【インタビュー】活動地域の卒業を成し遂げた「ミスター移譲」に聞きました : 飢餓のない世界を創る国際協力NGO ハンガー・フリー・ワールド HUNGER FREE WORLD     

活動レポート ブルキナファソ

2022.08.17 ブルキナファソ

【インタビュー】活動地域の卒業を成し遂げた「ミスター移譲」に聞きました

イベントで事業の参加者にマイクを向けるジョエル

HFWがブルキナファソ準支部を開設した2006年から職員として関わり、現在、ブルキナファソ支部で地域開発部門の事業マネジャーとして働くウエドラオゴ・ジョエル。「ミスター移譲」の別名を持つジョエルに、活動地域の事業完了について聞きました。

──2021年末をもってクブリ郡での支援が完了しました。支援開始から関わった職員として、どのように感じますか。
ジョエル 2006年に活動を計画したときは、10年で自立させるという展望をもっていました。それを考えると思った以上に時間がかかってしまいました。この15年、より効果的な支援を求めて試行錯誤し、目的、手法や担当を変えていったことも原因だと考えています。

──多くの活動の中で、特に住民に影響を与えたと考える活動はありますか。
ジョエル 母子保健センターと取り組んだ5歳未満児に対する栄養改善事業(CREN)と、女性組合と実施したマイクロクレジットが印象に残っています。CRENでは、多くの子どもの命を救っただけでなく、母親たちに栄養に関する知識を伝えることで、家族やコミュニティの健康に影響を及ぼしました。医療費を抑え、子どもの世話から解放された母親が働けるようになり、家計の面でも貢献。マイクロクレジットは、参加した女性たちに連帯をもたらしました。経済的な自立を得た女性は、家庭やコミュニティの意思決定に参加するようになっています。

──開発事業を進めるときに気をつけていることを教えてください。
ジョエル 支援対象者に敬意を持って接することです。地域によって宗教、言葉、慣習、価値観が違うので、その違いを尊重することも大切。私はいつも現地の言葉で話すようにしています。いいことにも不幸なことにも家族のように関わり、心を開いて話し合ってきました。住民自身が現状を変えることができることを示し、いっしょに未来図を描くことが重要なのです。

──印象に残っているエピソードはありますか。
ジョエル 母子保健センターにやせ細った女の子を連れた母親がやってきました。娘に食事と薬を与え、母親には栄養などの指導をしたところ、娘は3ヵ月ほどで元気に。母親は「HFWが村に来てくれなかったら、病気の娘に対して希望を持てなかった」と泣いて話してくれました。母親は娘を「HFWのファディラトゥ(名前)」と呼ぶことに決めたと話していました。

──これから新たな地域での活動が始まります。課題や可能性を教えてください。
ジョエル ガオンゴ郡のワルドゴ村、ヴォセ村は人里離れた集落で、未舗装の道路が多く、雨季には往来が難しくなります。学校や保健機関などが不足し、井戸は居住区から離れており、人々は水汲みのために何時間も行列しています。一方、農業や畜産のポテンシャルは高く、住民も勤勉で意欲的です。最初の課題は活動メンバーの動員と住民を集めること。住民とともに、調和の取れた開発を実現していきます。

母子保健センターでファディラトゥは体重測定を行い、入院が必要と診断された

10年後のファディラトゥは、元気に育っている

HFWの支援から卒業した女性組合の組合員

ブルキナファソ関連情報