特集

2007.09.03 Special Issue No.15

NGOの基礎力作り~「やりたいけど、できない」から抜け出そう~3

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INDEX

HFWのキャパシティビルディング

支援が終わっても、活動は終わりません。
事業を継続するための基盤作りに取り組んでいます。
 
HFWは適正化施策見直しの結果、2007年3月で準支部を置くインドネシアからの撤退を決定。撤退までの1年間で、同準支部が現地NGOとして活動を継続できるよう、キャパシティビルディングのプログラムを提供しています。

その一環として、HFWの活動国で最も高い成果を上げているバングラデシュ支部との相互研修を行いました。


1年間をかけて、インドネシア準支部の自立を支援

2006年9月、インドネシア準支部職員を対象としたキャパシティビルディング研修を、バングラデシュ支部の協力の下で行ないました。この研修は、2007年度3月末での撤退が決定している同準支部が、HFWの支援終了後も自立した組織として活動を継続していくために、必要な能力を身につけることを目的としています。

インドネシアからの撤退が決定したのは、2005年12月の理事会でのことでした。
2004年11月から進めてきた適正化施策の一環として、本部の能力に見合った事業規模にするために活動国の選択を実施。安定した経済成長を続けているインドネシアの情勢のほか、現地での資金調達能力や活動実績をふまえた上での決断です。この時点ですぐに撤退する選択肢もありましたが、本部は、同準支部が今までの資源を最大限に生かして活動を継続していけるよう、キャパシティビルディングのプログラムを1年間かけて行うことを決めました。

目標を達成するために必要なこと、組織の能力強化

1年間という短期間で活動を継続できる組織体制を構築するために、このプログラムを行うにあたって特に注意した点があります。まず、プログラムの第1段階として、インドネシア準支部スタッフ全員を対象にニーズの把握・共有を行なうこと。次に、研修内容を職員全員にフィードバックする場をあらかじめ設けておくことです。

組織の能力強化と言っても、研修に参加するのは個人。参加した個人の学びを組織に反映することで、初めて研修の成果が組織の能力強化に繋がります。組織のニーズを全体として把握し、個人の学びを組織が吸収する体制を作ることが、キャパシティビルディング成功の鍵です。

プログラムの土台作りとして、2006年4月にインドネシア準支部職員全員でAI(=Appreciative Inquiry)という手法を使ったワークショップを行いました。このワークショップは、職員全員が一丸となり「組織」を見直す、初めての機会となりました。2日間のワークショップを通じて、住民参加型の開発事業が実施できる能力をつける、民主的な組織運営を行う、効果的に他団体とネットワークを組み事業を行う、マイクロクレジット(小規模貸付)を運営する能力を身につける、という4つの目標が決定。特定の出資者からの委託事業を中心に行なってきたこれまでの事業形態から、多様なパートナーと共に住民を主体とした開発事業を行なうNGOへ変化していくという組織の方向性と、そのために必要な行動が明確になりました。

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終了証を手に、にっこりのインドネシア準支部職員


住民たちや、職員との交流から学んだバングラデシュ訪問

そして2006年9月、HFWの活動国で最も成果をあげているバングラデシュ支部に、インドネシア準支部職員3名を招き、研修を行いました。受け入れる側、受け入れられる側の双方がニーズを把握した上で研修に臨むため、AIワークショップで決定された目標を事前に両国の間で共有。話し合いながら研修プログラムを作り上げてきました。研修は9日間行われ、本部担当職員も同行しました。

まず始めに、住民参加型の開発事業の手法を学ぶため、事業地のひとつであるボダ郡を訪れました。継続されている養蜂事業や学校給食事業、奨学金事業などの視察に加え、新しく事業を始める地域での、事業立案の話し合いにも参加。読み書きのできない人もいる住民たちと話し合いを進めるため、専門的になりすぎず単純でわかりやすい手法を用いた、ファシリテーションの技術を体感することができました。また、住民組織との話し合いの場を多く設けるといった、住民に参加を促す様々なコツも学びました。

職員がどのように組織の意思決定に関わり、責任を果たしていくべきなのか。バングラデシュ支部職員との率直な意見交換を通じ、民主的な運営体制作りのヒントを得ることができました。HFW以外の団体も訪問。それぞれの活動形態に合った運営方法や、どのように団体の利益と責任のバランスを保ちながらネットワークに参加・構築していくかなどを学びました。今後取り組む予定のマイクロクレジットを視察し、具体的な運営方法を学ぶこともできました。

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奨学金受給者のサリナさん宅を訪問


さっそく実践! 学びを生かすためのワークショップを実施

研修の最終日は、参加者3名が学んだことをまとめ、ワークショップを作成する時間にあてられました。インドネシアで待つ職員に研修から学んだことをフィードバックすること、また、たくさんのワークショップや話し合いを通じて学んだ、ファシリテーションの手法を実践することが目的です。バングラデシュ支部の職員が住民との話し合いで使っていた手法などを取り入れ、ワークショップを組み立てていきました。

バングラデシュからインドネシアに帰国して2日後、まだ研修の記憶が新しいうちに、インドネシア準支部職員25名を一堂に集め2日間にわたるワークショップを実施しました。写真を交えたスライドを用いて、バングラデシュ支部の行っている事業や、バングラデシュという一つの国の中でNGOの役割がどのように変わってきたのか、などを振り返りました。

また、事業の立案から実施までの「プロジェクト・サイクル」を考える参加型のワークショップや、「開発」という単語の語源をインドネシア語、ベンガル語、日本語で比較し、その役割を考えるセッションなど、様々なアイディアを使って研修の成果を報告しました。

今回、研修を通じて異なる国の活動を見聞きしたことは、新たな知識を得るだけではなく、改めて自らの活動を振り返るきっかけにもなり、インドネシア準支部が活動を継続していくための大きな足がかりとなったはずです。今後も、このような活動国間の学びあいが促進されることが期待されています。

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