17のゴールを定めたSDGs
2015年は、2000年に国際社会が定めたミレニアム開発目標(MDGs)の達成期限。各目標、各地域によって達成度が異なり、課題が残されました。経済格差や若者の失業、高齢化、自然災害などの早急に対応すべき状況に対する、新たな開発目標が必要です。そこで、2016年から始まり2030年の達成を目指した持続可能な開発目標(SDGs)が、2015年9月25日に国連で採択されました。
明快な数値と枠組みで達成をめざしたMDGs。一方、積み残し課題も
MDGsは、国際社会が世界の課題に対しての取り組みに、はじめて期限を定めて数値目標を設定した点で画期的でした。進捗が数字で測れること、先進国が開発途上国を支援するという単純・明快でわかりやすい枠組みが、目標の達成を後押ししました。しかし、いくつかの目標は、達成が困難といわれています。また、達成が見込まれている目標についても、その要因は一部の国の経済成長によるもので、国家間、国内間で格差が生まれるなどの課題も残ります。
■飢餓を半減する目標は達成目前
MDGsの目標1「極度の貧困と飢餓をなくす」について、人口が増えるなかで、世界全体では、栄養不良の人々の割合は18.6%(1990年)から10.9%に減少しました。しかし、サブサハラ・アフリカ地域や南アジアなどでは目標に届かず、依然飢餓人口率が高いままです。
先進国にも自国での取り組みを求めるSDGs。飢餓は「半減」ではなく「終わらせる」
SDGsでは、先進国も開発途上国も主体的に関わり、世界が一丸となって協力することを求めています。MDGsが残した課題に加え、気候変動や防災等の環境に関連する課題を含む、17の目標と169のターゲットが設定され、どのように実施するのか具体的な手段も盛り込まれています。極度の貧困解消に加えて、「持続可能な世界」の実現が目標に据えられているのが特徴です。
また、MDGsより踏み込んだ内容になっています。例えば、飢餓に関する目標2では、MDGsで「半減」だった表現が、「終わらせる」になっています。「誰一人として取り残さない」という強い意志を示すものになっています。
SDGsのターゲットは私たちの日々の行動にも言及
SDGsは、日本国内では現在外務省や環境省をはじめ、関係省庁とNGOとでSDGsの実施に向けた対話も始まり、HFWも参加しています。しかし、各国政府だけでなく、あらゆる立場の人々―企業、研究者、NGO/NPO、そして一般の市民が達成に向けて行動することも必要です。実際にSDGsは、政府に取り組みを促すよう訴える以外にも、もっと身近に私たちができることについて言及しています。たとえば目標12の「持続可能な生産消費形態を確保する」には、ターゲットとして「2030 年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和した ライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする」と明記しています。消費者として食料ロス・廃棄を生まないことや、省エネを心がけ二酸化炭素の排出を抑えることなどが具体的な行動として考えられます。 人類の未来を持続可能で希望の持てるものにするために、一人ひとりが行動することが求められているのです。
ワークショップで世界の飢餓について考える
食品ロス・廃棄直前の食材を持ち寄ってみんなで食べる