特集

2009.04.01 Special Issue No.23

見えていますか? 商品のウラ側。3

電化製品、コンビニ商品でも? 身近な日本企業の取り組み

お客様の声で、現場も動く


岡村幸代さん ミニストップ株式会社
経営企画本部 CA推進部 環境推進担当マネージャー

ミニストップでは、CSR活動の一環として、経済的に弱い立場に置かれた開発途上国の人々から適正な価格で商品を買い、公正な貿易で支援する「フェアトレード」を広めようと、2008年11月20日から、ミニストップ全1912店舗で、フェアトレードチョコレートとドライマンゴを発売しています。これは、昨年、フェアトレードカカオを使ったソフトクリームを一部店舗で限定販売したことが土台になっています。

国内外で、生産工程に配慮したCSR活動への関心が高まっていたことから、ミニストップでも具体的な取り組みを行いたいと考えました。そこで、まずは生産工程で起きている問題を社内で伝えようと、フェアトレードや児童労働に詳しいNGOの(特活)ACEとチョコレボ実行委員会のスタッフの方々に来ていただき、ミニストップ社長、商品開発部のスタッフを集めた座談会を2007年に実施しました。

NGOのみなさんから、日本のカカオのほとんどが西アフリカから来ていること、カカオ農園では、学校にも行けずに、カカオが何になるかも知らないまま、毎日ひたすら高い木にのぼるなど危険な作業に従事している子どもたちがいること、中には人身売買で連れて来られた子どもたちがいることが伝えられました。商品開発部のスタッフは、いかに売れるものをつくるかを考えるのが仕事だったけれど、つくる工程をさかのぼると、そんな問題があったのかと、目からウロコが落ちた様子でした。

そこから、カカオの原産地の児童労働問題に取り組むプロジェクトを立ち上げ、フェアトレードカカオを使用した「ベルギーチョコソフトプレミアム」を販売することに。お客様に児童労働問題にも関心を持っていただけたらと、リーフレットやポップも制作し、バレンタインデーにあわせて、2008年2月に、試験的に都内12店舗で販売しました。

実は、2006年から全店舗で、フェアトレード缶コーヒーを販売しています。しかし、販売開始当初は「店頭に置いて、きちんと売る」ことが先で、フェアトレードの意味を伝えるところまでは至りませんでした。ですので、最初はフェアトレードという言葉が商品ブランドの一つだと思う関係者もいたほどです。そのときと比べると、今回のソフトクリーム開発と販売においては、現場の情報を持ち、また問題の伝え方も熟知されているNGOと連携したことで、全社一丸となってフェアトレードカカオの背景を伝えられたと思います。

お客様の1歩先を

まだまだフェアトレードと聞いて、すぐわかる人は多くありません。生産者に適正な報酬を支払うことではなく、寄付をするチャリティだと認識されている方も多いようです。それでも、ミニストップが取り扱うことで、その価値を広め、お客様の一歩先に流れをつくっていきたいと考えています。

とはいえ、お客様の声には、とてつもなく大きな影響力があります。フェアトレード商品を増やしていくためにも、ぜひ店舗で「フェアトレード商品を置いていますか?」と声をかけてみたり、メールで問い合わせしたりしてみていただきたいです。そういったお客様の声に、現場のスタッフは敏感に反応するんですよ。

企業、NGO、そして消費者の役割は?

二つの企業の例から、日本でも、世界のCSRの潮流の影響を受けながら、生産工程に責任を持つCSR活動が、各社の特徴に応じて実践されていることがわかりました。

また、かつては不買運動などで対立構造にあったNGOと企業ですが、ソニーやミニストップの例にあるように、NGOが持つ現場の情報や経験をCSR活動に生かす企業も増えています。一方、NGO側も、企業の持つ影響力を負の要因としてだけではなく、社会をよりよくする力として、そして、多くの市民に、環境、人権などに配慮したライフスタイルを提案できるパートナーとして、新たな関係を模索しはじめています。持続可能な社会を実現するための、それぞれの役割を認識し合い、連携することで、お互いのよさを生かすことができるようになってきているのです。

では、私たち消費者は、今後どのように行動する必要があるのでしょうか。

23_03_01

岡村幸代氏 プロフィール
1993年ミニストップ株式会社入社。店舗勤務、商品開発、品質管理業務を経て1999年から現職。主に環境コミュニケーション、環境マネジメントシステムを担当。

23_03_01

ミニストップのフェアトレード商品


NEXT P4 消費者としての「社会的責任」