみると、水の普及目標88%については順調に進んでいますが、トイレの普及目標75%の達成は遅れています。また地域差もあり、サハラ以南アフリカでは水の目標達成が2040年、トイレの目標達成が2076年になってしまうという試算が出ているなど、まだまだ努力が必要だということがわかります。

ユニセフは年間95億ドル(約9500億円)の資金が確保できれば、トイレの目標を達成することができるとしています。さらに、世界保健機構(WHO)は、トイレ設備に対する投資によって、貧困地域に暮らす人々の健康改善が進み、平均で投資額の9倍の経済効果が見込まれるとしています。衛生的なトイレの普及は、決してコスト高で実現不可能なことではないのです。

世界中の人々が衛生的なトイレを利用できるようになるためには、その重要性が開発途上国と先進国それぞれに浸透しなければなりません。そして、開発途上国政府が学校など公共施設をつくる際には必ずトイレを設置する、先進国や国際機関、NGOが行う水と衛生分野の支援では必ずトイレのニーズを認識し支援を行うなど、政策や支援方針の中にしっかりトイレを位置づけていくことが必要です。

ウガンダのカブブ区でHFWが建設した公衆トイレ

衛生的なトイレを利用する人の比率(2006年)
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地域住民、行政、NGOが協力してトイレ環境を整備

HFWはウガンダのワキソ県5区25ヵ村で、井戸や公衆トイレの建設を行い、住民の衛生環境の向上に務めています。

これまで、同県の調査によれば県内のトイレ普及率は衛生的ではない物を含めても約30%と、人が多く集まる市場や教会の周辺はふん便で汚れていました。そこで、2002~2005年にかけてHFWが設備を改善した小学校5校に男女別の衛生的なトイレを設置したほか、2008年度には外務省の日本NGO連携無償資金協力の資金を得てカブブ区7ヵ村で7ヵ所の公衆トイレを設置しました。

これらはウガンダ政府の公衆トイレ基準を満たすことで、メンテナンスに地域行政の援助を受けることができ、またしっかりした造りにすることで長期間使えるようにしました。地域住民に対し、トイレを清潔に保つことの重要性や、管理方法を伝える研修も実施。住民自身が管理人を選定し、使用料を集めて管理費に充てています。

今後は井戸と公衆トイレの増設を進めるとともに、小学校で子どもたちに手洗いとトイレ利用の啓発教育を行います。地域住民、行政と連携しながら、さらなる衛生環境の改善を図っていきます。

以前に小学校で使われていた、竹壁のトイレ

HFWが建設したコンクリート造りのトイレ

参考:水と衛生に関するMDGs達成に向けて-都市部・村落部での挑戦の10年-(WHO、ユニセフ)、世界子供白書2008/2009(ユニセフ)、ニュー・インターナショナリスト日本版No.102「途上国のトイレ事情」(ニュー・インターナショナリスト・ジャパン)、世界保健白書2009(WHO)、外務省ホームページ


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