特集

2011.03.01 Special Issue No.31

貧困を終わらせる。世界と私たちの約束~あと5年。私たちにできること~

2000年に、世界のリーダーたちが2015年までに貧困を半減することなどを約束した、ミレニアム開発目標(MDGs)。約束から10年が過ぎても、世界では4人に1人が1日1.25ドル以下で暮らしています。
期限まで5年を切った今、私たちは目標までどの段階にいるのでしょうか。

2010年9月20~22日、ニューヨーク国連本部でMDGsを振り返るサミットが行われ、これまでの成果と進捗状況が確認されると同時に、今後への取り組みが話し合われました。日本政府は、菅直人首相をはじめ、前原誠司外務大臣、外務省関係者、そしてNGO関係者などからなる政府代表団を派遣。サミット本会議場では、首相自ら、今後5年間で教育と保健分野に85億ドル(約7200億円)を投入すると表明し、その様子は日本国内でも報道されました。


そもそも、MDGsってどうして生まれたの?

現在の進捗と今後の課題を考えるまえに、そもそも、MDGsとはどんな背景から生まれてきたのか、その成り立ちと特徴をおさらいしてみましょう。

1990年代後半、世界全体としての経済は成長したものの、先進国と開発途上国の格差は広がるばかり。一つの地域や国のなかでも貧富の差が確実に広がっていました。そのために、内戦や紛争が発生する地域も多くありました。このまま経済発展を第一としていては、世界は混乱してしまう、地球に暮らすすべての人が貧困から抜け出し、人間らしく生きていくことをめざすべきだ―。2000年9月、ニューヨークで開催された「国連ミレニアム・サミット」に参加した189の加盟国代表は、21世紀の国際社会の目標として国連ミレニアム宣言を採択しました。平和と安全、開発と貧困、環境、人権とグッドガバナンス(良い統治)などを課題として掲げ、貧困のない21世紀に向けて協力しようという意思が示されたのです。

そして、この国連ミレニアム宣言と1990年代に開催された主要な国際会議やサミットで採択された国際開発目標を統合し、1つの共通の枠組みとしてまとめられたものが「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)」です。MDGsは、2015年までに達成すべき8つの目標を挙げています。


一つの分野ではない、一つの国ではない、みんなの約束

そしてMDGsには、いくつかの大きな特徴があります。一つは、貧困、飢餓、教育、保健など、さまざまな問題が複雑にからみあっている現実を見据え、何か一つの問題の解決に絞るのではなく包括的な解決を進めようとしていること。たとえば、教育を受けられなかった子どもは大人になってなかなか職に就けない、職に就けないため貧困に陥る、貧困のため食べ物が買えない、栄養が足りず病気になる、医療費が支払えず病院に行けない。そういった負のサイクルは、所得向上だけ、教育の普及だけ、と一つの分野に集中していては断ち切れないのです。そこで、同時にすべての解決をめざそう、という枠組みができあがりました。

また、2015年という明確な期限を決め、各目標にはっきりと数値を入れることで、進捗や達成度合いをはかりやすくした点も画期的です。 もう一つの特徴は、世界189ヵ国、つまり先進国と開発途上国が共に努力することを約束したこと。先進国には、目標達成のための資金の拠出や効果的な援助政策、技術の革新など、開発途上国には、8つの目標分野に国内の予算を振り向け、質のよい公共政策を実施するなどの努力が求められています。

このように、そもそもMDGsは各国代表が約束してできあがったもの。世界が約束した、いわば公約のようなものです。では、各国の政治家に任せておけば、目標は達成されるものなのでしょうか。政治家ではない私たち一人ひとりに、どう関係することなのでしょうか。

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HFWが支援するべナンの幼稚園。幼児教育は、初等教育への基礎となるだけでなく、給食による栄養改善や健康診断を受ける機会にもなる。このように、ひとつの支援がいくつもの分野にまたがることは多い

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