【16の適正化施策への取り組みの詳細】
※【新】…前回の進捗状況のご報告(2020年4月)から2020年7月17日までの期間に実施
A.不正発見に非常に有効で、抑止効果も高いと考えている適正化施策
(1)領収書と見積書の信憑性の確認強化、(2)取引先の確認強化、(3)内部監査体制の構築、本部の人材の長期派遣、(4)外部会計監査人の活用
◆実施時期を2020年6月末までとしていましたが、取り組みを継続しています。内部監査体制の構築には、専門性の高い人材育成が必要であるという認識に至り、「(8)予実管理の向上」「(11)採用、人事考課、人材育成」と連動して進める必要もあることから、当初の想定より時間がかる見込みです。ご理解くださいますようお願い申し上げます。
●内部会計監査規程とマニュアルの目的に不正発見を加え、領収証と見積書の発行業者の住所を訪問することを追記しました。なお、発行業者の訪問は2019年8月までに全4支部において1回目を実施しています。
●本部の人材の長期派遣として、ウガンダ大使館での勤務経験があり、ウガンダ事情にも精通している1名を、ウガンダ支部担当調整員として3月に採用しました。【新】ウガンダにおけるロックダウンのために在宅勤務となる期間もありましたが、現在は支部事務所に出勤しています。本部職員としての立場から、新型コロナウイルス感染症に関する情報も含め、ウガンダ支部の詳細な状況が報告されています。コンプライアンス研修及び適正化施策への理解を深めるワークショップがオンライン開催となった際にも、コミュニケーションの要となり、本部の意向を丁寧に支部職員に伝える助けとなりました。
●【新】内部監査体制での指摘事項のモニタリングとフォローアップをより適切に実施すること、及び「(8)予実管理の向上」のために、管理部門マネージャーをチーフとしつつ、実際に支部や事業に日々関りを持つ活動部門の職員もメンバーに加え、会計周り強化のロードマップを作成しました。改善点の洗い出しを終え、優先順位に従いながら作業を進めています。
●【新】NGO登録をしているため必須でもあり、事業規模も大きく管理体制も複雑なバングラデシュ支部とウガンダ支部は、これまでと同様に外部会計監査を行い、かつ不正調査項目も加える予定です。事業規模が大きくなく、シンプルな管理体制のベナン支部、ブルキナファソ支部は、外部会計監査への投資は過剰としつつも、細やかな指導を受けるために1~2年は外部会計監査を実施する予定でしたが、2020年度の収入の減少により見送りとします。
B.抑止効果が高いと考えている適正化施策
(5)実効性のある内部通報制度の運用(6)通報前にも相談できる仕組みづくり(7)資金を大切に使う組織風土の強化
◆実施時期を2020年3月末までとしていましたが、取り組みを継続しています。本部と支部の間の双方向のコミュニケーションに努めるとともに、オーナーシップ(参加と責任)という観点から、支部も含めたすべての役職員の最大限の参加を得て、着実かつ丁寧に施策の実現に取り組んでいるためです。また、研修の実施などは、新型コロナウイルス感染症の影響で一部の国で延期しました。ご理解くださいますようお願い申し上げます。
●ブルキナファソ、ベナン、ウガンダにおいて日本の寄付者およびボランティアのみなさまからのメッセージ動画を支部職員に見てもらい、支援金の重みを伝える機会を持ちました。支部職員からは、「寄付者からの貢献に心を打たれた。日本から遠く離れた知らない国のために寄付できることはすごいこと。われわれに失敗は許されない。事業で成果を出すことが日本の貢献に応えること」という感想を得ています。今後も定期的に支援金の重みを伝える機会を設けていきます。
●「不正行為防止規程」に内部通報者の保護強化のために、承諾なしに通報内容は第三者には開示されないことを追加しました。
●既存の内部通報制度に実効性を持たせる改善をしました。内部通報窓口を特定の本部の理事とし、オンラインフォームを使い匿名で通報できるようにしました。周知をはかり、必要な時に躊躇なく利用してもらうためにポスターと携帯用カードも作成しました。本部とバングラデシュ支部の職員向けに下記のコンプライアンス教育研修を実施するとともに、新しい内部通報制度を紹介しました。制度が作りっぱなしとならないよう、一年運営し、評価して改善する計画です。コンプライアンス意識を育てるよう事例紹介をするニュースの年数回の発行も計画しています。
●不正流用について理解を深め、適正化施策の取り組みへの理解を深めるための3日間にわたる職員対象のワークショップを開始しました。その中で、コンプライアンスを徹底するため、「倫理規程」や「不正行為防止規程」など既存の規程やガイドラインに基づいてコンプライアンス教育研修教材を作成して、それを使った研修も行いました。本部では2月から4月にかけて、バングラデシュでは3月に常務理事が訪問し、本部事務局長はオンラインで参加する形で実施しました。【新】他の3支部では、新型コロナウイルスの影響で渡航ができず延期していましたが、オンラインで実施することとしました。ウガンダは7月初旬に実施し、新しい職員たちからは、自らの支部で起こった出来事を理解できたことへの感謝の声が上がりました。また、コンプライアンス教育研修にある守秘義務については、情報ガイドラインの必要性が指摘されました。さらに内部通報制度については、間違った通報内容への懸念など率直な意見が出され、丁寧に回答することでより理解を深めることができました。ブルキナファソでは7月下旬に、ベナンでは8月中旬までに実施予定です。
●【新】HFWが大切にする価値観が、組織内にきちんと浸透するための施策として、2016年から再点検しているHFWのミッション・ビジョン及び作成が進められている行動方針、バリュー(価値観)の共有が双方向になるよう、本部支部の役職員から丁寧に意見を吸い上げるワークショップを開始しました。まず初めに7月に本部の役職員で開催しました。ミッション・ビジョン・行動方針・バリューの策定とともに、関連する2016年からの中期計画の評価と次期中期計画の策定、事務局長会議の実施も進めています。
