今回の体験セミナーで使用した「食」を入り口にしたエンディングノート。
―「エンディングノート体験セミナー」レポー ト
HFW(ハンガー ・フリー ・ワー ルド)では、遺贈寄付「みらいむすび」の取り組みの一環として、「食」を入り口にしたエンディングノートを体験する「食べることから、みらいをむすぶ。~ エンディングノートで考える 私の人生とこれから ~」(2026年3月24日/都内会場)をテスト開催しました。今回は、その様子と、遺贈寄付という選択肢について、本部職員へのインタビュー を通してレポー トします。
お話を聞いたのは、国内事業マネー ジャー で法人連携・啓発活動を担当する田中梨佳(以下、田中)と、法人連携担当の石井大輔(以下、石井)。聞き手は広報担当です。
高まる遺贈寄付への関心
近年、「遺贈寄付」への関心は確実に高まっています。日本承継寄付協会の調査によると、遺贈寄付の認知度は年々上昇しており、特に50代以上の世代では「人生のまとめ方」や「社会への還元」として関心を持つ方が増えています。また、相続財産の規模が拡大する中で、その一部を社会に役立てたいという意識の広がりも背景にあります。
HFWの遺贈寄付「みらいむすび」とは
ー HFWの遺贈寄付「みらいむすび」という名前には、どんな意味があるのでしょうか。
(田中)もともと、月々の寄付である「ひとつぶ募金」があって、それが少しずつ積み重なっていくイメージなんです。毎日の小さなお米「ひとつぶ」が集まって、やがてひとつの「おむすび」になる。それを未来や社会のために使っていく、という意味を込めています。2013年から取り組みを始めて、2025年から本格的にご案内するようになりました。2026年は3月時点で資料請求が50件を超えていて、昨年と合わせると100件以上にのぼり、関心の高まりを実感しています。
遺贈寄付だからこそできること
ー 一般の寄付と、遺贈寄付はどう違うのでしょうか。
(石井)生前の寄付は、「この先の生活費は大丈夫だろうか」と不安を感じて踏み出せない方も少なくありません。一方で遺贈寄付は、亡くなった後に財産の一部を託す形なので、生活への不安を抱えずに意思を残せるのが大きな違いです。
また、通常の寄付は「誰かの役に立ちたい」という想いがきっかけになることが多いですが、遺贈寄付はもう一歩踏み込んで、「自分の人生をどう締めくくるか」という視点が加わります。実際に、遺言書を作成した方から「人生が整理されて豊かになった」と聞くこともあります。
整理することで未来の不確実性が減って安心感につながること、自分の価値観を見つめ直すプロセスになること、亡くなった後も想いを未来につなげられること、そして時間の有限性に気づいて「今」を大切にできること――こうした点が、遺贈寄付の特徴です。
(田中)「遺贈寄付はお金持ちがするもの」と思われがちなんですが、決してそんなことはありません。例えば10万円でもいいですし、家族や友人と分けたうちの一部を寄付する形でもいい。難しく考えすぎず、もう少し身近なものとして捉えていただけたらと思います。
エンディングノート体験セミナーを開催した理由
ー 今回の体験会は、どのような背景で開催されたのでしょうか。
(石井)遺贈寄付もエンディングノー トも、言葉としては知られているのですが、実際に行動に移す方はまだ多くありません。そこで、まずは「書いてみる」ことで一歩を踏み出すきっかけをつくりたいと考えました。
今回のエンディングノートは、「死の準備」ではなく「これからの人生をより豊かにする振り返り」として考案しました。特にHFWらしさとして、私と食にまつわるページを設けました。これまでの食の思い出や、大切な人と囲んだ食卓、最後に食べたいものなどを書き出していくことで、自分が何を大切にしてきたのかに自然と気づく構成になっています。また、私と社会との関係を書くページでは、これまでの仕事や社会との関わり、これから実現したい未来についても考えられるようにしています。書くことを通して、これまでの人生で大切にしてきた価値観や、周りとの関わり方に気づき、整理するきっかけになれたらという気持ちを込めています。
体験会当日の様子と参加者の声
ー 当日の様子について教えてください。
(田中)今回は、テスト開催ということで、参加者はHFWのボランティアの方々や役職員で、和やかな雰囲気の中で進めることができました。まずは、大手金融機関で長年遺言信託業務に従事され、現在は遺贈寄附推進機構株式会社 代表取締役社長であり、全国レガシーギフト協会理事でもある齋藤弘道さんから、遺贈寄付やエンディングノートについてお話しいただきました。実務と人生への向き合い方の両面からの話がとても印象的でした。
その後、参加者のみなさんに実際にノー トを書いていただきました。それぞれの人生と向き合う、とても豊かな時間になったのではないでしょうか。
ー 参加者の反応はいかがでしたか。
(石井)アンケート結果から、「人生の棚卸しができた」「これからを考えるきっかけになった」ということがわかりました。一方で、遺贈寄付によってどんな変化が生まれるのか、より具体的に知りたいというニーズも見えてきました。今後は情報提供や相談の機会を充実させていく予定です。
自分の想いを未来へつなぐという選択
ー 遺贈寄付で託された想いは、どのように活かされていくのでしょうか。
(石井)HFWでは、「飢餓のない世界」の実現に向けた活動に大切に活用させていただきます。ご寄付にご興味をお持ちの方の価値観や人生に寄り添いながら、一緒に「飢餓のない世界を次世代へ残していく」ことを考えていく伴走型の姿勢を大切にしています。
ー 最後に、遺贈寄付「みらいむすび」をご検討される方へ一言お願いします。
(田中)遺贈寄付は特別なことではなく、日常の延長線上にあるものだと思っています。災害に備えながら、日常の忙しい時にも役立つ食品のローリングストックのような感覚です。例えば、エンディングノートを書くことで、生活を見直す機会になったり、病気や事故にあったときに役立ったりすることもあります。遺言書作成も未来に向けたひとつの選択肢であると同時に、日常をよりよくするものとして考えていただけたらうれしいです。
ー 今回の話を聞いてみて、「どう生きるか」と「どう人生を締めくくるか」は、今の延長線上にあると感じました。エンディングノートを書くことや、遺贈寄付を考えることを通して、人生を見つめ直し、自身の納得のいく未来へとつなげられるきっかけになればいいですね。
「食」を通じて人生を振り返るエンディングノートにご関心のある方は、ぜひ下記のメールまで件名に「エンディングノート希望」と書いてお送りください。PDFデータ、または郵送をご希望の方は PDFデータを印刷した冊子をお届けしますので、ご住所も併せてお伝えください。あなたのこれからの時間が、より豊かに実っていくきっかけになるかもしれません。
- 資料請求:認定NPO法人ハンガー・フリー・ワールド遺贈寄付プログラム「みらいむすび」資料請求フォーム
- お問い合わせ先: mirai@hungerfree.net
- 遺贈寄付をもっと詳しく知りたい方はこちら
遺贈寄附推進機構株式会社の齋藤弘道さん(右)とHFW法人連携担当の石井大輔(左)。
まずは「書いてみる」ことで一歩を踏み出すきっかけに。参加者のみなさんに実際にノー トを書いていただきました。

