新活動地までの道のり。雨季は道がぬかるんでいる
2026年2月「引き継ぎ」式典を経て、約20年にわたって活動してきたゼ郡ドジ・バタ地区での活動が終了しました。ベナン支部では、この経験を活かし、飢餓のない地域を広げるため、新たな活動地の選定を進めてきました。
その結果、新たな活動地として、ベナン南西部のクッフォ県にあるラロ郡とトヴィクリン郡に決まりました。さらに、行政との話し合いを重ね、活動地となる9つの村も決定しています。
新しい活動地は、どのように選ばれたのでしょうか。新活動地が決まるまでの道のりをお伝えします。
新たな活動地をどう選んだのか
開発ガイドライン・ベナン国の統計データから絞り込む
新たな活動地を選ぶにあたり、当初はこれまで活動してきたドジ・バタ地区を中心に、周辺地域に活動を広げていく方法も考えられていました。
しかし、新たな活動地を選定する際には、全国のデータを見ながら候補となる地域の状況を数値で比較し、全国の中での位置づけや支援の必要性を見極めていくことが必要です。そこでベナン支部では、ブルキナファソで新たな活動地を選定したときと同様に、HFWの開発ガイドライン(※1)とベナン全国の統計データをもとに、候補地を絞り込んでいきました。
主に以下の3つの要素を比較しました。
・栄養状況
・食料安全保障
・治安状況
※1 HFWが新たな活動地を選定する際の考え方や基準、活動を進めるための手順をまとめたもの。
食料・栄養面の支援の必要性と、継続して活動できる環境を考慮して
比較の結果、候補として選ばれたのがクッフォ県です。IPC(食料安全保障フェーズ分類)(※2)では、クッフォ県は「フェーズ2:圧力下」に分類されています。
これは最低限の食料はなんとか確保できているものの、そのほかの生活に必要な様々な支出をまかなうために、負担の大きい対処を迫られている状態です。
食料・栄養面での支援の必要性がある一方、比較的治安リスクが低く、継続して活動できる環境にあることが、選定の理由の一つとなりました。
さらに、農地を利用できることや、HFWベナン事務所からアクセスしやすいことも考慮されました。こうした条件を総合的に検討し、クッフォ県の中からラロ郡とトヴィクリン郡を候補地として選びました。
<選定の主な理由>
・食料安全保障の分類で「フェーズ2:圧力下」にあり、食料・栄養面での支援の必要性高い
・農地の活用が可能である
・比較的治安リスクが低い
・HFWベナン事務所からのアクセスがよく活動状況を確認しやすい
※2 IPC(Integrated Food Security Phase Classification)が定める、食料不安の深刻度を5段階で示す分類。
地域と話し合い、活動地を決める
まずは行政にHFWを知ってもらう
ラロとトヴィクリンの地方行政に、まずHFWからレターを送りました。
これは「ここで活動することを決めました」という通知ではありません。HFWがどのような団体で、どのような活動を行っているのかを伝え、まず話をさせてもらいたいという最初の働きかけです。
その後、両行政から返事があり、ベナン支部のスタッフがそれぞれの行政を訪問。地域と協力しながら調査を進めるための話し合いを始めました。
地域の状況をもとに、地区と村を選定
全国レベルのデータから分かるのは、主に県や郡単位までの状況です。さらにその下にある地区や村については、実際に現場に入らなければ分からないことも多くあります。
そこで、どの地区、どの村で活動するのかをHFWだけで決めるのではなく、行政の人たちに話し合ってもらうことになりました。大統領選挙を間近に控えた忙しい時期でしたが、議会が開かれ、活動地について検討が行われました。
議会では、人口や5歳未満の子どもの人数、栄養状態、学校や保健センターなどの公共インフラ、国家の政策や他団体による取り組みなど、地域ごとの状況が整理されました。
その結果、国家の政策やさまざまなプロジェクトの恩恵を十分に受けておらず、他団体による取り組みも少ない地域として、以下が活動地に決まりました。
ラロ郡:アホジンナコ地区の5つの村
トヴィクリン郡:フェドグリ地区の4つの村
合わせて、9つの村が新たな活動地となります。
活動の始まりから、地方行政とともに
今回の活動地選定では、活動を始める前の段階から地方行政と関わりながら進めています。
HFWが地域で支援を続けられる期間には限りがあります。支援終了後も住民自身が地域の課題に取り組んでいくためには、行政とのつながりが欠かせません。地域で新たな課題が生じたときに、住民が行政に相談し、協力を求めることもあるからです。
支援終了後のことも見据え、活動の始まりから地方行政と関わり、協力体制を築いていく。これも、新しい活動地での大切な取り組みの一つです。
これまでの経験を、次の活動へ
ブルキナファソから学んだこと
新しい活動地の選定や参加型開発の手法については、先行して取り組んできたブルキナファソ支部からも学んでいます。
ベナンチームは2025年11月にブルキナファソを訪問し、活動地の選定から地域調査など、現地での経験を直接聞きました。その後、ベナン支部でも新しい活動地の選定と並行して、参加型開発の研修を実施しています。これまでの経験や、他の支部から学んだことを生かしながら、新しい活動地の準備を進めています。
ベナン支部では現在、新しい活動地に向けた準備を進める、あわただしい日々が続いています。そんな中、ベナン支部長のファトゥから届いたメッセージが心に残っています。
「時間とお金を無駄にしたくない」
限られた時間と資金を大切にしながら、必要なことにはきちんと時間をかける。一方で、進められることは先送りせず、次のステップへ進んでいく。
ただ、早く進めればよいということではありません。2030年までに自立という新活動地でのゴールも見据えながら、必要なことには時間をかけ、進められることは適切なスピード感を持って進めていく。今回の新しい活動地の選定でも、そんな姿勢が大切にされています。
現地に入り、地域を知る
活動地が決定した現在、ベナン支部は現地調査を始めています。これから実際に地域に入り、どのような課題があるのかを調べていきます。
全国レベルのデータや地方行政との話し合いだけでは、村の状況までは分かりません。 住民と話しながら、地域で起きていることを知り、これからどのような活動を進めていくのかを考えていきます。
約20年にわたるドジ・バタ地区での活動を終え、新たな地域へ。
これまでの経験や、他の支部から学んだことも生かしながら、ベナン支部の新たな挑戦が始まっています。
ベナン支部事務局長と支部スタッフたち。車を最寄りに止めた後は泥をかきわけ村まで向かう
アホジンナコ地区の村の様子
住民自身で地域の課題を調査。話し合いの様子
私が報告しました!
内野香美 HFWプログラムオフィサー
JICA海外協力隊(旧:青年海外協力隊)でセネガルに赴任して以来、西アフリカ仏語圏で農業、環境関係の活動を続けて早30年!
HFWではブルキナファソとベナンを担当させて頂いております。両国とも赴任経験があるのでそれを活かしていければと思っています。

