本 : 飢餓のない世界を創る国際協力NGO ハンガー・フリー・ワールド HUNGER FREE WORLD     

世界から飢餓を終わらせるための30の方法

飢餓の解決に向けて行動する人を増やすことは、HFWの大切な活動のひとつ。「飢餓に苦しむ人がいることは知っているけれど、どうしたらいいかわからない」「ニュースを聞けば気になるけれど、自分には何ができるのだろう」。こんな人に向けて、専門的な内容から身近にできることまで、飢餓についてわかりやすくまとめ、考えるきっかけになる本『世界から飢餓を終わらせるための30の方法』を制作しました。
HFWが執筆するほか、各分野で活躍する専門家の方々に執筆を依頼し、詳細にまたわかりやすく解説しています。

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世界から飢餓を終わらせるための30の方法

ハンガー・フリー・ワールド編著
勝俣誠(明治学院大学平和研究所〈PRIME〉所長)監修
合同出版/定価 本体1300円+税 2012年4月発行


内容(目次)

第1章 世界では6人に1人が飢えている

  • 飢餓ってどんなこと?
  • 一気に解決する方法はないの?
  • Hungry is angry!

第2章 飢餓はなぜ起こる?

  • 食料があるのに飢えるのはなぜ?
  • 買い占められる開発途上国の農地
  • 農地を奪うバイオ燃料
  • 貧しい人がより貧しくなる貿易のしくみ
  • 投機マネーに翻弄される食料価格
  • 安くて便利な食生活の反対側

第3章 身近な飢餓問題

  • 私たちの食の現状を知ろう
  • フード・マイレージを意識する
  • 食卓から命のつながりを考える
  • ほんのちょっとの「もったいない」
  • 食教育を充実させよう
  • 世界の食卓の写真から自分たちの食のあり方を考える

第4章 暮らしからなくす飢餓

  • あなたの脂肪が地球を救う
  • 地球にも人にも、やさしい食べものを選ぶ
  • 生産者の顔の見える食品を買う
  • フェアな商品を買う
  • 外食はこんなお店で
  • 寄付は未来への投資
  • ボランティアに参加する
  • フードバンクでつながろう
  • 食料価格に関する情報の格差を埋める
  • アドボカシーで世界のしくみを変える

第5章 食料への権利を知る・考える・調べる

  • みんな持っている「食料への権利」
  • 伝統的な作物が大切なわけ
  • 有機農業は貧しい人の生活を変える
  • 女性を応援しよう
  • 「隠れた飢餓」をなくす


Pick up レビュー

第2章より 「安くて便利な食生活の反対側」
開発途上国の農地が、自分たちの食べ物をつくる場所ではなく、先進国に住む一部のお金を持った層に向けて「商品」をつくる場所となっている。そうして自分の土地を奪われ、自給自足の生活を追われた貧困層の人々は、都市スラムで飢えと隣り合わせの暮らしを送る一方、先進国の人々も、脂肪過多の食肉や、お手軽な甘い物を「安く」「たくさん」食べられるようになったことと引き替えに、不健康になっている。そんな世界のいびつな構造を示唆する1項。(著者:佐久間智子/アジア太平洋資料センター)
第4章より 「あなたの脂肪が地球を救う」
「世界の肥満人口は約10億人、飢餓人口も約10億人。肥満に苦しむ人から飢餓に苦しむ人へカロリーを渡せないか?」そんな発想をもとに、運動や野菜中心の食事で健康になった分のカロリー換算数×1円を、NGOなどに寄付しようという取り組み「メタボランティア」。参加方法、自分で企画する方法など、先進国の人も開発途上国の人も一緒に健康になるための、身近な行動を提示する1項。(著者:轡田高志/メタボランティア)


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Interview 出版に寄せて

合同出版 編集担当
三浦早良 (みうら・さわら)さん

「お金の使い方から食事の選び方まで、日常のなかで、
飢餓を終わらせる方法が見つかるはずです」

Q. この本を企画した理由を教えてください
日本では、「飢餓=かわいそうなアフリカの子ども」というイメージが強く、到底解決できる問題ではないという諦めの意識もあると思います。そこから一歩踏み出して「飢餓」を紹介したいと、2003年、教授が息子に飢餓の原因を語るという設定の翻訳本を出版したのですが、次は、より日本人が身近に理解でき、具体的な取り組みのヒントになる本を出したいと考えていました。

Q. なぜ、HFWに編集をまかせていただいたのでしょうか?
専門的な情報を集め、一般の人にわかりやすく編集できる人物ないし団体が、なかなか見つかりませんでした。そんなある日、HFW活動説明会に弊社編集スタッフが参加したんです。すると、学生さんや会社帰りのサラリーマンなどがいらしていて、お勉強というより、まず知ってみようという気軽な雰囲気だったと。HFWなら幅広い層へ向けて伝えられるのでは、という期待が高まり、白羽の矢が立ちました。

Q. 編集には約1年間かかりました。でき上がってみていかがですか?
執筆者が25名おり、研究者、ジャーナリスト、NPO/NGO、飲食店、生協と、想定以上に幅広く、驚きました。内容も、今まさに進行中の先進国による農地の奪い合い、国際市場と飢餓の関係、消費者として食卓から貢献できること、寄付は未来への投資と考えて寄付先を選ぶ根拠をもつことの大切さ……、目からウロコの情報ばかりで、HFWにお願いして本当によかったです。

世界には食べられない人がいる、ということに何か引っかかりを感じているけれど、食料援助だけでいいのかと感じているという方が、飢餓問題を多面的に理解し、無理なく自分なりの一歩を踏み出せる本が完成したと思います。