2025.01.24
日本の胡麻の自給率は0.1%未満
ずっと胡麻が食べたい!私たちにできることとは?
アフリカの胡麻が良質なわけ
日本の食文化に欠かせない胡麻ですが、その自給率は0.1%未満で、多くがアフリカから輸入されています。ハンガー・フリー・ワールド(HFW)の活動国ブルキナファソは、日本の胡麻輸入相手国第2位です。胡麻はスーダンとウガンダの国境の辺を起源とし、アフリカ中部がルーツとされています。胡麻は栽培して収穫した後、天日で干す工程があります。この工程で雨に当たると、胡麻の酸化度は上がり、風味が落ちてしまいます。その点、雨季と乾季がはっきりしているアフリカでは、乾季の時に刈り取って干すことで良質な胡麻を生産できます。
収穫後、2~3週間天日干しする胡麻
紛争・気候変動で胡麻の生産の危機
しかし近年、胡麻の生産国では、紛争や気候変動で胡麻の生産が脅かされています。ブルキナファソでは、2019年以降治安が急激に悪化、2022年から軍事クーデター政権が続き、200万人以上が避難民となっています。インフラが破壊され、生産に必要な労働者も難民化してしまい、胡麻の生産も危ぶまれる状況です。
かつて世界第2位の胡麻輸出国だったエチオピアでも、2020年に北部ティグライで紛争が起きた影響で、日本への輸出も2019年の1万5000トンから2022年には4000トンまで落ち込みました。また、ブルキナファソもエチオピアも天水に依存して胡麻を生産をしているため、降水量の不足や逆に洪水などで多すぎても収穫に大きな打撃を与えます。
HFWの活動地ガオンゴ郡の住民グループのみなさんが、2024年に農業プロジェクトを開始した土地。5月に胡麻を含めた様々な野菜の種をまき、畑になっている。
胡麻の価格高騰と日本の買い負け
輸入している胡麻の価格はここ数年で3倍ほどに高騰しています。ヨーロッパやアメリカでは所得の上昇に伴い価格上昇を受け入れられますが、経済力が低下している日本は他国との競争で負けつつあります。加えて、日本は輸入作物の中でも特に胡麻に対して、厳しい残留農薬基準と検査を設けており、輸出業者にとってはリスクが高くなっています。また、日本の消費者は安価で高品質な胡麻を求め、生産者への要求が高くなっています。そのため、日本は他国より市場としての魅力が低下しています。
国産胡麻の価格は、輸入品のさらに15倍ほどに達しています。自給率の向上や、輸入価格のさらなる高騰により差が縮まることも考えられますが、そもそも国産の胡麻は粒が小さく脂質部分が少ないため、特に胡麻油や練り胡麻は手ごろな価格の商品にすることは難しい状況です。
私たちにできること
遠い海の向こうで育ち、私たちの食卓に届く胡麻。その小さなひと粒に、広がる世界の食の問題が映し出されています。安さばかりを追い求めないこと、紛争や気候変動に対してアクションを起こすことなど、私たちにできることから始めてみませんか。