特集

2011.09.01 Special Issue No.32

お産とお母さんたち ~開発途上国での出産とリスク~ 3

私たちにできること

救えるはずのお母さんの命を救うため、いま国際社会が積極的に動いています。2010年9月にニューヨーク国連本部で行われたミレニアム開発目標サミットでは、8つある目標のなかでも特に進捗が遅れている母子保健分野に関して、パン・ギムン国連事務総長が「女性と子どものためのグローバル戦略」を発表。 この戦略では、効果的な政策や支援方法に対する必要な資金を出せば、2015年までに1500万人の子どもたちを救うことができ、望まれない妊娠を3300万件減らし、妊娠・出産によって命を落としてしまうお母さん74万人を救うことができるとしています。

そして、この戦略に必要な資金として、日本政府を含めた多くの国々が合計400億ドルを提供すると約束しました。私たち市民は、こうした国際社会の約束が本当に守られるのか、今後必要な対策が講じられるのか関心を持ち、注目していくことが大切です。

そして、より一層の国際社会の連帯と努力、政府の取組み、NGOの活躍、それらを支える私たち市民ひとりひとりの理解も重要です。


ハンガー・フリー・ワールド(HFW)の取り組みの一例

~お母さんと赤ちゃんの命を守り、女性の自立を支援することが、地域から飢餓をなくす土台のひとつ~

お母さんと赤ちゃんのケア

お母さんの栄養状態は、生まれてくる赤ちゃんの健康を大きく左右します。HFWは、母子保健センターの運営やリプロダクティブ・ヘルスの啓発などを行っています。

ベナン 母子保健センターを建設・運営

2010年8月にベト村で初めての医療施設となるセンターが完成。敷地の整備やセンター内の清掃などに住民が積極的に参加しました。現在は、ベナン保健省から派遣される予定の助産師を待ちながら、独自に雇った助産師と見習い助産師、ベト村出身の看護助手2名の4名体制で運営しています。 2010年12月には、センターではじめての赤ちゃんが誕生しました。

ブルキナファソ 住民能力強化として家族計画研修を実施

2010年度家族計画研修を実施。活動地4ヵ村から男女5名ずつが参加しました。ブルキナファソのNGOの職員を講師に招き、家族計画の基本的な知識を講義。「家族計画のメリットとは」というテーマでいくつかのグループに分かれて話し合い、住民自身が家族計画の大切さを考えました。研修後、参加者は自分の村の住民にその知識や家族計画の大切さを伝えます。

女性の自立を支援し、地域の担い手として尊重

女性が社会に参画することで、子ども、家族、地域の暮らしがよりよくなります。各地域で、女性グループ ウィメン・エンディング・ハンガー(WEH)を組織し、収入向上や啓発活動などを行っています。

バングラデシュ 女性対象の収入創出および権利啓発

バングラデシュの農村部では、女性の多くは家族や親せきが決めた相手と10代前半で結婚します。このような女性たちは家庭や社会でほとんど決定権を持ちません。活動する全23ヵ村でWEHを組織し、メンバーによる共同貯蓄や養鶏などの収入創出事業を支援しています。活動が地域に浸透するにつれ、女性たちが家庭や外に出て自分の意見を言うことができるようになっています。

ウガンダ ウィメン・エンディング・ハンガー支援

HIV/エイズや1980年代までの内戦の影響で、夫や親を亡くし、女性が世帯主になっている家庭が多いウガンダ。植林などあらゆる事業で、女性が活躍できるよう、地域ごとにWEHを結成。植林事業やトウモロコシ栽培・養鶏事業などに主体的に関わっているほか、HFWの支援に頼らない独自の活動として手工芸品の制作と販売などを行っています。