2020.08.20 バングラデシュ
命の危機に直面した人々の「食べる」がつながりました。支援女性たちを公的支援と結び付けるための取り組みも始めることができました
地域や行政の協力を得て食料配布を行った。これまでのHFWの活動が知られていたため商店の協力も得やすかった
【新型コロナウイルス感染症 COVID-19 】緊急食料支援
5月21日から23日 、772名の女性とその家族、合わせて約3860名※に緊急食料支援を行い、消費の想定期間であった20日後に評価活動を行いました。その結果、配布前には食料が底をつき、ほぼすべての人が健康不良でしたが、配布後に健康状態が悪化した人はおらず、全員が生存の危機を切り抜けることができました。
※計画時は790名だったが18名が転居。合計人数は1世帯およそ5名として算出
また、新型コロナウイルス感染症の感染防止の啓発活動も併せて行った結果、手洗いやマスク着用などが普及しました。特に手洗いは実践率が高く、苦しい家計であっても79%が石鹸を使った正しい手洗いしていると回答がありました。7月9日現在、対象女性に感染者はでていません。
さらに対象女性たちは、この危機を経験して、これまでためらってきたグループでの貯金とHFWの栄養改善事業以外の活動にも参加するようになりました。また、行政担当者が食料配布に立ち会う状況をつくるなどの工夫を通じて、今後、対象女性たちを公的支援に組みいれる道筋もつけることができました。
バングラデシュでは、3月25日から続いたロックダウンは5月31日に解除され、その後少しずつ行動制限は緩和されてきています。しかし、感染拡大は収束しておらず、経済崩壊、医療崩壊などの影響も深刻です。
今後も、手を緩めずに対象女性たちに向けた栄養教育の継続、家庭菜園のサポートを続けていきます。また、対象女性が公的支援体制に組み込まれるよう、現地政府へのアドボカシー活動を増強していきます。
健康状態は59%が良と回答。食料配布前は、回答者のほとんどが健康不良であり、食料支援で健康状態が良くなったかという質問には、100%が「はい」と回答している。なお、妊娠は病気であるという認識が根強く、不良の数字に入っている。 2020年8月の掲載時の円グラフに誤った割合を入力していました(不良79%、中程度17%、良4%)。現在の円グラフが正しいデータです。お詫びして訂正いたします。(2021年3月)
消費日数の見込みは20日間であったが、24%が10日以下、43%が15日以下であった。家族構成による違いもあるが、それだけ厳しい状況であったことが分かる (※全56名の事業の推進者が無作為に6名を選び、合計336名に10項目を聞き取った調査より)
Message from Bangladesh
4人家族ですが、夫は心の病にかかっており2人の子どもは障害を持っているので稼ぎ手は私だけです。泥の食器を作っていましたが、ロックダウンで失業しました。畑仕事の手伝いなどもしますが、不定期です。お腹は空っぽが続くか、日にせいぜい1食を食べるくらいです。このような状況で、HFWの支援は私にとって大切です。
今は、仕事を取り戻し、食料を得られるようになることを望んでいます。
HFWが政府の支援体制に私を組み込んでくれようとしてくれていますが、まだ実現していません。他に良い考えもないですし、家族を食べさせるために、仕事の話があればすべてトライします。
マルジナ・ベグムさん (アヌパンプル村)
私には夫と3人の息子がいます。長男は生まれつき心臓病で一番下の子はまだ1歳です。夫はダッカでリキシャ(自転車タクシー)を引いて日に400~500タカ(約500~600円)稼いでいましたが、コロナのために失業して家に戻ってきました。村人から25kgの米を借り、4000タカを借金しました。でも食料もお金もすでに底をついてしまいました。米さえあれば、青唐辛子とタマネギと一緒に食べることができます。でも今の私たちには食料を確保することができません。そんな時にHFWがサポートしてくれ、私たちは生き残ることができました。
ハイラ・べグムさん(ヘルバリ村)