アフリカの現状について述べる「SDGsケニア・フォーラム」のフローレンス・シェブオ・ムリ氏
これからの提言活動に生かせる広い視点からの議論ができました
6月7日、HFWが参加するNGOのネットワーク「市民ネットワーク for TICAD」主催のシンポジウム「アフリカのSDGs達成に向けた東アジアの役割と連携」を原宿クリスチャンセンターで開催しました。このイベントはアフリカにおけるSDGs達成に向けた現状と取り組みについて学ぶと同時に、複数の支援プラットフォームがあるなかで、活動を整理し、今後東アジアの市民社会はアフリカのSDGs達成とアフリカ開発にどう寄与するかを検討しようと企画されたものです。今回は「SDGsケニア・フォーラム」のフローレンス・シェブオ・ムリ氏、NGO「アフリカ・インサイト」のスティーブン・ホ・ソンヨン氏、「市民ネットワーク for TICAD」の稲場雅紀氏が登壇し、NGO関係者を中心に約30名が参加しました。
フローレンス・シェブオ・ムリ氏からは「アフリカでは限られた資源という課題を抱え、増え続けている若い世代に、どうやってSDGsやAgenda2063※の達成のための役割を果たすのかをつないでいく必要がある。アフリカ市民社会の貢献が重要だ」とケニアの実態について紹介がありました。ついでスティーブン・ホ・ソンヨン氏から「韓国は朝鮮戦争とその後の経済急成長を経験した。その経験をアフリカと共有し、政治的・経済的関わりを持っていきたい。韓国では航空券の一部が支援金になる航空券連帯税導入国である一方で国内ではアフリカへの関心が薄い。市民社会の認識改善に取り組む必要がある」と韓国の取り組みが紹介されました。最後に稲場雅紀氏から「TICADはアフリカ開発のための多くの国際機関を巻き込んだ多国間の取り組みを立ち上げている。NGOなどの市民社会はどのように政策形成・実施・レビュー・モニタリングに参画していくのかを検討する必要がある」と解説がありました。後半のパネルディスカッションでは各国の課題や活動事例のより詳しい説明があり、質疑応答では市民社会へのかかわり方やSDGsの進め方について具体的な話がされました。
1ヵ国とアフリカ大陸という構図ではなく、東アジア地域とアフリカ大陸という広い面での連携という視点から、既存の取り組みをどう整理していくか、これからの活動に生かせる活発な議論ができました。
※Agenda2063…今後50年にわたる、アフリカ大陸の社会経済変革のための戦略構成でアフリカ連合(AU)が2015年に策定。成長と持続可能な発展のため、過去そして現在の大陸の取り組みの推進を加速させることをめざしている。
韓国とアフリカの関係や今後の取り組みについて述べるスティーブン・ホ・ソンヨン氏
アフリカの現状や、これからの東アジアのSDGsへの取り組みについて熱心に耳を傾ける参加者
参加者から、「東アジアが連携したとして、アフリカ市民社会とどう連携していくのか」など多くの質問が寄せられた
参加した方のコメント
ケニア・韓国の事情を詳しく聞いた後でTICADの稲葉さんの話が聞けて、東アジアでいかに連携するかを考える良い機会になりました。各国の現状を知ることができ、とてもおもしろかったです。
8月に参加する模擬国連のトピックのひとつがSDGsなので今回のシンポジウムに参加しました。私自身が日本や韓国の国際協力の実態を知らなかったので、もっと日本の市民社会にアフリカの現状や国際協力の認識を広めていく必要があると思いました。