バングラデシュ 地域発展のカギ

農村部の収入向上で生活改善の土台づくり

活動地のカリガンジ郡、ボダ郡の両地域では、住民のほとんどが借りた土地で小規模な農業を営み、限られた収入で家族の生活を支えています。1960年代から政府により導入され、全国に拡大した近代農法では、化学肥料・農薬や作物の種子を毎年購入しなければならず、その費用が大きく家計を圧迫していました。さらに、農薬による健康被害や、土地がやせる、水田の魚がいなくなるなどの環境汚染も深刻でした。そこでHFWは家計と健康にやさしい有機農業を推進。拠点となる有機農業センターを設立し、地域の住民に有機たい肥づくりや、植物性の農薬づくりの研修などを行っています。ほかにも、住民の栄養改善・収入創出をめざしたさまざまな事業を行っています。

環境にやさしい有機たい肥をつくる

教育、職業訓練、自助組織と、女性の地位の向上をめざして

バングラデシュの農村部では、女性の多くは十分な教育を受けることのないまま、家族や親せきが決めた相手と13~15才で結婚します。慣習的に家庭内での地位が低く、社会での決定権もほとんど持ちません。収入を得る手段も持たないことから、夫が亡くなったり、病気で収入が減れば、苦境に立たされることになります。そこでHFWは、女生徒対象の奨学金制度を設け、女性の教育を支援。また、自助組織ウィメン・エンディング・ハンガー(WEH)を組織し、女性たちがグループで助け合って収入を得られるようサポート。さらに、縫製などの職業訓練なども行っています。これらの事業を実施する一方で、夫や姑など家族にも、早婚の防止や妊産婦の栄養の大切さを伝え、家庭内の女性の地位向上を図っています。

縫製の訓練を受ける

地方自治体を巻き込んだ活動で、行政との協働をめざす

HFWが活動するすべての村で、住民から選ばれた事業の推進役、ウィメン・エンディング・ハンガー(WEH)、ユース・エンディング・ハンガー(YEH)、農業組合、収入創出協同組合などのメンバーたちで構成された村の開発組織を、2013年度に立ち上げました。住民がNGOなどの支援組織に頼るのではなく、将来的に自分たち自身で地域の問題を解決することをめざしています。そして、地域の問題解決には行政の関与が不可欠であることから、区議会との関係づくりを推進。2013年には初の協働事業となるハンガー・フリー賞を創設し、地域の貢献のために力を尽くした住民を選んで表彰しました。2014年6月から区議会と村の開発組織の合同の会議も始まり、住民と行政が村の課題の解決のために協力しあえる関係づくりが進んでいます。

地方自治体と初の協働事業ハンガー・フリー賞の授賞式

ネットワーク活動で、全国的に飢餓の解決を図る

2005年にHFWが中心になり、バングラデシュ独立50年にあたる2021年までに飢餓のない国をつくる「ビジョン2021フォーラム」を設立。2013年には各政党への政策提言である「市民のマニフェスト」を作成し、採用を求めました。また、国内の農産物の安全推進を訴えるネットワークb_SAFEも立ち上げ、他のNGOと協力し、それぞれの団体の強みを生かしたより広範囲にわたる多様な活動を行っています。2014年から20以上の団体と実施している青少年対象の模擬国会では、全国の若者に「食料への権利」について理解を深めてもらうことができました。その他、テレビや新聞などのメディアも積極的に活用し、活動地のみならず、バングラデシュ全土に飢餓をなくす取り組みが波及するよう努めています。

ビジョンフォーラム2021の全国会議。飢餓の解決に向けて熱意ある発言が相次いだ