現在、国連開発計画の掲げる「2015年までにHIV/エイズの蔓延を阻止し、その後減少させる」という目標を軸に、各国政府、国際機関、NGOなどによって、HIV/エイズ蔓延防止への取り組みが進められています。
ウガンダはエイズ対策に"成功した国"といわれています。1986年、ムセベニ大統領がエイズの存在を公に認め、村をまわってHIV/エイズの危険性を訴える全国規模の一大予防キャンペーンを行いました。また、遺族や感染者をサポートするNGOも同じ頃にでき、90年には匿名・自発的なHIV検査とカウンセリングを始めました。現在、この検査とカウンセリング方法は、対策の基本として各国が導入を図っています。
このような、国の強い姿勢とNGOなどの民間の努力があり、90年代初めに30%近くあった成人のHIV感染率は、現在3分の1の6.1%まで下がりました。
また、ウガンダは比較的政権が安定していたこともあり、援助が受けやすかったことも成功の要因です。NGOを通して行われたアメリカの援助、ウガンダ政府と世界銀行が合同で設立したHIV/エイズコントロール・プロジェクトなど、エイズ対策のモデルを援助側と被援助側で作りあげてきたともいえます。
エイズにより2010年には平均余命が54歳から45歳に後退の危機
しかし、感染率が激減したとはいえ、現在、エイズはウガンダの年間死亡原因の12%を占め、15歳から45歳の間ではマラリアや他の病気を上回っています。2010年には、人口が増加するにもかかわらず、労働人口は現在よりも200万人減少し、平均余命は54歳から45歳に後退するといわれています。また、ウガンダは、エイズによる孤児が世界で一番多い国でもあります。100万人もの15歳以下の子どもが、片親もしくは両親をエイズで失っています。
彼らのサポートをはじめ、これから予想される破壊的なダメージへの対応が、緊急に必要とされています。
バングラデシュは、人口1億3000万人のうち1万3000人とHIV感染率はまだ低く、危機感も薄いのが現状です。しかし、性感染症が蔓延している、婚前・婚外の性交渉が高い比率で行われていること、性産業の利用率が高いにも関わらずコンドームがほとんど使われていないこと、検査抜きの輸血が行われていることなど、HIV感染が拡大する要素が数多く存在。早い段階での、本格的な取組みが必要とされています。
もっとも、1991年から国家政策としてHIV予防プログラムが行われており、NGOなどの民間・学校・マスメディア・軍などを巻き込んで、HIV/エイズの流行拡大を阻止しようという動きがあります。
さらに、国の宗教であるイスラム教の指導者による教育も行われています。宗教問題担当省が運営する「バングラデシュ・イスラム財団」の一組織、イマーム(宗教指導者)訓練アカデミーでは、1998年から約2万人の宗教指導者が、HIV/エイズの啓発と予防についてトレーニングを受けました。そして、礼拝や集会で多くの信者に伝えています。
コンドームの使用を訴えれば不道徳な行いを助長する?
しかし、宗教指導者は、イスラム教で固く禁じる不倫と同性愛、婚外交渉を戒めることに重点を置き、コンドームの使用については、積極的に勧めません。不道徳な行いを助長すると考えるからです。しかし、現実には複数の性的パートナーを持っている人が多く、コンドーム使用を呼びかけずにHIV蔓延を防止することは不可能です。しかも、HIV/エイズが背徳者の病気だという考え方を定着させ、HIV/エイズ差別を助長することにもつながってしまいます。
イスラム教に限らず、宗教的理由からコンドーム使用を勧めない宗教は多くあります。世界各地で、HIV/エイズ活動家は、宗教指導者の影響力を重要視しながらも、コンドーム拒否のジレンマに頭を悩ませているのです。
HIV/エイズの新規感染の半数は15〜24歳の若者のため、ハンガー・フリー・ワールド(HFW)の青少年組織のユース・エンディング・ハンガー(YEH)も、HIV/エイズ蔓延防止に積極的に取り組んでいます。若者から若者へのメッセージは強い影響力を持って、受け入れられているようです。
10人に1人がHIVに感染していると言われるマラウィ。毎日、平均267人がHIVに感染し、139人がエイズ関連の疾病で死亡しています。マラウィでは、13歳くらいで性的活動をはじめる人も珍しくなく、若者への性教育は非常に重要です。早い時期からの性教育は、性の乱れにつながるという大人の反発もありますが、ほとんどの場合、若者の性行為を遅らせ、責任ある決定ができるようになります。
マラウィの教育・スポーツ・文化省とマラウィ教育研究所でも、ユニセフの支援を得て、性教育のカリキュラムを開発。HIV/エイズ蔓延防止のための国家戦略の一環として、学校で実施しています。
YEHマラウィは、若者から若者に、HIV/エイズの危険や予防について伝えるワークショップを開催しています。2002年7月から2003年6月までの1年間で、学校や青少年センターで開催した25回のワークショップには、1万人が参加。ビデオや劇、歌、ダンスなどを交えてわかりやすく工夫したため、小学生から大学生の参加者に大好評でした。YEHに参加したいという生徒も多く、訪問先では11のクラブが設立されました。妊娠による退学が減ったなどの効果があり、学校の教師や役員もこのワークショップを歓迎しています。さらに、ラジオや新聞、ポスターの掲示によっても、より多くの人にメッセージを伝えました。
HIV/エイズ患者の病棟でのボランティア活動や、HIV検査とカウンセリング(自分や周囲の人が感染した場合どうするか)なども行っています。
今後も、退学している若者を対象にするなど、同様のプロジェクトを実施していきます。
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| YEHマラウィメンバー。同世代に伝えるため、自分たちもHIV/エイズについて勉強した | HIVウィルスの感染経路を知る輪投げゲーム |
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