あの日描いた自分たちにどれくらい近づいた? 組織評価の結果をご報告 : 飢餓のない世界を創る国際協力NGO ハンガー・フリー・ワールド HUNGER FREE WORLD     

活動レポート バングラデシュ

2025.04.14 バングラデシュ

あの日描いた自分たちにどれくらい近づいた? 組織評価の結果をご報告

【グループのリーダーのジョストナ・ベグムさん】HFWの研修を受講し、自宅の裏庭に菜園を始め、鶏やアヒルも育てている。新鮮な卵や野菜、果物は家族の食事となり、余った分は販売して収入につながっている

バングラデシュではボダとカリガンジ両郡で、住民女性たちの活動を支援しています。 2回目の組織評価から1年が経ち、今回もグループメンバーが集まり、3回目の組織評価を行いましたので、ボダの女性連合会Women Ending Hungerの結果を私海外事業担当の槌谷からご報告します。

 2年間の成果とは…
今回の評価では、2022年の第1回評価時に「2年後にこうなっていたい」と設定した目標がどの程度達成できたかを話し合いました。その結果、12の目標のうち、100%達成したものが2つ、70%以上達成したものが5つとなり、全体の達成度は70%でした。(詳細は概要欄をご参照ください)特にこの2年間で、多様なパートナーと関係を築けたことは、大きな成果だと感じています。支援卒業後も活動を自立的に継続していくためには、頼れるパートナーを増やし、現在HFWに依存している部分を分散させていくことが重要だからです。実際に、女性たちが政府や行政に働きかけ、関係強化をしたことで、研修の受講や種・苗木の提供、助成金の獲得などにつながりました。

また、グループでは、女性たちが経済活動を始められるよう、小規模貸付を実施していますが、2024年度の返済率は100%でした。女性たちの収入創出につながっていることが確認できたのは、嬉しい報告です。  

成長を感じた瞬間
とはいえ、こうした評価結果を聞いても、遠い海の向こうにいる私には実感がわきにくいものです。しかし、日々のバングラデシュ支部の報告がその部分を補ってくれています。
印象に残ったのは、2024年の年次総会の報告です。行政関係者を招き200名以上が参加する大規模な会となったそうです。そして、企画から当日の運営までメンバー自身が行ったとのこと! しかも、彼女たちは自分の仕事がありながらも、ボランティアでこのグループ活動に携わっています。そのことを考えると尊敬の念に堪えませんし、成功裏に開催出来たことを知り、成長を感じ嬉しくなりました。
まだまだ発足してから日が浅い組織なので、課題は多いものの、日々の報告から彼女たちの生き生きとした成長ぶりを感じると「自分も頑張らなくては」と励まされます。 

【グループメンバーのバニ・ラニさん】 グループからの融資8000タカを元手に、堆肥ビジネス を始める。次のステップとして、大麦加工にも挑戦。家族もビジネスに積極的に関わり、安定した生活を送っている

年次総会の様子。当日は行政関係者も含め200名以上が集まった

堂々と自分たちの活動を報告

私が報告しました!

槌谷保子 HFWプログラムオフィサー

大学生の時にHFWのベナン・ブルキナファソ担当インターンで国際協力デビュー。その後、外務省や国連等で国際協力・アフリカと関わり続け、15年ぶりにHFWに舞い戻ってきました!

マイブームは無添加おやつ探し&(たまに)おやつ作り。 

事業概要:組織評価の意義と結果詳細

期間:2000年~ 対象地域:カリガンジ郡・ボダ郡

ボダ女性連合会 Women Ending Hunger(WEH) 

組織評価の意義とは?

組織評価は、自立に向けた重要なステップです。評価は自己評価の形式で行い、メンバー同士がグループワークを通じて活動を振り返り、達成レベルを決定します。その過程での議論自体が、自分たちのあるべき姿を再確認し、認識を統一する機会となり、能力強化にもつながります。また、評価を通じて現在のレベルや不足している点を明確にすることで、今後の活動をブラッシュアップすることができます。「自立とは何か」という問いについても、女性たちとハンガー・フリー・ワールドの双方が共通認識を持つことにつながります。 

第三回目の組織評価結果
12の目標のうち2つを100%達成、5つの目標が70%以上達成 

100%達成した項目
・自組織の年間計画を立案する
・貯蓄率を55%から70%に引き上げる(現時点で87%に)

70%以上達成した項目
・グループの自己資金の増強(200万タカ目標のうち、現時点で150万タカに)
・メンバー間の連携を強化し、報告・共有する体制を確立する
年間計画と予算作成経験をもつメンバーで構成される管理委員会の結成  
・多様なパートナーシップの強化 (研修や種や苗木、家畜のワクチンなどの提供、助成金を獲得)
・貧困レベルの高いメンバーに対する収入創出活動への参加促進

未達成だった項目
・グループメンバーの理解向上 (国家レベルの課題 、SDGsの進捗状況 、ジェンダー問題 、など)

要因分析:この2年間で、WEHは他の女性グループを束ねる連合会としての役割を担うことになったため、組織の基盤づくりに注力。この項目に取り組む余裕がなかったことが考えられます。しかし、女性たち自身もこの課題の重要性を認識しており、2025-2026年の計画に再設定しました。


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