2025.03.12
HFWも方針を策定し、活動改善に取り組んでいます
「子どもと若者のセーフガーディング」とは、組織の職員などが事業で関わる子ども・若者にいかなる危害も与えないこと、虐待や搾取、あるいは事故などのあらゆるリスクから守ることを指します。
HFWは、若者たちを課題解決の未来の担い手であると位置づけ緊密な関係を築いてきました。国内外でさまざまな事業に多くの子ども・若者が関わっています。彼らの活動の安全性を一層高めるため、2021年12月、役職員のほか事業遂行に関わるステークホルダーを対象に、セーフガーディングに関する方針と行動規範を策定しました。役職員・関係者は、行動規範を順守するという誓約書に署名し、日々の活動の改善に取り組みます。万が一、子どもや若者の安全に関わる懸念が生じた場合は、適切な責任機関へ報告するとともに、組織として必要な対策を講じます。
「セーフガーディング」はなぜ必要?
2000年代初め、西アフリカで横行していた支援関係者による子どもへの性的搾取と虐待が発覚しました。これを受けて国連とNGOが協力して対策に乗り出し、次第にセーフガーディングとして発展してきたのです。
当初は各団体が独自のルールを設けていましたが、子どもの買春などの事件はなくならず、国際機関や各国政府が一丸となってこの問題に取り組むべきだとの機運が高まりました。こうして2018年、G7において「国際支援・開発協力における性的搾取や虐待などの解決に取り組む」との共同声明が発表され、その後日本を含む22ヵ国の政府が合同コミットメントに署名しました。日本では2019年、NGO有志メンバーらによってセーフガーディングの最低基準がまとめられました。HFWの方針もこの基準をベースにしています。
虐待・搾取はなぜ起きる?
子ども・若者に対する虐待や搾取は、悪意によってだけではなく、不注意や無意識によっても起こり得ます。例えば支援NGOが寄付者の共感を広げようとするあまり、子どもの悲惨な状況ばかりを強調したコンテンツを発信することが、被写体の子どもの心を傷つけているかもしれません。支援の受益者の中でもさらに弱い立場にいる子どもたちは、支援者の振る舞いに嫌な思いをしても、なかなか声を上げられません。こうした事態は、結果的に支援に対する受益者の不信感を強める恐れもあります。国際協力に関わるすべての組織と関係者は、セーフガーディングを真剣に学び、向き合う必要があるのです。
HFWは策定した方針に基づき、全役職員とすべての関係者に「子どもへの権利侵害や虐待・搾取を許さない」という認識を徹底させます。活動国の職員には、研修も行いました。さらに今後、一般住民や事業のパートナーなどが、懸念や苦情を通報するための窓口も設ける計画です。
また現在、子どもの写真を使用する際のルール整備や、活動の際に大人と若年者を2人きりにしないといった具体的な対策を進めています。関係者には若年者自身も含みますが、主に「おとなの責任」として、今後も子ども・若者をリスクにさらさないための組織的な取り組みを強化していきます。