貧しい農村部を中心に、最も弱い立場のひとびとの自立を支援
2000年から、首都ダッカと農村部のカリガンジ郡、ボダ郡の3地域23ヵ村で、21の事業を実施しています。
活動地の約8割以上の住民にとって、農業が唯一の生活手段。しかし、化学肥料や農薬の使用が家計を圧迫し、さらに健康被害や地域環境の悪化などを招き、人々の生活を苦しめていました。HFWは、お金をかけずに肥料の材料を入手でき、家計と環境に優しい持続可能な農業を推進しています。また、バングラデシュでは伝統的に女性の地位が低く、若いうちに親の命令で結婚。家庭内で十分な食事もとれずに家事労働を担い、医療設備の整っていない環境で出産することが多く、命を落としたり、死産したりすることも多くありました。そこで特にぜい弱な立場にある女性を対象に、栄養知識の普及や、女性の権利を守る啓発活動などを行っています。また、「食料への権利」を保障する法律が制定され、必要な政策が実施されるよう大規模な署名活動や提言活動も行っています。
ミーティングをするダッカ事務所の職員
首都ダッカとボダ郡、カリガンジ郡で活動
どんな国?
毎年のように襲う洪水やサイクロンなどの災害に直面し、最貧国のイメージが強く残っています。しかし、収穫時には稲穂がたなびく「黄金の国」と呼ばれる一面もあり、困難に負けない明るい国民性が、国の基盤を支えています。
1971年に独立戦争に勝利して、パキスタンから独立。人口密度が日本の3倍近くあり、北海道ほどの広さに日本を超える人口を有しています。その労働力とマーケットに注目し、多くの外国資本の企業が進出。衣料品の輸出を中心に近年著しい経済成長を遂げています。
水田が広がる肥沃な大地
活動の背景と課題
急速な経済発展の陰で環境破壊と格差が広がるなどひずみも生じています。人々の生活、環境や「食料への権利」を守るための法整備が追いついていません。地方では零細農家が多く、化学肥料などの費用が家計を圧迫しています。また、女性の地位が低く、その多くが十分に食事を取れていません。十代で親が決めた結婚をし、妊娠しても少ない食事で重労働を担っています。医療機関での受診率も低く、流産や、低体重の子どもが生まれる原因になっています。
人口密度が高く都心部では交通渋滞が問題に
データで見るバングラデシュ人民共和国
People’s Republic of Bangladesh
項目 | 内容 |
---|---|
面積 | 14万7000k㎡(日本の約4割) |
人口 | 1億6936万人 |
主な産業 | 衣料品・縫製品産業、農業 |
1人あたり国民総所得 | 2570米ドル |
5歳未満児死亡率(1000人中) | 31人 |
妊産婦死亡率(出生10万人中) | 173人 |
平均余命 | 73年 |
成人識字率 | 75% |
1日2.15ドル以下で暮らす貧困層の割合 | 13.5% |
*出典:ユニセフ『世界子供白書』2021、外務省ホームページ、UNESCO Institute for Statistics、世界銀行
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