適正化施策の進捗状況のご報告(2020年1月) : 飢餓のない世界を創る国際協力NGO ハンガー・フリー・ワールド HUNGER FREE WORLD     

適正化施策の進捗状況のご報告(2020年1月)

【要旨】

HFWは、最初の約2ヵ月間でまず、「F.施策運用に必要な統制環境の適正化」を実行し、16の施策を確実に実行するための基盤・人材を整えました。また、他のいくつかの施策についてもアイディアを出し、検討を進め、計画立案をしました。

【16の適正化施策への取り組みの詳細】

A.不正発見に非常に有効で、抑止効果も高いと考えている適正化施策

(1)領収書と見積書の信憑性の確認強化、(2)取引先の確認強化、(3)内部監査体制の構築、本部の人材の長期派遣、(4)外部会計監査人の活用

●内部会計監査規程とマニュアルの目的に不正発見を加え、領収証と見積書の発行業者の住所を訪問することを追記しました。なお、発行業者の住所訪問は2019年8月までに全4支部において第1回目を実施しています。

●本部の人材の長期派遣について人選を進め、ウガンダ大使館での勤務経験があり、ウガンダ事情にも精通している方を候補者としました。今後、業務内容の詳細や条件などを詰めて契約を行います。

●内部監査、監査での指摘事項のモニタリングとフォローアップをより適切に実施するために、本部の内部監査担当が英語圏の公認会計士より実務研修を受ける計画を進めました。


B.抑止効果が高いと考えている適正化施策

(5)実効性のある内部通報制度の運用(6)通報前にも相談できる仕組みづくり(7)資金を大切に使う組織風土の強化

●内部通報制度の周知と理解を進めるリーフレットの作成、コンプライアンス意識を育てるための事例を紹介するニュースを発行するなど、既存の内部通報制度に実効性を持たせるアイディアをまとめ、準備を進めました。内部通報窓口を管理部門常務理事とすることも決定しました。2月と3月に行う下記ワークショップにおいて、本部と全支部の職員に新しい制度の紹介を行う予定としました。

●ブルキナファソ、ベナン、ウガンダにおいて、日本の寄付者およびボランティアのみなさまからのメッセージ動画を、支部職員に見せ、支援金の重みを伝える機会を持ちました。支部職員からは、「寄付者からの貢献に心を打たれた。日本から遠く離れた知らない国のために寄付できることはすごいこと。われわれに失敗は許されない。寄付金が無駄になっていないことを示すのはとても重要なこと」という感想を得ています。バングラデシュでは、2月3月に行う下記ワークショップ時に実施する予定です。今後も定期的に支援金の重みを伝える機会を設けていきます。

●2月と3月に、ウガンダの不正流用について理解を深め、適正化施策の取り組みへの主体性を高めるための職員対象のワークショップの計画を進めました。本部では2月、4つの支部には2月から3月にかけて本部事務局長と常務理事が出向き2日間行います。

●すでにある「倫理規程」や「不正行為防止規程」などが組織内部に浸透するよう、すでにある規程やガイドラインなどを活用してコンプライアンス教育教材とそれを用いた研修モジュールを開発する計画を立案しました。


C.Aの適正化施策の効率的な運用に寄与する施策

(8)予実管理の向上

D.ABの適正化施策の有効性を高める適正化施策

(9)採用プロセスの透明化、(10)支部事務局長の任期制の実効性のある運用

※今後着手いたします。


E.「支部事務局長の任期制」に必要な施策

(11)採用、人事考課、人材育成の改善

●人事考課や採用についても含む人材育成については、2016年から2020年の中期計画でも管理部門の戦略の一つの柱となっています。しかし、他に優先事項を抱えた本部事務局長が実務を担っており遅れていたため、新設した本部管理部門に人材育成を担当する職員を配置することを決定しました。


F.施策運用に必要な統制環境の適正化

(12)理事長及び本部事務局長の交代、(13)本部事務局長の権限分散、(14)役員の体制強化

●適正化施策発表前に理事長は9月、本部事務局長は10月に交代しました。内部登用でしたが、理事長は本件発覚時の役員以外の人物の正式登用、本部事務局長は、職務権限や条件などを権限分散後(適正化施策13)に明確にして、広く公募し正式登用する予定としています。

●本部事務局長が主に支部管理部門の統括、次長が主に国内管理部門と広報・資金調達の統括、活動部門マネージャーが活動の統括を担っていた体制を変更しました。国内だけでなく支部も含めて組織全体の管理部門を統括する管理部門マネージャーを新設しました。内部登用ですが、本部事務局長同様、職務権限や条件などを権限分散後(適正化施策13)に明確にして、広く公募し正式登用する予定としています。初動の主な任務として職務権限の明確化に取り組んでいます。次長の職は廃止し、3部門(管理部門、活動部門、広報・資金調達)のマネージャーの3名に本部事務局長の権限を分散し、本部事務局長はこの3名を統括します。本部事務局長と3名のマネージャーによる運営委員会(仮称)、さらに常務理事を加える拡大運営委員会(仮称)で意思決定を行う体制をスタートしました。

●2名の常務理事を新設し、週2回本部職員の業務を確認し伴走する体制を開始しました。管理部門常任理事は、公益財団法人の元事務局長、活動部門常務理事は特定非営利活動法人のアドバイザーで、認定特定非営利活動法人の元事務局長です。担当を分けていますが、両者が他組織での経験を生かして、特に適正化施策については連携して本部事務局の業務を伴走及び率先して推進しています。

●広報・資金調達担当理事が理事長に就任したため、同担当理事を新たに登用しました。

●6月に新たに就任した監事からは、適正化施策の視点に適い、会計の質を高める意見が、常時出される体制となっています。不正流用の調査結果を反映した修正決算を監督官庁(東京都)に提出しました(12月)。

※現在の役職員体制についてはこちらもご覧ください。役員紹介スタッフ紹介


G.推察される動機の解消・軽減につながる、よい組織運営のために考慮すべき視点

(15)認定NPO法人格の取得、(16)職員が不満を抱かない組織運営(人権・労働慣行などSRへの取り組み計画の確実な実行)

●特別調査員会より示唆を受けた認定NPO法人格の取得については、適正化施策内容の実質的な機能が果たされている状態、会計データに不備がない状態を作るための自浄作用とすることを目的に、不正発覚前からの取得に向けた取り組みは続け、特定非営利活動法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会による、認定基準充足度チェックを受けました。診断結果を受けて、適正化施策の強化につなげます。


その他:NGO業界への働きかけ

ご支援をいただいている組織の方より、「HFWは規程※もあり、不正を公開し、公開に耐えうる調査も行った。自分の組織では、それをもとに支援継続について検討を進めることができた。しかし、不正があっても公開はしないという支援先があっては対応に差が出て困る。業界団体への依頼になるかと思うが、HFWも率先してNGOの不正対応について足並みを揃える動きをとってもらいたい」という趣旨のお申し入れをいただきました。また、業界団体である国際協力NGOセンター(JANIC)への本件報告の際にも、これを機に業界内で勉強会を開催できればというご希望もいただきました。そこで、働きかけを行った結果、JANIC主催で第1回目の不正対応への勉強会が、HFWの事例を取り上げてNGO及びNGO等に助成をしている組織の方を対象に1月に開催されることになりました。

※HFWは、10万円以上の不正は公開すると規定しています

以上