2016-2020年度中期目標の評価 : 飢餓のない世界を創る国際協力NGO ハンガー・フリー・ワールド HUNGER FREE WORLD     

2016-2020年度中期目標の評価

全体として「達成」「おおむね達成」の評価になりました

HFWは、飢餓のない世界を創るために、期間を区切り目標を定めて活動しています。
2016‒2020年度中期計画に対する評価は、2021年2、3月に、バングラデシュ、ベナン、ブルキナファソではユース・エンディング・ハンガー(YEH)も動員注釈1して、評価データを収集しました。各支部の事業担当者が4月末までに評価報告書案を作成。本部支部間で協議し、妥当性を確認して最終化しました。DAC評価基準注釈2の適用も試行し、評価の視点も揃えました。
2022-2023年度の2年間で、2020年末までにめざしていた状態に仕上げます。>>2022-2023年度の中期目標

5年間の毎年の詳細な進捗については2016-2020年次報告書に記載した「飢餓をなくす5ヵ年計画」をご覧ください。

■地域をつくる

【目標】バングラデシュ、ベナン、ブルキナファソ、ウガンダ4ヵ国8地域のうち一つ以上で、住民たちの「食料への権利」が実現できる目処が立っている。また、残りの地域も実現に近づいている。
【おおむね達成】 バングラデシュ、ベナン、ブルキナファソ
すべての支部で事業対象者の食事の多様性が改善され、地域住民の農業知識も強化しました。生活環境の改善と能力強化に関しては、おおむね達成。ブルキナファソは、指標である事業移譲による活動地撤退の見通しが立ちました(2021年移譲完了)。バングラデシュの栄養事業は、コロナの影響で対象家庭の収入向上が停滞しています。

Q. 目途が立っているとは?

A. 住民たちの摂取する食料の量と質、および栄養状態を改善する取り組みの成果が表れ、その後、リーダーシップを発揮する住民により取り組みが継続されるようになった状態です。

■しくみを変える

【目標】バングラデシュ、ベナン、ブルキナファソ、ウガンダにおいて、「食料への権利」を実現する、あるいは実現に寄与する政策または法律が作られている、またはその動きがある。
【達成】ベナン、ブルキナファソ 【おおむね達成】バングラデシュ
ベナンのゼ郡で地域開発計画と年間投資計画に「食料への権利」が明記されました。ブルキナファソでは、「食料への権利」が憲法草案に盛り込まれています。バングラデシュでも他団体と協力して 「食料への権利」 法の草案を作成しました。

Q. 寄与する政策、法律とは?

A. 「食料への権利」が明記されているといった直接的なものではないものの、「食料への権利」の要素の実現に貢献していることです。たとえば、女性にも土地の所有が認められる政策などです。

Q. 動きがあるとは?

A. 立法者・政策立案者により素案作りが着手された、または検討が始められた状態です。

■気づきをつくる

【目標】「食料への権利」に多くの人が気づき、飢餓の終わりにつながる行動を起こす人が新たに増えている。
【達成】バングラデシュ、ブルキナファソ、日本 【おおむね達成】ベナン
活動国では女性が家庭菜園に取り組み、権利を主張するなど、「食料への権利」に気づき、行動を起こす人々が増えています。日本では、「世界食料デー」月間などで行動を呼びかけ、学生や企業、行政など、多くの人や団体が行動を起こしました。

Q. 飢餓の終わりにつながる行動を起こす人とは?

A. 「食料への権利」の実現につながる地域開発、アドボカシー、啓発活動、またはそれらを支える行動を起こした人で、その後も継続する意思が確認できている人です。

■若い力を育てる

【目標】「食料への権利」実現に向けて、青少年が貢献している。
【達成】ベナン、ブルキナファソ、日本 【おおむね達成】バングラデシュ
「食料への権利」実現に向けて青少年が役割を果たした場面は、目標を上回り、5ヵ国で368回を数えました。日本でも学生対象の講演依頼にはYEHが講師をつとめられるよう研修を行い、自主的に学校などで伝える活動をサポートしました。

Q. 貢献しているとは?

A. 社会や、特に同世代への発信力の強さなど、青少年の持つ特性を生かし、飢餓の終わりにつながる行動において、大人ではできない、または大人より大きなインパクトを起こしている状態です。

注釈

1.評価体制

ベナン支部は支部職員のコロナ感染の影響を考慮し、コンサルタント雇用による一部サポートを認めました。

2.DAC評価基準

経済開発協力機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)が1991年に策定以来、国際開発援助の評価の指針として機能。「妥当性(Relevance)」「有効性(Effectiveness)」「インパクト(Impact)」「効率性(Efficiency)」「持続性(Sustainability)」「一貫性・整合性(仮訳)(Coherence)」の6項目。

3.ウガンダの評価

ウガンダ支部は、事業の実施環境に大きな変更があり、同じ評価の枠組みでは成果の把握が難しいという判断で、活動地域の住民へのインタビューを通じて、主観ベースの評価としました。
インタビューでは世帯収入、栄養状態、自尊心など7項目について改善した、向上したとの回答が多数。例えば、HFWが融資した組合事務所の土地購入費の返済を全4組合で開始できるようになりました。1組合は2021年度で完済しています。


2022-2023年度の中期目標
2006-2015年度の中長期目標の評価