スタッフの声〜横山 秀 : 飢餓のない世界を創る国際協力NGO ハンガー・フリー・ワールド HUNGER FREE WORLD     

スタッフの声〜横山 秀

横山 秀

国内事業担当
大学時代に英語を専攻するかたわら、HFWでインターンとして勤務。IT企業・他NGOでの計8年の勤務を経て、2022年8月に入職。好きな食べ物は「苦いもの」。


入職された経緯について聞かせてください。

中高生の頃から漠然と世界の飢餓や貧困に対して「ほっとけないな」「なんとかしたいな」という思いがあり、大学では英語や国際関係の勉強をすることにしました。また、HFWで広報担当のインターンを始めたのも大学生のときです。インターンとしてweb広報を担当をしてみて、NGOには自分と同じように英語や国際関係を勉強している人は居ても、webに詳しい人はあまり多くないことに気づきました。これがきっかけで、最初はIT企業に就職。その経験を買っていただけたのか、2015年に前職のNGOに転職し、「NGOで働く」という念願が叶いました。そして今、再びHFWの広報に戻ってきています。

当初は海外での仕事にも興味があったとのことですが、いつ興味が変わったのですか?

直接的なきっかけは、前述のHFWでのインターンです。国際協力の仕事は海外の現場だけでなく、国内にも色々あることを知りました。
ただ、HFWでインターンをした大学3年生のときには、すでに気持ちは半分くらい国内に傾いていました。というのも、大学1年生のときにカンボジアのスラム街に行き、大学生が海外でできることの限界を感じたからです。現地のNGOに活動の手配をしてもらい、クメール語は全て通訳してもらい、しかも自分は結局1週間で帰ってしまう。本当に現場の仕事をしようと思ったら、現地の言語や文化を学んで、住民と同じ目線で生活する覚悟が必要だと感じました。個人的には学びも多かったですが、航空券にかかった費用を現地のNGOに寄付した方が国際協力になったでしょう。この経験を経て「国際協力=海外」とも限らないと思い始めていたタイミングで、HFWのインターンを通じて広報や資金調達の重要性に気づき、「国内でできる国際協力」に舵を切るようになりました。 

仕事の中でどのような時にやりがいを感じますか?

活動をわかりやすく伝えられた時です。HFWの活動は、飢餓に直面する人にご飯を渡すような「その日食べたらおしまい」の支援ではありません。HFWが撤退した10年後もその人たちが自力で食料を得られるように、農業を教えたり、ときには憲法を変えようとしたりしています。このような間接的な支援は、直接的な食料配布に比べると分かりづらいだけに、その重要性をなるべく噛み砕いて短く伝える時にやりがいを感じます。
会員・寄付者の方にお送りしている「写真で伝えるハンガー・フリー・ニュース」も、ハガキサイズなので、情報を簡潔にまとめなければいけません。私が担当した初回の2022年10月版では、世界の食料価格が高騰する一方で、実は穀物の在庫量の推移はほぼ横ばいになっていることをグラフで示しました。グラフと短い文章で、世界の食料問題とその背景を伝えるのはやりがいがありました。

「写真で伝えるハンガー・フリー・ニュース」で世界の食料価格を取り上げようと思ったワケは何でしょうか?

発行日が10月だったので、「世界食料デー」月間に関連するテーマにしました。でも10月ということ以前に、2022年を振り返ってみると、紛争などで食料問題が厳しさを増した1年だったと思います。そして、日本でも食料価格が高騰したり、イクラが買えなくなったり、世界の食料問題の影響が広く認識されたと言えるでしょう。つまり2022年は、HFWがこれまで主張してきた「世界の飢餓と私の食」の繋がりをとても実感しやすい1年だったと思います。そこで、世界の食を考える10月に、世界の食料価格高騰の背景には私たちの食もあることを伝えたいと思いました。

心が揺れうごいたエピソードはありますか?

インターン時代の話になってしまうのですが、私がインターンをしていた10年前にHFWのFacebookTwitterのアカウントが始まりました。当時は職員を含め、全員が「これはなんだ?」状態でした。
多くの場合、ある程度方針が決まった上で、「こういう投稿をしてください」とインターンに指示がされるかと思います。でも、HFWでは「どんな投稿をしていきましょうか」と方針を決めていくところから話し合いに入れてもらえました。HFWは海外の活動国で、飢餓と闘う「地域のアクター」として住民を信頼・育成していく自立支援を行っていますが、日本でも市民を1人のアクターとして信頼してくれることを実感しました。当時の私は特に広報の経験もない大学生でしたが、それでも信頼してもらい、HFWの船に乗せてもらった感覚がありました。寄せてもらった信頼や期待に応えたいという思いが、インターンが終わった後もボランティアやひとつぶ募金を続けた理由の1つになっています。 

ご自身の今後挑戦したいことや目標はありますか。

誰にも言っていない密かな目標があるのですが、学生やボランティアの方々と関わる機会が増えたので、ここで出会った誰かが将来職員や会員として関わってくれたらいいなと思っています。私自身、インターンの時に信頼してもらえた経験があって今まで来ています。当時自分がしてもらったように、私も一人ひとりを尊重して、HFWの温かさが伝播して、その人が将来NGOに関わってくれたら嬉しいなと、それがHFWだったら一番嬉しいなと思っています。

会員・寄付者のみなさまにメッセージをお願いします。

以前からひとつぶ募金には登録していましたが、最近会員にもなりました。私はインターン時代に信頼を寄せてもらった経験をきっかけに寄付したいと思ったのですが、会員・寄付者のお一人お一人に違ったきっかけや思いがあることと思います。普段事務局で仕事をしていると、支援者の方の人数やご寄付の金額は、パソコンのスクリーン上に数字としてしか表れません。でも、それは十進法で表せるものではなく、お一人お一人が「こういう世界に期待しています」と託してくださる約束だと思っています。その重みを感じつつ、世界で飢餓と闘うアクターを育てるために、精一杯活動していきたいです。

インタビュー受けてみてどうでしたか?

自分の中で大事にしているものを久しぶりに言葉にしました。なんだか就活していた当時を思い出しました(笑) ありがとうございました。

(2022年12月収録。役職名は取材当時のものです / インタビュー:広報定期ボランティア 大嶺)