特集

2010.12.01 Special Issue No.30

食べ物を捨てる私たち ~どうしたらムダをなくせるの?~

2009年、飢餓人口が史上最多の10億人を突破しました。一方、世界の食料援助量の約3倍の1900万トンの食料が日本で廃棄されています。そのうち、まだ食べられるのに捨てられてしまうものが500万~900万トンもあります。

2010年8月に農林水産省が発表した日本の食料自給率(カロリーベース※)は40%。私たちは、食料の多くを海外からの輸入に頼っています。一方で、年間の食料廃棄量は1900万トンと、日本で1年間に消費している食料9100万トンのうち2割以上も捨てています。私たちは、なぜ食べ物を捨てているのでしょうか。

※カロリーベースの自給率には、肉や乳製品など畜産物の飼料(主に穀物)の自給率も反映される。日本は飼料のほとんどを輸入に頼っている。

きちんと食べている? ~日本の食料事情~

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  食品ロスとなっているもの 発生量
小売店から ◈ 新商品販売や規格変更に合わせて店頭から撤去された食品(定番カット食品)
◈ 期限切れなどで販売できなくなった在庫
事業系
300万~500万トン
食品メーカーから ◈ 定番カット食品や期限切れ食品などの返品
◈ 製造過程で発生する印刷ミスなどの規格外品 など
レストランなどの飲食店から ◈ 客が食べ残した料理
◈ 客に提供できなかった仕込み済みの食材 など
家庭から ◈ 食べ残し
◈ 冷蔵庫などに入れたまま期限切れとなった食品 など
家庭系
200万~400万トン

出典:「食品ロスの削減に向けて」農林水産省ホームページ


食べられるのに、食品ロス

本来食べられるにもかかわらず捨てられている食料のことを、「食品ロス」といいます。期限切れの食品や食べ残しや余った食材など、年間500万~900万トンにものぼります。では、食品ロスはどこで発生しているのでしょうか。スーパーやコンビニ、飲食店などから出る「事業系ロス」と、家庭から廃棄される「家庭系ロス」の二つに分けられます。

事業系ロスには、小売店が仕入れたものの期限切れで販売できなくなった在庫品や、メーカーによる容器に印字ミス品などがあります。このほか、流通の事情から廃棄が生まれることがあります。三井総合研究所によれば、廃棄の理由として1/3ルールを挙げるメーカーが多かったといいます。1/3ルールとは、賞味期限を「メーカー・卸問屋」「小売店」「消費者」で3分の1ずつ均等に分けるもの。たとえば賞味期限が1年(12ヵ月)の場合、メーカーから小売店への納入期限は製造日の4ヵ月後まで、つまり期限が8ヵ月以上残っているものしか受け取ってもらえません。小売店の販売期限は製造日の8ヵ月後まで。そのため賞味期限まで4ヵ月を切ると、販売をやめ、卸問屋やメーカーに返品するという暗黙のルールです。このルールが、小売・卸からの大量の返品を生み、廃棄の原因となっているというのです。

家庭系ロスには、食事の食べ残し、冷蔵庫に入れたまま期限切れになってしまった食品、口に合わずに捨ててしまった食品などがあります。そのほか、厚くむきすぎた野菜の皮、食べられるのに使わなかった大根の葉っぱなど調理中に捨てられる食材があります。農林水産省の調査によれば、家庭での一日一人あたりの食品ロスは42.2グラム。これを一年間に換算すると一人あたり約15キログラムにもなります。

事業系ロスが圧倒的に多いと思われがちですが、農林水産省によれば事業系食品ロスは300万~500万トン、家庭系食品ロスは200万~400万トンと試算され、家庭からの食品ロスも意外に多いことがわかります。


私たちの食べ方にあわせて、捨てられていく

事業系食品ロスには、私たち消費者の嗜好も関係しています。傷がある商品は売れないため、事業者は、食べる上では問題がなくても処分してしまいます。

また、消費者の24時間いつでも・いろいろなものを選んで食べたいというニーズに応じるため、コンビニなどの小売店では、大量仕入れをしている場合もあります。他にも、次々と発売される新商品を並べるために、棚から古い商品が撤去され、処分されていきます。

このように、ほとんどの人にとって「食べられること」が当たり前の日本では、「お腹を満たす」という食欲以外の欲求によって、食べ物が扱われ、その結果、たくさんムダになっているのです。

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豊富な品ぞろえの裏で、捨てられていく食品も


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