バングラデシュでのワークショップ
支部事務所にポスターを掲示
事務所内で掲示するポスターと携帯できるカード
ウガンダでのワークショップ
本部でのワークショップ
C.Aの適正化施策の効率的な運用に寄与する施策
(8)予実管理の向上
◆実施時期:継続的施策としている取り組み
●【新】予実管理の向上をめざして、公認会計士と業務契約し、より質の良い管理会計ができるよう、年間の予算だての仕組みを5月に改善しました。これにより精度の良い予算編成ができ、また、予実管理のために注視すべき勘定科目が明確になりました。次の段階として、よりタイムリーに支部の会計を把握する体制づくりに取り組んでいます。「(3)内部監査体制の構築」と合わせて、管理部門と活動部門の職員により、やるべきことをロードマップ化しました。その計画に基づき、支部の経理作業をオンタイムで確認できるよう会計ソフトの設定を変更や予実管理のためのフローを再考するなどの、具体的な作業を進めています。
D.ABの適正化施策の有効性を高める適正化施策
(9)採用プロセスの透明化、(10)支部事務局長の任期制の実効性のある運用
◆実施時期:2020年12月末まで
●支部事務局長の実効性のある任期制とそれに必要な人事考課の設計及び導入について、専門性が必要であることから、株式会社日立コンサルティングより2名のプロボノの提供を受けています。【新】5月から定期的に会合を開催し、制度設計に着手しています。制度設計に向けては、本部と支部の役割やコミュニケーション経路の再検討、さらに支部の組織構成や支部職員の職務や職務を果たす要件などを幅広く検討して、支部事務局長の職務を明確にする作業を続けています。今後、支部事務局長が行う支部職員の採用についてのガイドラインの整備(「(9)採用プロセスの透明化」)と「(11)採用、人事考課、人材育成の改善」、また関連する組織規程の策定についても含んで取り組みを進めていきます。
E.「支部事務局長の任期制」に必要な施策
◆実施時期:2020年12月末まで
(11)採用、人事考課、人材育成の改善は、(9)(10)に含んで、取り組みを進めています
F.施策運用に必要な統制環境の適正化
(12)理事長及び本部事務局長の交代、(13)本部事務局長の権限分散、(14)役員の体制強化
◆完了(※「正式な後任の理事長就任」という取り組みは最長2021年3月まで)
●適正化施策発表前に理事長は2019年9月、本部事務局長は2019年10月に交代しました。内部登用でしたが、理事長は本件発覚時の役員以外の人物の正式登用、本部事務局長は、職務権限分散(適正化施策13)をして、資質や条件を明確にしてから、広く公募し正式登用する予定としています。
●本部事務局長が主に支部管理部門の統括、次長が主に国内管理部門と広報・資金調達の統括、活動部門マネージャーが活動の統括を担っていた体制を2020年1月から変更しました。国内だけでなく支部も含めて組織全体の管理部門を統括する管理部門マネージャーを新設しました。内部登用ですが、本部事務局長同様、職務権限分散「(13)」をして、資質や条件を明確にしてから広く公募し正式登用する予定としています。また、次長の職は廃止し、3部門(管理部門、活動部門、広報・資金調達)のマネージャーの3名に本部事務局長の権限を分散し、本部事務局長はこの3名を統括します。本部事務局長と3名のマネージャーさらに常務理事を加える運営委員会で意思決定を行う体制となっています(ただし、3月に活動部門マネージャーが退職となったため、活動部門の常務理事が兼任しています)。
●常務理事を2名が、本部職員の業務を確認し伴走する体制を2019年11月から開始しました。管理部門常務理事は、公益財団法人の元事務局長、活動部門常務理事は特定非営利活動法人のアドバイザーで、認定特定非営利活動法人の元事務局長です。両者が他組織での経験を生かし、特に適正化施策については連携して取り組んでいます。広報・資金調達担当理事が理事長に就任したため不在となった同担当理事を2019年12月に登用しました。2019年6月に就任した監事からは、適正化施策の視点に適い、会計の質を高める意見が常時出される体制となっています。
※現在の役職員体制についてはこちらもご覧ください。役員紹介スタッフ紹介
G.推察される動機の解消・軽減につながる、よい組織運営のために考慮すべき視点
(15)認定NPO法人格の取得、(16)職員が不満を抱かない組織運営(人権・労働慣行などSRへの取り組み計画の確実な実行)
◆実施時期:継続的施策としている取り組み
●認定NPO法人格の取得については、適正化施策内容の実質的な機能が果たされている状態、会計データに不備がない状態を作るための自浄作用とすることを目的に、不正発覚前からの取得に向けた取り組みを続けています。特定非営利活動法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会による、認定基準充足度チェックを2019年12月に受けました。【新】診断結果を受けて、6月に定款を一部変更しました。他にもよりよい組織運営となるよう組織基盤の整備を進めています。
その他:他のNGOへの働きかけ
ご支援者より、不正対応についてNGOの間で足並みを揃える動きをとってもらいたいというお申し入れをいただきました。また、日本を代表する国際協力NGOのネットワーク組織である国際協力NGOセンター(JANIC)への本件報告の際に、NGOの間での勉強会開催のご希望もいただいたことより、JANIC主催で不正対応への勉強会が1月に開催され、HFWが事例を発表しました。NGO及びNGO等を支援している18の団体・企業・組織が参加し、その後、NGOとしてのガイドラインや通報対応などの整備などが必要であるという期待も寄せられたことから、有志のNGOによりワーキンググループ化が進められ、当団体も参加しています。
以上