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 現場レポート4:バングラデシュ

インターン日記  [ 滞在期間:2005年8月9日〜2005年9月23日 ]

9月15日:ささやかなバングラの日常風景(1)
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バングラデシュ滞在も終盤に近づきました。 今回は日常に見るささやかなバングラ風景をお伝えします。
ゲスト席にボシェン
「どうぞお座りください」「いえいえ、どうぞあなたが……」
外国人である私はどこへ行ってもゲスト。行く先々で必ずといっていいほど「ボシェン」という言葉をかけられます。ひと通り挨拶が済むと「ボシェン」。これは、「お座りください」という意味です(丁寧語)。
来訪者に対してくつろいでもらうために腰を掛けてもらうのは、何ということのない万国共通の作法ですが、バングラ・ホスピタリティはその対応のスピードが違います。ゲストが部屋に入ってくるや否や、ガタンと立ち上がり席を譲る。ゲストの側もホストに座ってもらおうと「ボシェン」と応じる。農村を訪れても家の庭まで椅子を運んできてくれて、「ボシェン」。大人数でピクニックのように地面に腰を落ち着かせてお昼を食べるときも、御座を敷いて、「ボシェン」。 このやり取り、どこかで見たことあるなと思ったら、日本の会社の接待そのもの。「ボシェン」のやりあいを2、3回繰り返す様子を見て、日本が懐かしくなってしまいました。

無造作ヘアーと無精ヒゲの私、モテナイ君!?
イスラム教が国教のバングラデシュでは、立派なヒゲを蓄えたおじいさんを見かけることも珍しくありません。
しかし、聞いたところによると、若者の間ではヒゲは歓迎されない模様。女の子の受けもよくないそうです。確かに周りの青年たちは肌をきれいに整え、髪の毛も分け目くっきり、見た目さっぱり。
知り合った学生は私に向かって、「なんで髪の毛の分け目がないの?」と怪訝な顔。日本では無造作ヘアーがいいのに〜。しかも、バングラデシュ滞在中の2ヵ月弱、ヒゲに剃刀を入れることなくずっと伸ばし放題にしていたのです。そんなわけで私はかなりモテナイ君であったことを最近知りました。もったいないことをした……。
ちなみに、オランダ人インターン仲間の体験談によると、床屋での散髪(顔剃りを含む)は30分で破格の10タカ(約20円)! 世界でトップクラスの安さであること間違いなしです。

9月18日:ささやかなバングラの日常風景(2)
英語授業を受ける次世代バングラっ子たち
英語(?)が反乱するダッカ
バングラデシュでは知識人のステータスとして会話の中に英語を織り交ぜます。
だから、ベンガル語の会話を聞き流していると、時々はっとさせられます。英語が突然交ざるからです。日本の外来語と違って、ベンガル語の場合はひとつの文章が丸ごと英語で飛び出します。そこで、「お、英語で話し始めてくれたのか」と期待すると、次の瞬間はベンガル語に逆戻り。
国内の英語の浸透は、ダッカ市内に多く見られる「English Medium」が大きな役 割を担っているようです。これは英語のみで授業を行う小学校のこと。しかし、そ こで勤務する先生と話したところ、英語よりもベンガル語の大切さを力説されました……!
国際社会において英語の習得は重要ですが、同時に母国語を大切にする風潮はどこも同じようですね。

脱げばお値段丸分かり!
バングラデシュ滞在中、改まった席以外はほぼサンダル履きで通しました。こうも暑くて湿気が多く、雨期などぬかるんだ道を歩くにはサンダルが一番便利です。
街にはたくさんのサンダル屋があり、なかでも「Bata」というチェーン店はダッカから地方の町々まで全国展開しています。けれども私は、どうもそのサンダルを買う気になれませんでした。
というのも、サンダルの内側に「Tk600」と値段が「印刷」されているからです。これじゃ脱いだ時に値段が大バレ! それとも気にしないのでしょうか?
さて、そうしたサンダルは皮製が大部分を占めます。国立の皮加工専門大学に通うユース・エンディング・ハンガーのメンバーによれば、バングラデシュの輸出品目第3位は皮(加工前)とのこと。現在、加工は外国に頼っていますが、将来的には国内で加工を施し、完成品の輸出を伸ばして付加価値を付けていきたい、と彼は意気込みを語ってくれました。

9月22日:バングラデシュお役立ち情報をお届け!
バングラデシュを去る日ももう間近。
最後に、いつかこの国を訪れる方々のお役に立つような情報をお届けしたいと思います。
手で食べるのが日常
食事のときは、よくかき混ぜる!
バングラデシュでは手を使って食事をします。それも右手だけで。
左手は不浄の手とされ、直接料理を手にすることはなく、ロティ(ナンのようなもの)も 右手のみでちぎって食べるのです。私は手での食事にすぐに慣れましたが、なぜ手で食べるんだろうとずっと疑問に思っていました。
現地の人をよく観察していると、その理由がだんだんわかってきました。おそらくスプーンよりも箸よりも、よく「混ぜる」ことができるため。日本人はご飯に対してカレーをたっぷりかけますが、現地の人は少量のカレーを本当によくかき混ぜて(時には練るように)、味がまんべんなく行き渡るようにします。
HFWの現地職員に真相を訊ねたところ、この推測はあながち間違いではないとのこと。お米は昔から収穫量が多いので、できるだけ少ないカレーで多くのお米を食べるために一番適していたのが、手による食事だったのかもしれません。
もう一つ理由を挙げるとすれば、「迅速に」食べるため。みんな、黙々と手を動かし超特急で平らげていきます。見ている方も急かされる……のですが、私はバングラデシュの料理がどれもおいしかったので、ゆっくりといろいろな種類のカレーを食べ比べていました。

