インタビュー:「食料問題は私たち一人ひとりの課題」国内事業担当の西平さん : 飢餓のない世界を創る国際協力NGO ハンガー・フリー・ワールド HUNGER FREE WORLD     

インタビュー:「食料問題は私たち一人ひとりの課題」
国内事業担当の西平さん

普段は見えにくい職員の仕事や人となりを、ハンガー・フリー・ワールド(HFW)の学生インターンがインタビューで聞きました!
今回は啓発活動を担当している西平久美子さんにフォーカスを当てます!

「世界食料デー」月間の特設サイトは、食料問題に関心のある人に向けた機会や資料が揃えられている。

啓発とはどのような仕事ですか?

西平: まず、広報と啓発の違いですが、広報は団体の名前や活動を知ってもらうこと、それに対して啓発は団体が解決に取り組む課題自体を知ってもらうことかなと思います。課題を知り、その課題と自分のつながりを知り、さらに自分の行動は課題解決につながると実感してもらうことが啓発の役割だと思います。
 HFWは、2008年から「世界食料デー」月間の呼びかけ団体と事務局を務めています。これは、食料問題を自分ごと化してもらい、行動を促す啓発キャンペーンで、私はその担当をしています。もう1つ担当しているのが、2022年に始動したフードシステム変革推進チームというボランティアチームのサポートです。ボランティアといっても、食料問題を解決するために多くの市民にアクターとして関ってもらうための場作りやネットワーク作りを集中的に責任をもって担うチームです。

西平久美子:国内事業担当職員

「世界食料デー」月間を通して期待することは何ですか?

西平:飢餓や食料問題は、課題に直面している個人の問題ではありません。飢えた人がいたとしたら、それは社会の構造の問題ですし、社会の一員である、私たち一人ひとりの課題です。「世界食料デー」月間では、食料問題を自分ごと化してもらい、主体的に考え、行動してもらうことを重視しています。多様な課題に取り組む団体・企業が関わってくれているので、横のネットワーク強化や学び合いをすることで、取り組みのインパクトを増していきたいです。

何をきっかけに食料問題に興味を持ちましたか?

西平:高校生の頃「国際協力のボランティアがしたい」と探す中でHFWの青少年団体である当時のユース・エンディング・ハンガー(YEH)を見つけ、活動を始めました。最初から特に食料問題に関心があったというわけではありませんが、活動する中で発見が積み重なっていきました。食料問題・飢餓というテーマを見つけ、そのフィルターをかけると、世界の見方が変わりましたし、そうして情報を収集していった結果が現状かなと思います。

啓発活動を通してご自身の生活に何か変化はありましたか?

西平:色々ありあますが、自分が日々選択する行動は、ある意味で啓発やアドボカシーだなと感じています。食料問題だけでなく、自分がよく使うサービスなどのアンケートに「ここは改善できませんか?」と書いてみると、意外と改善された経験もあります。自分の行動が社会にどのような影響を与えるのか、結果を想像したり、観察したりするというのは癖になっているかもしれないです。

啓発活動は目に見えた効果がすぐ現れるわけではないと思います。
私もインターンに参加しながら難しさを感じるのですが、モチベーションはどうやって継続させていますか?

西平:「塵も積もれば山となる」と言いますが、小さな行動や成功体験を繰り返し経験していくことが大事だと思います。例えば、HFWの資金の大部分は「書損じハガキ回収キャンペーン」で集められています。地道なカウント作業をコツコツ続けていくと、最終的に約2億円になる。それって、すごいことですよね? 試してみても思い通りにならないこともあると思いますが、成功したもの・ことを自分の中にストックしていくことが必要なのかなと思います。それから、同じ想いを持った友人がいると、情報も入ってきますし頑張ろうという意欲が湧くかなと思います。

<学生インターンのコメント>
阿部:自分は何か新しい事を始めても結果が出るのを待てずに辞めてしまうところがあるので、地道な成功体験をコツコツと集めていくことで少しずつゴールに近づくという考え方を参考にさせて頂きます!
水澤:社会問題が社会の構造の問題で且つ社会の一員である私たち一人一人の課題であるという意識を常に持ち、HFWでの活動がもちうる社会への影響を考えながら活動に向き合っていきたいと思います。

2023年6月収録。役職名は当時のものになります。
文責:フードシステム変革推進チーム学生インターン 阿部