2022-2023年度の中期目標の達成報告 : 飢餓のない世界を創る国際協力NGO ハンガー・フリー・ワールド HUNGER FREE WORLD     

2022-2023年度の中期目標の達成報告

予断はゆるさないものの、おおむね攻めの事業の準備ができた状態に

"根本的な解決"に結びつく地域開発とアドボカシーの活動を2030年までに展開する準備期間と定めた2016年から2020年の中期計画。2021年に評価し、さらに2022年からの2年間を仕上げの期間としました。2023年までの2年で目標はおおむね達成。2024年以降の一部計画の前倒しもできました。しかし、物価上昇による経費増と円安が重なったため、2024年度以降の実施になった計画もありました。

【本部】2024年度から攻めの事業実施を実現する!

●手堅い事業実施 ●サステナブルな運営の実現と定着
(財政基盤の強化・規程類の再整備・ルールに基づく運営 ・活動の見直しと改善)
全68指標、74%達成

■海外での活動

目標:SDGs目標2「飢餓をゼロに」に貢献するプロジェクト、プログラムを実施
16指標 72%達成
支部の予算や規程、他部門との連携に関する5つの指標は100%達成しました。一方、新しい枠組みと原則に沿った事業の実施と、その経験を踏まえた開発事業ガイドラインの改訂に関する7指標は、次期中期計画の基本戦略策定と歩調を合わせ、60%程度の進捗にとどまりました。


■日本の活動

目標:収入の回復/ 「世界食料デー」月間の賛同団体の拡大など
8指標、68%達成
自己資金収入を2019年度の額まで回復させるという目標に対して、91%の結果でした。優先度の高かった収入の新しい柱の創出も同様に好結果に。一方、ホームページとSNSの活用といった指標は、部門人員削減に伴い、2023年の目標設定をやめ、達成度35%のまま進捗しませんでした。


■組織運営と管理

目標:よりよい組織運営の定着化 など
44指標、76%達成
規程の改廃手続き、採用ルールの改訂など、緊急性の低い指標では20%の達成率となりましたが、次期中期計画の土台となる指標はほぼ達成。認定NPOの取得、内部統制の強化、人事評価制度の構築、本部の規程や職務分掌の整備などは、一部予定を前倒しし、進展しました。

【支部】

1)地域開発事業 2)組織運営と管理 3)日本の広報活動の支援について、指標を設けていました

■バングラデシュ

住民が役割を理解し、スキルを身につけ、活動を軌道に など
全12指標85%達成 1)4指標82.5%達成 2)6指標80%達成 3)1指標95%達成
活動地ごとに組織された女性グループ連合会の能力が強化され、連合会は女性グループを支援する中期計画を立て、行政と連携しながら活動を進めました。青少年組織は世界食料デーイベントを計画、実施。事務所運営では、コンプライアンスなどに関して指標をほぼ達成できました。


■ベナン

食料安全保障改善の取り組みが、地元組織によって維持 など
全8指標99%達成 1)4指標99%達成 2)3指標100%達成 3)1指標100%達成
食料安全保障改善の仕組みを地元組織が維持するという指標は、子どもの栄養改善を実感した母親が97%で、ほぼ満点。事務所運営は、各種マニュアルの改訂や子どもと若者のセーフガーディング(CYS)の行動規範の策定と支部職員の署名など、予定の活動をすべて実施できました。


■ブルキナファソ

参加型開発を、段階ごとに検証しながら進める など
全14指標91%達成 1)9指94%達成 2)2標85%達成 3)3指標83%達成
新事業地で参加型手法を基礎に忠実に進めるという指標は、パイロット事業のドラフト立案まで終了。職員の能力向上は達成できました。食料安全保障の国への呼びかけは、政変により人々への働きかけへ変更。事務所運営は、外部監査導入を達成。CYSは行動規範草案まで完成しました。


■ウガンダ

安全で栄養価の高い食料と水へのアクセス など
全7指標76%達成 1)3指標50%達成 2)1指標80%達成 3)3指標100%達成
協同組合と水管理委員会の能力が向上。協同組合と組合員の収入を増やすという指標は、成果も出て、組合員数も増えました。一方、組合運営費の負担や市場拡大という協同組合の課題も見えてきました。事務所運営では、人事評価制度を構築し、CYSは行動規範を完成しました。


2016年に設定した、2023年末までにめざしていた姿(中期方針)

HFWは、長期ビジョンにある「根本的な解決」に結びつく地域開発(地域をつくる)とアドボカシー(しくみをつくる)の活動を、2021年度から2030年度の期間に展開する準備が、2020年度末までに完了している状態をめざしていました。
2021年に評価し、延長して2023年末までにめざすことにしました。

Q. 準備が完了している状態とは?

A.
地域開発では、社会的インパクトのある、飢餓のない地域(ハンガー・フリー・ゾーン)のモデルを創出するため、事業の知見を積み上げる。アドボカシーでは、「食料への権利」を実現する法を制度化し、2021年以降にその法の遵守に向けた活動を開始できるようにする。/"根本的な解決"に結びつく地域開発とアドボカシーを押し進める人材、特に若者独自の役割を活かす青少年が増えている。/社会から信頼され、安定感のある組織運営の基礎や次期中期計画の方向性が創られる。

2030年末までにめざしている姿(長期ビジョン)

多様化、深化する「食料への権利」を取り巻く課題を根本的に解決することができるよう、HFWは地域開発分野においてモデルとなる事例や自立した地域を創出している状態になります。

Q. 根本的に解決とは?

A. 飢餓が軽減ではなくゼロになり、維持されている状態です。HFWは、そのためには、HFW自身が活動地を広げ続けるやり方では限界があると考え、活動を集中してモデル地域をつくり、その好事例をさまざまな地域の行政や住民に採用してもらう構想を持っています。2030年以降は、その好事例を広める活動に注力できるよう、現在の活動地で、2020年末までに好事例を1つ以上つくり、2030年までにさらに増やし、経験を積み重ねます。

2016-2020年度の中期目標の評価
2006-2015年度の中長期目標の評価