「食料への権利」とは : 飢餓のない世界を創る国際協力NGO ハンガー・フリー・ワールド HUNGER FREE WORLD     

「食料への権利」とは

HFWは飢餓を根本的に解決するためには、一人ひとりの「食料への権利」の実現が不可欠だと考えています。

誰でも、いつでも、どこに住んでいても――
すべての人が生まれながらに「食料への権利」をもっています。

・「食料への権利」とは、心も身体も健康に生きていくために必要な食料を自らの手で得られる権利
・「食料への権利」は、人間の尊厳を守るために必要なもっとも基本的な権利のひとつ
・「食料への権利」は、すべての人が生まれながらにもっている

人は誰でも、いつでも、どこに住んでいても、「食料への権利」を生まれながらにもっています。「食料への権利」とは、心も身体も健康に生きていくために必要な食料を自らの手で得られる権利のこと。もっとも基本的な権利のひとつで、人が尊厳をもって生きるために必要な最低限の約束です。
権利であるからには、誰一人として取り残されてはいけません。「その日になってみないと、食べられるかどうかわからない……」。食料は十分に生産されている世界で、そんな不安な日々を送っている人がいるのはおかしなことです。

自らの手で食料を得る

・「食料への権利」は、世界人権宣言や国際人権規約に明記
・「食料への権利」の実現は、主に各国の政府に責任がある
・「食料への権利」の実現を要求したり、責任を果たしたりできるような支援も必要

「食料への権利」は世界人権宣言に明記されています。国際人権規約にも含まれ、締約国は160ヵ国以上です。2004年には「食料への権利」を実現するためのガイドラインも発行されました。それぞれの国に住む人たちの「食料への権利」の実現は、各国の政府に履行する責任があり、取り組みの多くは国ごとに行われます。しかし、規約に批准した国には法的拘束力があるものの、罰則はありません。憲法や法案などに「食料への権利」を明記することで政府の責任を明確にしたり、役割を果たしているか見守ったりする必要があります。
権利を保有している人は権利の実現を要求することができるので、実現できていないのであれば自ら声をあげなければいけません。しかし、そもそもすべての人に「食料への権利」があることを知らず、現状をあきらめている人もいます。すべての人が生まれながらに「食料への権利」を持っていることを多くの人に伝え、誰でも要求できるように支援していくことも大切です。

家族で食事をとる

「食料への権利」の実現に向けて大切な4つのこと

「食料への権利」は、一時的にお腹がいっぱいになったり、生きていくために必要な最低限のカロリーさえ得られたりすれば、実現できるということではありません。安定した収入がある、必要な栄養が得られているなど、以下の4つが満たされることで実現できます。

食料があること(Availability)
田畑を耕すことで食料を生産したり、家畜を飼ったり漁をしたりすることで、食料が得られていること、市場や店に食べ物が売られていること、など。
食料に経済的・物理的にアクセスできること(Accessibility)
必要な食料を買える収入があること、食料の価格が安定していること、性別や社会的立場による制約がなく、遠隔地に住んでいる人、子どもや高齢者などでも、食料を得られる環境にあること、など。
食料の量や質が適切であるということ(Adequacy)
年齢、性別、生活環境などに合った量や質の食事ができること、必要な栄養が含まれているバランスの良い食事ができること、食材が安全、その地域の食文化や食習慣で受け入れられること、など。
持続可能であること(Sustainability)
今、私たちが食べられればよいのではなく、未来の世代も食べられること。外部からの支援がなくても、自分たちで食べていけるだけのスキルや技術を身に着けていて、次の世代にも引き継がれていること。

参考資料:
国連食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所「『食料への権利』の実現‐21世紀における人権への挑戦‐」、UNITED NATIONS HUMAN RIGHTS “Toolkit on the Right to Food”

2008年から開催している連続公開セミナー「飢餓を考えるヒント」の内容をまとめた冊子『飢餓を考えるヒントno.3~食料への権利の視点から考える』(PDF1.75MB)を開く

バングラデシュの畑で収穫する人

ベナンの市場

ベナンの給食