お手紙コンテスト メッセージ紹介と審査講評 : 飢餓のない世界を創る国際協力NGO ハンガー・フリー・ワールド HUNGER FREE WORLD     

お手紙コンテスト メッセージ紹介と審査講評

 

団体優秀賞
広島県立安古市高等学校

審査を終えて

今回の審査は、「食べることは誰にとっても大切なかけがえのないもの」だと実感しているか、世界の飢餓について自分の暮らしとのつながりから考えられているか、の2つの観点から行われました。全体として、身近な「食」について感謝の気持ちを綴った作品は多く見られたものの、世界の飢餓の問題について考察を深めたものは少なく、触れていてもやや消化不良で自分の生活とのつながりが希薄なものなどがありました。そんななかで広島県立安古市高等学校では、2つの点をしっかり押さえた作品がそろっており、3名の審査員から最も多くのポイントを集め、受賞に至りました。


 

個人優秀賞(順不同)
野口紗耶さん(上尾市立東中学校)

メッセージ紹介

お母さんへ
クリスマスのときは特別な料理をありがとう。それ以外でも仕事で疲れていたり、体調が悪かったりするのに毎日欠かさず、おいしいご飯を作ってくれてありがとう。私は今まで食べ物を何も考えないで残していたけど、世界には作りたくても作れない、食べたくても食べられない人がたくさんいることに気づきました。これからは、できるときは家族で分担して料理を丁寧に作っていきたいと思います。

審査員から

荒井由美子さん/国連食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所 広報官
子どももこの特別な日をつくり上げる一員になっている。普段の食事だけではなく、特別な日を通じてさらに、食の大切さを実感されていたように感じました。


廣田朱里さん(広島県立安古市高等学校)

メッセージ紹介

母さんへ
毎日学校とかで疲れたりするけど、いつも母さんの晩ご飯のことを考えて、それを楽しみに生きています(笑)。いつも口には出さんけど、たぶんどこの家の晩ご飯よりおいしくて、豪華で、バランスとかいろいろ考えてくれてるなあ~☆って思っています! 母さんも疲れているのに、時間をかけて、たくさんおいしい料理を当たり前のようにいつも作ってくれてありがとう! たまに、てか結構文句とか言うけど、それはお腹がすいててMAXテンション低くて言ってるだけだから、受け流しください(笑)。嫌いなメニューでも、食べてみたらおいしいです。いつもおいしい料理を食べられて幸せ者です。自分ももし子どもができたら、子どもに母さんのご飯が食べられても幸せと思われるように、大学生になったら(笑)料理がんばります!

審査員から

山本浩子さん/株式会社電通 コピーライター
たくさんのおいしそうな食べ物たちに、お母さんとの何気ないやり取り。特別ではないけれど、毎日の食事のなかで食べることの喜びを感じ、その喜びを伝えていきたいと思う生徒さんのメッセージに、読んでいて幸せな気分になりました。


長坂あふなんさん(東京学芸大学附属国際中等教育学校)

メッセージ紹介

(訳)お父さんへ
いつもラマダンの時にクーナファ(バルカン半島のお菓子)を作ってくれてありがとう。いつもお父さんは2つ作ります。もちろん一つは自分たちのだけど、もう一つは誰のものか、いつも疑問でした。お父さんは「モスクに来ている人のなかで、食べものが買えない人にあげるんだよ」と言いましたね。私はこれが最初理解できませんでした。クーナファを作るには、丸一日かかるし、そもそも知らない人にあげるなんて、考えられないと思ったからです。お父さんは「重要なのは、与えることの幸せだよ。誰かが食べてくれるのだから。それがラマダンの本当の幸せだよ」。この言葉を聞いたときに、なぜ食べ物を与えてもらうよりも与えるほうが良いのかを知りました。私は日頃食べるものすべてに感謝したいです。そしてこの世界の人たちが食事の前に食べ物だけでなく命にも感謝しようと言っている意味がようやくわかりました。

審査員から

星野直理事/特定非営利活動法人ハンガー・フリー・ワールド(啓発活動担当)
HFWが大切にしている「食べることの幸せや感謝を共有しよう」という姿勢をお父さんが行動で示していること、また、それを感じとった子どもがすごい。お父さんにも賞をあげたいです。


鈴木花奈さん(東京都立農芸高等学校)

メッセージ紹介

おばあちゃんへ
今までおいしいお米を作ってくれてありがとう。もう食べられないと考えるとさみしいけれど、おばあちゃんの作ったお米の味は忘れません。

審査員から

荒井由美子さん/国連食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所 広報官
おばあちゃんが培ってきた味、おばあちゃんでしか出せない味というのはお金に変えられない価値があります。貴重な財産をお孫さんに継承されるという、時間を超えた素敵なメッセージを感じました。とても感動しました。
 
 
 
 


板野仁則さん(広島県立安古市高等学校)

メッセージ紹介

おじいちゃんへ
今はもう亡くなってしまったけど、今もまだ、おじいちゃんが育ててきたご飯やぶどう、そして野菜を食べています。今それを育ててくれるおばあちゃんと、始まりの種をまいてくれたおじいちゃんに、ありがとう。

審査員から

山本浩子さん/株式会社電通 コピーライター
おばあちゃんが送ってくれるお米やぶどうを食べることで、今は亡くなったおじいちゃんともつながることができる。人と人をつなぎ、未来まで引き継がれていく、食の持つ力を感じました。
 
 
 
 


海津充則さん(中越学園中越高等学校)

メッセージ紹介

自分に関わりのあるすべての人へ
自分の生かされているこの世界において、自分と関係のない人はいない。だけど、世界に感謝の言葉を叫んでも伝わらない。感謝の気持ちを考えると、言葉以外にもきっとある。大切なのは、感謝すること。だったら一番簡単に想うことが大切だと思う。だから自分は想う。ありがとう。

審査員から

星野直理事/特定非営利活動法人ハンガー・フリー・ワールド(啓発活動担当)
命をいただくことに感謝をすることはとても大事なこと。自分にかかわるすべての人へのありがとう、という感謝の姿勢がとてもいいですね。