特集

2009.04.01 Special Issue No.23

見えていますか? 商品のウラ側。2

見えていますか? 商品のウラ側。~搾取しない、環境を汚さない、企業の社会的責任(CSR)と私たち~

電化製品、コンビニ商品でも? 身近な日本企業の取り組み

CSR調達された商品や、フェアトレード商品は、まだまだ一般的ではありません。しかし、意外と身近にあることも。日本企業の取り組みについて、製造業からは電子メーカーのソニー株式会社、そして、小売業からは日本全国でコンビニエンス・ストアを展開するミニストップ株式会社の事例について、担当社員の方々にお話を伺いました。


誰もが誇りを持てる、生産活動を

冨田秀実さん ソニー株式会社 CSR部 総括部長

ソニーの設立趣意書の中には「自由闊達(かったつ)にして愉快なる理想工場の建設」「技術の力で日本再建、文化向上のために活発に活動」とあり、戦後の困難な状況に陥った日本を科学技術の力で立て直すのだという意思がありました。ですので、1950年代には、日本で理科の実験教室を開いて子どもたちに科学の面白さを伝える活動を行っていました。

その後、1990年からの環境への取り組みを経て2003年にはCSR部門を設置し、環境も含む持続可能な社会の実現に取り組んでいます。また、CSR部設置と同時に、日本企業としては先駆的にCSR調達に着手しました。ソニーのような大きな企業がCSR調達を行うことで、グループ会社や中小の取引先も変えることができ、社会に対して大きな影響力を与えられると考えています。

CSR調達開始の背景

ソニーがCSR調達を始めた大きなきっかけは二つあります。一つは、1990年代に大手アパレルメーカーの下請け工場での児童労働問題などが発覚し、NGOや消費者団体による不買運動が起こったことです。ソニーのような電子業界も、やがては下請け工場まで責任を持つべきだと指摘されるだろうと予測したからです。もう一つは、電子業界内で、協力してCSR活動を進めていこうという気運が高まったことです。ソニーの取引先や下請け会社は、同時に他の大手ITメーカーとも取引している会社が少なくありません。複数の企業から、個々に異なるCSR行動規範を求められた取引先の現場は、混乱していました。

そこで、混乱を解消するため、ソニーは同業他社とともに電子業界アライアンス(Electronic Industry Citizenship Coalition:EICC)を結成。国際NGOなどと定期的に意見交換を行いながら、大手電子企業同士が、CSRに関する共通の行動規範や項目を協議するようになりました。

企業だけでは達成しえない

しかし、過酷な労働条件下でも働かざるを得ない人々がいる限り、企業がCSR調達を進めることで、逆に働き口を失う人々が出てしまうかもしれません。とはいえ、貧困に直面する人たちの支援を、企業の本業として行うことができない現実もあります。現地の政府の努力やNGOの支援活動などの相乗効果で経済が発展し社会が成熟してこそ、企業のCSR活動も意味を持ちます。

CSR調達といっても、日本では、ほとんど一般に理解されていません。そればかりか、社内でもあまり浸透していない現状があります。そこで、月に一度、社内で生産工程の問題を扱った映画上映会とNGOによる講演会を開催しています。社員からは「商品の生産工程にこんなに配慮していると知って、あらためて仕事に誇りを持てた」と好評を得ています。まずは社内から理解を広げ、やがては日本の消費者のみなさんにも広く知っていただき、生産・販売側もお客様にも、誇りを持っていただけるようにしていきたいですね。

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冨田秀実氏 プロフィール
1988年ソニー株式会社入社。中央研究所に配属。その後、ドイツで環境技術開発・研究のための研究所立ち上げを経て、2000年に本社の環境マネジメント部(現CSR部)に配属。現在はCSR調達を統括。


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