オンライン報告会に登壇中のバングラデシュ支部事務局長
支部事務局長アタウル・ラーマン・ミトンが出演したオンライン報告会の記録
6月23日(火)19時~21時、はじめて支部とつないだオンライン報告会を開催しました。バングラデシュ支部事務局長のアタウル・ラーマン・ミトンが現地の状況を報告しました。
私の妻も感染しました
バングラデシュでは毎日3500人を超える新たな感染者が出ています。死者数も1500人を超えました。私の妻は政府系の病院で働く医者で、感染してしまいました。妻は幸い回復しましたが、私たちは今も感染拡大の渦中にいます。 医療や検査の体制が整っていないことや感染症とその予防知識がないために、さらに生活のために人々が動き回って感染を広げてしまっている現状があります。
貧困層が3ヵ月間で20%から40%に
コロナの影響で、バングラデシュでは1日1.9ドル(約200円)以下で暮らす貧困層の割合がわずか3ヵ月で20%から40%に倍増してしまいました。活動地の人々も日々の仕事がなくなり、収入が途絶えてしまっています。
行き届かない政府の援助
政府の援助はごく一部にしか行き届いていません。 活動地にはHFWがこれまで事業の推進役として育成してきた地域のリーダー的な女性たちが56名います。彼女たちに農業や保健などの研修を実施し、特に貧しい790世帯へ学んだことを伝えてもらってきました。 今回の緊急食料支援は、彼女たちが中心になって行うことができました(支援事業の詳細についてはこちら)。自由に動き回ることができなかったり大型サイクロンが来て大きな被害をもたらしたりするなど、困難な状況でした。
食料は対象世帯に配布できましたが、まだ感染は拡大しています。人々へ感染予防の啓発活動をさらに行うとともに、政府へ貧しい人々たちに支援が届くよう訴え、対象世帯には家庭菜園の取り組みを促していきたいと考えています。新型コロナウイルス感染症は世界に大きな影響を与えています。私たちが協力しあってこの難局を乗り越えていくことが大切だと思います。みなさまのご協力を心からお願い申し上げます。
感染者急増の背景
貧困
・外出禁止措置の中でも収入を得るために働きに出ざるを得ない
・家に食料の備蓄がないために外に出ざるを得ない
・貧しいためにせっけんを購入できず、手洗いが十分にできない
・マスクを着用できるのは人口の27.8%
・消毒用アルコールを使用できるのは人口の21.5%
衛生知識の欠如
・感染症とその予防についての知識が十分でない
医療のぜい弱性
・救急医療サービスを使用できるのは人口の5.1%
・農村部では病院がなく発症していても治療・隔離ができずに感染を拡大させてしまう
環境と社会的習慣
・人口密度が日本の3倍と高く、“三密”の状態が生まれやすい
・人口に占める若年層の割合が高く、無症状の若者が動きまわって感染を広げる
・5月25日のイスラム教最大の祝祭イードを祝うために都市から農村に多くの人が帰省
オンライン報告会の動画はこちら
コロナ禍における農村部の窮状
バングラデシュは、人口1万人あたりの医師数が4.97人と少ない
新聞の1面が毎日新型コロナ関連だった
5月20日にサイクロンがバングラデシュを直撃したことも影響