2021年3月〜7月:深刻な食料不安が予測される地域(Hunger Hotspots)出典:FAO、WFP
世界中で飢餓や飢饉に直面している2億7000万人の人々のために活動する市民社会団体から各国とそのリーダーへの公開書簡
この度、ハンガー・フリー・ワールド(HFW)は、至急、飢餓のリスクを回避、軽減するための資金提供と行動を、すべての政府に求めるため、市民社会組織(CSO)と非政府組織(NGO)による共同公開書簡に賛同し、署名しました。2021年4月20日公開時現在 、HFWを含む世界の260団体以上が署名しています。
■書簡概要
- 現在および将来に向けて、差し迫る飢餓と困窮状況にただちに対応し命を救うよう、すべての国、とくに援助国政府に呼びかけるCSO/NGOによる書簡。
- 2021年の年初には最大2億7000万人が急激な食料不安に見舞われるか、その高いリスクにさらされている。
- 3400万人以上が飢餓の瀬戸際にあり、命を救う直接的なアクションを今すぐにも実行しなければ、ほんのわずかなきっかけで飢餓状態に陥る。イエメン、南スーダン、ブルキナファソでは、すでに15万5000人が飢餓または飢餓に近い状態におかれている。
■共同公開書簡全文(英語)
https://www.icvanetwork.org/openletterfamineprevention(外部サイト)
■解説
国連機関が飢餓回避のための行動要請を発表
2021年3月に国連世界食糧計画(WFP)および国連食糧農業機関(FAO)は、目前に迫る飢餓のリスクを回避するためにNGOや国連、他のパートナー機関を含む人道支援セクターが2021年に必要とする資金は少なくとも55億ドル(約605億円)と見積もりました。しかし、飢餓の軽減や防止に対する世界の関心と財政支援は先細りする一方であるとし、Call for Action to Avert Famine(飢餓回避のための行動要請)を発表しました。しかし、財政支援だけでは不十分で、紛争を終わらせ、人道支援を行き届かせるためのアクションが必要であり、これまでにない大規模なアクションを起こさなければ多くの命が失われると警告しています。
ブルキナファソとウガンダも危機に
HFWの活動国であるブルキナファソとウガンダでも深刻な食料不安が懸念されています。
HFWが活動している中央部のクブリ郡を含めブルキナファソ全土もぜい弱な食料安全の状況にありますが、特に北部の国境に近い地域では暴力から逃れるため国内避難民となる人も多く、食料不安は危機的な状態が続いています。2021年の農閑期には270万人が深刻な食料不安に直面すると予測されています(参照資料:WFP)。
ウガンダもHFWが活動している首都カンパラの近郊の食料価格は下がっているものの、住民たちはコロナ禍の影響による収入の低下からまだ回復できていないため、注視が必要です。 さらに、北東のケニアや南スーダンに近い地域では種まきの時期に降雨が平年より遅れ、また降雨量も半減したほか、作付け後に豪雨が発生したため、今後、収穫量が減少し、食料不安の危険性が高まると予測されています(参照資料:FEWS NET)。
HFWではこれまで、飢餓のない世界をつくるために、バングラデシュ、ベナン、ブルキナファソ、ウガンダで自立支援の活動を続け、食料への権利の実現を推進してきています。しかし、この活動地もコロナ禍や気候変動の影響から無関係なわけではありません。HFWでは引き続き、気持ちを引き締めて、活動地で自立を目指す人々の生活が確実に改善していくよう、地域住民や現地の自治体、政府と協働しながら取り組んでまいります。
今こそ、「誰一人取り残さない」ために
世界全体が経済的、社会的にも苦しい今こそ、持続可能な開発目標(SDGs)の前文にもある「誰一人取り残さない」というその精神を胸に、力を合わせて乗り越えられればと願います。どうぞHFWと共に、深刻な食料不安に直面する人々に心を寄せ、立ち上がってください。