バングラデシュでなぜルピー?
バングラデシュでの買い物では値段交渉が不可欠。「コト・タカ?(ベンガル語で、いくら?の意)」と交渉開始すると、「30ルピー」と返ってくることがあります。ん、ルピー?
“ルピー”はインドの通貨。バングラデシュは“タカ”のはずです。レートを利用した新手のぼったくり手法か? と最初はかなり身構えましたが、“ルピー”で値段を伝える店は珍しくないし、“タカ”で支払っても何も言いません。どうやら、ぼったくりというわけではなさそう……。そして、“ルピー”と“タカ”の混同は、外国人に物を売る時だけ現れるようです。
現地職員曰く、「英語でタカをルピーと呼ぶと勘違いしているのだろう」とのこと。バングラデシュにいながらインド気分。ちなみに「30ルピー」の値段に合意して「30タカ」を手渡したところ、何の問題もなく買い物することができました。

9月25日:ダッカ最大規模のスラムを訪問
明るい子どもたち
写真撮影はNGといわれ……
出発の前日、現地職員にお願いしてダッカ市内にあるスラム(貧困街)へ連れて行ってもらいました。
巨大な水溜りの上に広がるダッカ最大規模のスラムは、HFW事務所からリキシャで約20分。リキシャに乗車中、現地職員に「なるべく写真は撮らないように」と念を押されてしまいました。HFWはスラムで直接的な活動は行っていません。スラムの住人たちにとって私は完全に「外」の人です。
また、多くのNGO関係者や行政担当者がスラムを訪れるようですが、状況がさほど好転しないことへの住民の不満もあるようです。

劣悪環境を目の前に、無力さを痛感
さて、竹を組み合わせただけの簡単な通路を通ってスラムの中へ。足元にはゴミや生活廃水で汚濁した水が広がり、水面には気泡が上がっています。通路の両側に立ち並ぶ住居は、狭く薄暗い室内にベッドがひとつ置いてあるだけのようです。
スラムのすぐ横の土地では、高級マンションを建設中でした。不動産会社はスラム周辺の土地の買占めを進めており、これを政府が後押ししているとのこと。スラムの住民はまた次のところへ移動しなければなりません。
このように、スラムに暮らす人たちの居留期間が1〜2年と短く、継続して支援することが出来ないのも、NGOなどによる活動が立ち行かない要因のひとつだそうです。

地方の村でも貧困を目にしてきましたが、スラムの状況が最も悪いと感じました。現場にいながらにしてまったく無力な私。30分もたたずにスラムを後にしました。

9月30日:最後の報告
海岸の夕焼け
6週間過ごしたバングラデシュを発ってから早一週間
ゆったりとした時間が流れるバングラデシュの田舎から一転、分刻みのスケジュールで動く日本の生活。戸惑うかと思っていたのですが、意外とすんなり元の生活に戻ることが出来ました。すぐさま忙しい日常にあくせくしてしまう自分を悲しくも感じますが、心にはしっかりとバングラデシュでの経験が息づいていると信じています。

「国を創り上げる」熱い気持ちに触発
日本人などの外国人にとって、バングラデシュにおける飢餓・貧困撲滅への取り組みは、「世界がもっと住みやすい環境になれば」という想いからのものだと思います。でも、現地の人々にとっては「国を創る」ことに等しいと感じているようです。今回の滞在中、多くの同年代の若者と話す機会に恵まれましたが、みんな「国を創り上げるんだ」という気概をもって語ってくれました。

自分の国をよくしたい、国を創り上げたい、という気持ちに、先進国である日本と開発途上国であるバングラデシュとの違いはありません。では、今の日本で国を変えたいと立ち上がる熱い若者がどれだけいるでしょうか。
これから社会に出ようとする私にとって、バングラデシュの友だちと語り合ったことは非常に貴重な経験で、熱い気持ちを共有し、共にがんばっていこうと決意しました。

一人ひとりは微力でも、前進につながる!
現在、開発途上国へは以前よりもはるかに渡航が容易となり、多くの学生が実際に途上国入りしています。しかし、現地のさまざまな問題を目の当たりにし、ひたすら衝撃を受けて帰国、という流れに陥りがちです。
渡航前の私は、お客様として現地入りし、貧困・飢餓に対して何もできないままお荷物になる状態だけは絶対に避けたい、と思っていました。そこで、現地でインターン活動をするにあたって自分が「何をしたいのか、何ができるのか、そして何を求められているのか」を、日本での1年近いインターン経験を活かしながら考え、事前に準備してバングラデシュ入りしました。
また、自分が日本で行ってきた業務が、目の前の貧困に対して影響をもち、貧困解決へ導いているという確信をもちたい気持ちもありました。

しかし……。
現地の生活に慣れることに時間を要してしまったり、貧困の原因が想像以上に根深いものだとわかりました。そして、スラムを前にして感じた自分の無力さ……。
自分のやったことは本当にわずかだったのだと、日本に帰ってきた今感じています。

それでも!
たとえ小さな力でも前進につながるはずです。
バングラデシュにおける貧困は広範で、ひとりの力では到底解決できないのは自明。そこで、一人ひとりの力を合わせることが重要となるのです。
私は、自分ができることとして、今回の経験をより多くの人に伝えていきたいと思います。
また、この滞在記をご覧になってバングラデシュを知り、興味を持ってくださる方がひとりでも多く現れることを願っています。
長く、この日記を読んでいただいた方々、ありがとうございました。

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