インタビュー:「支援者の方の想いを忘れず」資金調達(法人)担当の小林さん・石川さん : 飢餓のない世界を創る国際協力NGO ハンガー・フリー・ワールド HUNGER FREE WORLD     

インタビュー:「支援者の方の想いを忘れず」
資金調達(法人)担当の小林さん・石川さん

普段は見えにくい職員の仕事や人となりを、ハンガー・フリー・ワールド(HFW)の学生インターンがインタビューで聞きました!
今回は資金調達で法人を担当している小林亮裕さんと、管理を担当している石川圭さんにフォーカスを当てます!

切手・商品券・外国紙幣・貴金属なども回収対象になっており、様々な物品が事務所に届けられる。

お二人の仕事内容や役割、目標についてお伺いしたいです。
基本的に、現金での取引ではなく、書損じハガキを送ってもらうための交渉を行っているという解釈で正しいですか?

小林:そうですね。企業さんや生協さんといった法人向けに、先方との親和性なども踏まえながら書損じハガキの回収事業にご協力していただけないかというお話をしています。 例えば、全国40もの生協さんが組合員の方向けにHFWの「書損じハガキ回収キャンペーン」専用の封筒を配布してくださり、組合員の方がその封筒の中に不要なハガキなどを入れて発送してくださっています。そうしてHFWに届いたハガキなどの回収物が、今度は石川さんの担当する換金するための活動に引き継がれていきます。
石川:HFW事務所には多くの物品が届けられます。私はそれらが届いた後のオペレーションを担当しています。具体的には、ハガキや未使用切手などの物品を日本円に換金をしていくという業務です。年間で2億円前後の現金に換金されるのですが、それを月ごとに進捗管理し、予算に基づいて現金化をしていきます。そうすると、「寄付金収入」というのが生まれて、私たちの事業活動を行えるということになります。

小林亮裕:ファンドレイジング&コミュニケーションチーム 法人担当オフィサー

石川 圭:ファンドレイジング管理チーム 回収管理担当オフィサー(右)。ウガンダ事務所の看板の前で、現ウガンダ支部事務局長(左)と

仕事にどのような姿勢で取り組んでいますか?

小林:大切にしているのは「支援者の方の想い」と「サポートを受ける受益者のみなさん」の2つです。なので、いい加減に仕事をしないようにしています。
 私は数ヵ月間アフリカの国に暮らしたことがあり、その滞在期間中に人々の生活を多少なりとも見てきました。企業さん・団体さんで説明をする時には、そこで見た光景を思い浮かべながら、自分の言葉で説明するようにしています。
石川:私も大きく2つ大切にしていることがあります。1つ目は、寄付を送ってくださった方の気持ちを忘れないようにすることです。社会に役立てて欲しいという想いで寄付を送ってくださっているので、私の担当としては、確実に現金化するということがひとつの使命と考えています。
 もう1つが、計画通りに仕事を遂行することです。現金化があってはじめて活動資金として使えるようになるので、その予定が狂うと事業進捗に影響してしまいます。そのため、粛々と業務を進められるよう、準備を怠らないよう気を付けています。

HFWでは、2019年に活動国の一つであるウガンダで資金の不正流用が発覚。
その後、適正化施策に取り組みました。不正発覚後、書損じハガキ回収キャンペーンへの参加を一時見送った団体があったことで寄付金が以前の半分に激減し、活動国での事業運営にも影響しました。
発覚後、当時行った対応や現在の目標について聞きました。

2021年の年次報告書において2019年のウガンダでの不正発覚後、組織の適正化と情報開示に力を入れた結果として、「書損じハガキ回収キャンペーン」への参加を見合わせていた複数の団体から再度協力を得られるようになったとありました。具体的に法人に対しては、どのような対応を行なったのでしょうか?

石川:不正発覚後に行った初期対応として、とにかく早く支援者の方に情報をお伝えすることを考えました。ただ、そのタイミングやどこまでお伝えすべきかというのは当時の組織内でかなり悩んだところです。ある程度情報が集まった時点で出した方がいいのでは、という意見もあり、調査中でまだ疑いという段階でしたが発覚から5, 6ヵ月後に支援者のみなさまと一般に向けて公開しました。また、その前に法人の支援者や関係者のみなさまに公開することをご報告にまわりました。その際、地理的に訪問できる方には直接会ってご報告をし、どうしても訪問が難しい場合は郵送やメール、お電話でフォローという形で情報をお伝えしました。
 2019年の秋に適正化施策という対応策を発表し、組織改革を進めてきました。それ以降3ヵ月から半年ぐらいの間隔で約2年間、進捗の報告を継続しました。ただ、これに関していつまでも謝罪を続けるのがよいと考えている訳ではありません。支援者の方から後ろ向きにならず、今後何をするかという方向に切り替えて欲しい、というお声もいただきました。残りの施策を2022年1月からの中期計画に統合し管理することとして、その統合が適正であることを第三者にも認めてもらい、2022年5月でこの適正化施策はクロージングをして、今に至ります。

ウガンダ不正の発覚後、寄付金が半減したそうですが、現在の目標は何でしょうか?

小林:不正発覚以前の収入を超える水準まで寄付金額を回復させることを、2023年末までの中期計画の目標にしています。なぜかというと、支援を待っている受益者の方々に対して、私たちは責任があるからです。寄付金収入が増加すれば、事業を拡大・改善する方向での見直しもできるようになります。

<学生インターンのコメント>
阿部:お二人とも支援者の方の想いを大切にされていることが伝わってきました! 誠実な対応を続けたことが、一度は半減してしまった収入を立て直しつつある要因の一つなのではないでしょうか。
水澤:お二人が支援者と受益者の双方について第一に考えているからこそ、真摯に活動に向き合っているのだと感じました。HFWのバリューでもある誠実な姿勢を、自分自身も心に刻んで活動を行いたいです。

2023年6月収録。役職名は当時のものになります。
文責:フードシステム変革推進チーム学生インターン 阿部