私たちが今日も「食べる」理由 ~すべての人が持つ「食料への権利」~ 2 : 飢餓のない世界を創る国際協力NGO ハンガー・フリー・ワールド HUNGER FREE WORLD     

特集

2009.02.23 Special Issue No.22

私たちが今日も「食べる」理由 ~すべての人が持つ「食料への権利」~2

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INDEX

栄養を摂るだけではない「食べて生きる」私たち
連載10回目を迎えた、巻末インタビュー「食べて生きる」。語り手の食に関する忘れられないエピソードは、私たちが食べるという行為から、生命を維持するための栄養だけではない、さまざまなものを得ていることを教えてくれます。


22_08  第一回  関口 和孝さん (せきぐち かずたか)
病気で絶食を経験。
栄養を摂っていても、人間は空腹感に襲われるんです。

栄養分を摂取できているにも関わらず、空腹と戦い続けた関口さん。食べたい気持ちが抑えきれずに、「食べたいものをひたすらノートに書き続けていた」そうです。関口さんの体験は、十分な栄養素が摂取できるだけではなく、食べるという行為そのものが必要だということを教えてくれます。
22_09  第二回  平田 淑江さん (ひらた よしえ)
食べることは、人間にとって根源的な欲求。
食を通じて多くの人を幸せにしたい。

「雪深い季節でもキャンセルはほとんどありません。お客様のおいしいものを食べたいという気持ちはすごいですよ」と語る平田さん。このような、食べることそのものを楽しむ行為は、人間だけに見られる特徴です。動物は、生存本能に従って食べ、空腹が満たされるとそれ以上食べようとはしません。
22_10  第九回  ソヘル・シンハさん
食べることは、異文化に溶け込み、互いを理解する第一歩。
「和食が甘く感じられて仕方なかった」。スパイスを多用するバングラデシュ生まれのシンハさんは、来日直後を振り返ってくれました。風土や慣習、宗教に基づいて異なる食材や味付け、調理法などを持つ食文化は、私たち一人ひとりや、それぞれの国が持つ個性そのものといえます。

連載「食べて生きる」記事一覧

第三回 ワドゥ・アブドゥルさん フォトジャーナリスト。
来日して知った母国の飢餓。食を通じて、母国と日本をつなごうと奮闘。
第四回 野口慎吾さん 有機農業家。
開発途上国の活動を通じて知った、人間は自然に生かされているということ。
第五回 高安和夫さん 銀座食学塾代表理事。
銀座という場を活用して、都市と動植物が共生できる街づくりに取り組む。
第六回 生田淳一さん 和菓子店経営。
バングラデシュカレーを通じて、地元に“土着”して生きることの大切さを知る。
第七回 本田哲也さん ビアバー店長。
お店や食を、異文化に目を向けるきっかけの場にしたい。
第八回 横山昊政さん 米卸売商。
飢餓に苦しむ人々のために、お米を通じた国際協力を推進中。

※情報誌バックナンバーは事務局までお問い合わせください

基本的人権の観点から、食のあり方を考える

確かに、私たちは、エネルギーの素となる栄養分がなければ生命を維持することができません。一方で、十分な栄養分だけを摂取できさえすればいいというわけではなく、文化的な背景や嗜好を考慮して、何を、どのように食べるかを自ら決められてこそ、私たちは充実した生活を営めます。

しかし現実には、世界で8億6200万人もの人々が、食を自ら選択できるどころか、毎日の食べ物を入手するだけで精一杯の生活を送っています。食を自ら選択できることは、裕福な国に生まれた一部の人たちだけが持つ特権で、貧しい人たちは与えられる食べ物をただじっと待つことしかできないのでしょうか。

いいえ、そうではありません。食べることは、国際社会が認める世界人権宣言に「食料への権利」と明記されている、すべての人々が持つ基本的な人権の1つです。

食料への権利は、2つの柱から成り立ちます。1つは、必要な栄養分を摂るために十分な質や量の食べ物を得るだけではなく、文化に応じた多様性のある食べ物を手に入れられる必要があるということ。もう1つは、人間の尊厳を失うことなく、食べ物を手に入れられる必要があるということです。具体的には、物乞いなどの方法に食べ物の入手を頼らないことや、支援を受ける人々が辱められることのないよう配慮されることを意味します。

国内・街頭100人インタビュー
「あなたはどうして食べるのですか?」

海外に引き続き、飯田橋、銀座、渋谷、新橋、巣鴨、有楽町でのべ100人にインタビュー。食べ物があふれる日本に住む私たちが、今日も食べるのはなぜ?

新橋

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銀座

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巣鴨

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渋谷

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有楽町

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飯田橋

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