特集

2007.04.01 Special Issue No.13

NGOに求められること。NGOの「改革」。~HFWの新しい出発の時を迎えて~

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今後、ますますその役割が大きくなると期待されているNGO。
しかし、日本のNGOは活動基盤が脆弱であるといわれ、その状況が長く続いています。

そんな中昨年、世界的な市民による貧困根絶キャンペーンG-CAPの日本版キャンペーンとして展開された
『ほっとけない 世界のまずしさキャンペーン』では、400万人がホワイトバンドを購入。
社会現象にまでなりました。
もう日本ではNGOの歴史が浅い、寄付文化が根付いていない、
公共事業は国の仕事という概念が強いなどという言い訳は、言っていられません。

今、NGO自身が新しい行動に取り組み、
“何かしたい”という多くの市民の期待に応えるべき時がきています。


日本の国際協力の未来は、NGOにかかっている!?

世界の貧困を解決しようという意識は、世界の政治的リーダーたちの中でも共通のものとなっています。小泉首相も、世界に向けて様々な約束をしています。2005年には、アフリカへの援助額を3年間で2倍とし、その多くを贈与とすること、「ミレニアム開発目標(MDGs)」(※1)のうち保健に関する目標の達成のために5年間で50億ドル(約5800億円)を支出すること、さらにG8のサミットでは、今後5年間でODAを合計実質100億ドル(約1兆1600億円)増額することを表明しました。これらの約束には、欺まんがあると指摘されていますが(※2)、日本における国際協力活動は、活発になっていくことは確かです。

一方、小さな政府という流れのなか、国際協力機構(JICA)や国際協力銀行(JBIC)などの政府系機関の事業拡大は似合いません。ODAの量的拡大の時代は終わり、より効率的、低コストでありながら、質の高い援助が求められています。拡充する国際協力活動の担い手として期待されるのがNGOの存在。日本の戦略でも、開発途上国の地域に密着したきめの細かい支援、専門分野に特化した効果的な支援、迅速で柔軟な対応が可能なNGOを支援すること、また連携をすることが必要であると位置づけています。

また、社会においても、国際協力への関心が高まり、NGOへのボランティアの参加や寄付も増えています。就職先としてNGOを選ぶ有能な人材も増えています。 このようにNGOにとって、大きく飛躍できる状況が整ってきたのです。

しかし、このようなチャンスをNGO側が活かせないのではと、懸念があります。多くのNGOは運営能力の不足で適切に事業をマネジメントできない、また労働条件が悪く有能な人材が集められないという課題を抱えているからです。
NGOにとっては、期待に応えられる組織を作ることが急務となっています。

※1
ミレニアム開発目標(MDGs)… 2000年の国連総会で、世界の貧困を削減することを目標としたミレニアム宣言が採択された。これを達成させるために、貧困削減、教育、保健医療、ジェンダー、環境などについて定められた8つの開発目標がMDGs。18のゴール、48の指標から構成され、国際社会が共有するべき重要な目標として、明確な数値目標と、2015年という達成期限を定めている。

※2
日本のアフリカ援助はこの数年で急速に減少しており、現状を2倍にしても、1995年当時の援助額とほぼ同額になるに過ぎない。世界基金への支出は、本来、2006~2007年の2年間の予算にあてられるべきものだが、小泉首相は「2年間の予算として」と明示せず、「当面」という曖昧な言い方をしている。
ODAの100億ドル増額については、すでに以前から合意されていた対イラク債務40億ドルの帳消しをこの中に含めるなど、実際に途上国の開発に向けて新規に拠出する資金はそれほど多くないのではないかという新聞報道もある。
首相自身が国連ワールド・サミット(2005年9月、ニューヨーク)で述べた、「拡充された約束を実行に移す」という言葉が、真に実践できるよう、世論が後押しをしていく必要がある。


HFWは、期待に応えられる団体か?

では、ハンガー・フリー・ワールド(HFW)はどうでしょうか? まずは、HFWの歴史を振り返ってみましょう。

HFWは、独立したNGOとして活動を開始してから6年目という、まだ若い団体と言えます。HFWの前身は、アメリカに本部があるNGOの日本支部で、 1984年から活動していました。本部の活動内容は、主に知識人層の啓発でした。日本支部は、開発事業、青少年の飢餓撲滅の活動への支援、より広い層の人々への啓発活動に力を入れたいと希望し、2000年に独立。日本とともに活動することを望んだ11ヵ国と共に、HFWを始めました。

その後、開発事業など、経験の浅かった分野を本格的に開始します。新しい組織としては、数が多い支援国。資金調達も急ピッチで進めました。 しかし次第に、事業の拡大と質の向上の限界、過酷な労働で人材を失いかねないという危機感、さらなる説明責任への義務感が生まれてきました。2004年4月に、これまでの活動の評価活動を実施。そして、各種ガイドラインや規定の作成や見直しなどの、改善策を立てました。

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2005年12月に東京で開かれた事務局長会議にて。海外事務局長とともに、新しいHFWを創作した


組織改革を急務とさせた、マラウィの事件

そんな中、2004年9月、マラウィで資金の不正流用が発覚します。このことで、評価活動によりまとめた改善策の実行に緊急性が生まれ、同改善策を強化する形で、適正化施策を発表しました。

それから2006年2月の適正化施策の終了までの1年半、事業の新規開始や規模拡大は控え、または一部の事業は縮小や停止とし、組織改革を最優先事項として取り組みました。しかし、その結果2004年度は、前年度比で寄付額87%、会費が95%となる苦しい選択でもありました。

そこまでして断行した組織改革。これから、HFWはその成果を発揮しなければなりません。


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