2024.06.07
HFWが行う住民主体の「参加型開発」を分かりやすく解説
HFWのミッションは、「食料への権利」を実現するため、人々や地域・社会をエンパワー※すること。住民が自分たちの未来に対して決定権を持ち、自分たちが必要と考える地域活動を続けられることをゴールに置いた「参加型開発」を進めています。
※直接的な意味は「力を与える(em-~+power)」。自己実現や自己決定を行えるようにサポートする行為をさすなど、意味や使い方は社会変化と共に発展している。
国際支援にもさまざまなアプローチがあります
国際支援というと、紛争・災害の際の緊急支援や特定の人への小規模融資、行政官らエリート層に技術を伝える技術移転など、支援者が人・モノ・資金・技術を提供する活動が注目されがちです。一方でこれらと同時に、住民自身の力を高める「参加型開発」も、一部の支援団体によって地道に進められてきました。HFWでは、提供をベースに自立支援を開始し、さまざまな教訓を得て、参加型開発の度合いを高めてきました。2021年にはミッションとして「人々や地域・社会をエンパワーする」と掲げてからは、さらに実直に取り組んでいます。
求められるバランス感覚
HFWは、住民が自分たちで「食料への権利」を守る地域活動を続けられるようになることをめざしています。しかし、経験のないまま住民が活動を計画し、運営するのは難しいもの。そこでHFWは、住民が自ら地域課題を見つけ、解決に向けて自発的な意思で動き出す力を身につけることをサポートしていきます。
例えば、HFWが、住民同士で課題を話し合う場を設けたり、原因の調査・分析に必要なノウハウを伝えたりします。その上で住民が課題解決に必要な活動を決め、HFWと役割を分担しながら実行していきます。その過程で、新しい協同組合や、既存の住民組織を束ねる組織などが作られ、住民の力は組織として強くなっていきます。そして、少しずつ住民自身の裁量や役割を広げ、支援からの「卒業」をめざします。ただ支部職員は「助けたい」と思うあまり、活動を主導してしまいがち。逆に放任しすぎても、活動は前進しなくなってしまいます。意見の「交通整理役」に徹するが、困った時には支えるというバランス感覚が求められます。
信頼関係と忍耐がカギ
また住民が事業運営を担うまでには、「HFWと一緒に活動すれば、地域はきっと良くなる」という信頼感を築くことも大事です。成果が出るまで時間もかかり、真正面から取り組む支援団体が限られる参加型開発ですが、支援団体と地域住民の信頼関係と忍耐が、成否のカギを握るのです。