特集

2011.09.01 Special Issue No.4

わが家の食卓から見る世界の食料事情 2

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INDEX

世界的な食料不足が起きるその前に。私たちにもできること。

2050年世界の人口は89億人。日本でも食料が不足 !?

均等に行き渡っていないという問題はあっても、現在、世界では人口63億人が生きていくのに十分なだけの食べ物が生産されています。穀物生産量(18億5000万t)だけを見ても、世界中の人に必要な量の約1.7倍です。

しかし、世界の人口は、開発途上国を中心に激増しており、現在の63億人が2050年には89億人に達すると予測されています。また、今後は開発途上国で消費水準の向上が見込まれていることから、世界の食料需要は、人口増加以上の伸び率になると考えられています。

一方で、世界の耕地面積および穀物収穫面積は、ほぼ横ばいで推移しています。また、食料増産のために使われてきた化学肥料や農薬も土や地下水を汚してしまうために、これまでのように使用できません。人口増加に対して食料生産が大幅に増加する可能性は低いのです。

今はあらゆる食品が手に入る日本さえ、将来は食糧が不足することが考えられます。

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輸出に頼らない途上国、輸入に頼らない日本を創ろう

私たちには、現在の配分の不均等と将来の世界的な不足という食料問題を解決するために、何ができるのでしょう。

今、食料が不足している地域に、食料を援助すればいいのでしょうか? しかし、輸入している食料を援助しても、問題の根本的解決にはなりません。さらに、支援先の人々は、食料をもらえることに頼るようになってしまいますし、援助による経済的負担にも限界があります。貧しい人々が自らの食料を生産し、自分たちで食べられるようにしなければなりません。世界では、さまざまな農業技術の開発や普及への取り組みが行われおり、このような活動の支援は不可欠です。

そして、同時に輸入に頼らない日本になるための努力も必要です。身近にあってできることは、できる限り国産品を食べる、必要な分だけ買って食べ残しをしないなど。 また、形が揃ってなくてもいいと考えを変えて、農薬が使われていないものを買うことで、各地で行われている土地に負担が少ない農業を応援することができます。

今日の献立を考える時から、世界のために始められることがたくさんあります。

参考:国連食糧農業機関(FAO)、WFP、農林水産省『ジュニア食料・農業・農村白書』、食糧庁『知っていますか? 私たちのごはん!(平成15年度版)』


アフリカの軌跡 “ネリカ米” HFWウガンダも2004年度から取り組み開始

稲作農家の収穫高を50%も増やす可能性を持ったネリカ米(NERICA=New Rice for Africa:アフリカのための新しい稲)は、病気・乾燥に強い西アフリカ在来種と収穫の多いアジア種の稲を交配させた新品種です。日本政府と国連開発計画(UNDP)、アフリカ開発銀行、アメリカ国際開発庁、FAOおよびロックフェラー財団の共同支援により、西アフリカで1994年に開発されました。アフリカでの「貧困対策と食糧安全保障の切り札に」と大きな期待が寄せられています。

西アフリカ稲開発協会(WARDA)での実験的栽培に始まり、ベナン、コートジボワール、ガンビア、ギニア、マリ、ナイジェリア、トーゴという7つの試験栽培国から、現在ではウガンダ、ルワンダ、タンザニアなど、東部アフリカの国々へと広がりつつあります。

HFWウガンダでも、2004年度からネリカ米の試験的な生産普及事業を計画中です。生産技術を普及する指導員の養成はウガンダ政府が行うなど、政府と協力しながら推進していきます。

ネリカ米の特徴

  • 在来種が収穫までに140日かかるのに対し、ネリカ米は90日で収穫ができる
  • 稲穂1本あたりの米粒が在来種の75~100粒に対し、ネリカ米は400粒
  • 乾燥に強く、年間降雨量が500~600mmしかないサバンナ地域でも栽培が可能
  • 病害虫や雑草に強いため、草取りの労力が従来の3分の1~4分の1ですむ
  • たんぱく質の含有率が在来種の6~8%に対し、ネリカ米は9~10%と高たんぱく
  • 参考:アフリカ開発会議(TICAD)、農林水産省


    さまざまな種類、 そして持続可能な食料の生産を(HFWマラウィ)

    2001年に起こったマラウィの飢饉では、地域が食料をメイズ(トウモロコシ)だけに頼っていたために、被害が深刻化しました。
    そのため、翌年7月から、HFWマラウィはチョロ州で食料安全保障プロジェクトを始めました。住民の要望に応えて、さまざまな食料の生産トレーニング(乾燥に強いキャッサバやサツマイモ、養魚、ウサギ飼育など)や灌漑農業の導入を実施しています。

    さらに、持続的に作物を収穫できるよう土壌環境の改善も考慮し、有機農法や農作物と一緒に低木を植えるアグロフォレストリーの研修も行います。長期的な環境改善のほかに、堆肥を使うことで住民が高価な化学肥料を買わずに済むこと、アグロフォレストリーで植えた木を薪にできるため薪を集める女性の労働が軽減されるという効果も期待できます。

    アグロフォレストリーの研修 有機農業を実践

    熱心に受講する村人たち