前中長期の評価と教訓 : 飢餓のない世界を創る国際協力NGO ハンガー・フリー・ワールド HUNGER FREE WORLD     

前中長期の評価と教訓

2006年度から2015年度までの中長期目標の評価

2006年度から2015年度までの期間に104万7013人の自立を支援したものの、その成果を出した活動は中長期目標に含まれていませんでした。すべての活動国に共通する活動にのみ目標を設けたためです。
その共通であった中長期目標に関しては達成率が低く、目標や指標の立て方、モニタリングなど組織的な能力不足が教訓になりました。

■地域をつくる

【目標】すべての活動地域で住民の能力強化を行い、各国1つ以上の活動地域において、地域開発事業の自主運営ができる状態になっている。

達成国:なし

【評価】共同組合や自助組織による自主運営のための能力強化はできましたが、完全な自主運営には至りませんでした。

■しくみを変える

【目標】ミレニアム開発目標(MDGs)をはじめ、「食料への権利」の実現に寄与する国際的目標が達成されるよう、(a)国家/地域政策に提言を行い議論の場にあげられた、(b)それを目的とするネットワークをリードしている

達成国:(a)バングラデシュ、ウガンダ、日本 (b)バングラデシュ、日本

【評価】5ヵ国で「食料への権利」について伝えるワークショップを開始。特にウガンダ、ベナン、日本では、受講者やボランティアが「食料への権利」の実現につながる行動を起こすようになりました。ただし、活動をやれば達成としたため、どのような成果が上がったのか重視されませんでした。

■気づきをつくる

【目標】人権と、特にそれに含まれる「食料への権利」を促進する活動が開始されている

達成国:バングラデシュ、ベナン、ブルキナファソ、ウガンダ、日本

【評価】5ヵ国で「食料への権利」について伝えるワークショップを開始。特にウガンダ、ベナン、日本では、受講者やボランティアが「食料への権利」の実現につながる行動を起こすようになりました。ただし、活動をやれば達成としたため、どのような成果が上がったたのか重視されませんでした。

■若い力を育てる

【目標】(a)支部国では活動地域内の社会的開発を、日本では日本国内の啓発活動を、YEHがけん引している。(b)YEH同士の協力関係を強化してYEH自身の経験を分かち合っている

達成国: (a)なし (b)バングラデシュ、ベナン、ブルキナファソ、日本

【評価】5ヵ国とも啓発活動への寄与はできましたが「牽引」まではいきませんでした。また、5ヵ国ともYEHの国内会議は年1回以上開催し、経験を分かち合っていましたが「強化」は不十分でした。

中長期目標をつくった3つの新たな視点

2006年からの前中長期目標の評価を教訓にした3つのポイントで、2016年からの中期目標をつくりました。

1.「何をやったか」から「変化を起こせたか」

前中長期目標では、HFWが「行うこと」を目標にしたものがありました。しかし、これからのNGOは、どんな活動をしたかではなく、社会にどんな影響があったか(社会的インパクト)で評価されなければならないと、HFWは考えました。そのため、新しい中長期目標は、社会にどのような変化を起こすのかを目標にしました。


2.客観的な評価ができるように

前中長期目標では、何をもって達成なのかが不明確だったために、めざすゴールが担当者によって違っていたことや、評価が主観的になってしまうことがありました。そこで今回は、目標の定義づけを細かく行い、指標も設定しました。また、国や他機関の取り組みの影響があるなかで、HFW自身が目標達成にどの程度寄与したのかを評価する仕組みも取り入れました。


3.すべての活動を目標達成のために設計・モニタリング

前中長期目標では、目標達成に結びつく活動は、HFWの活動の一部でした。すべての活動国に共通する活動のみに目標を設けたためです。そのため、目標達成に結ぶつかない活動が優先されることも多く、目標の軽視にもつながりました。そこで今回は、先に目標を定めてから、その目標にすべての活動が向かうよう、各活動国で活動を再設計しました。また、目標達成を組織として最重視し、活動が目標からずれていないか、期限までに達成可能であるかを常に確認します。実施中でも、目標に結びつかなくなったり、他より効果が低かったりする活動は、早期に軌道修正、あるいは実施の中止や移譲を行います。