2017.11.10 ウガンダ
トウモロコシと豆類の増産と付加価値をつけることで収入を向上。 3年間で1200世帯の栄養改善をねらう、大規模な事業を始めました
「法令を守るなど、組合をきちんと運営していってほしい」とスピーチするウガンダの通産協同組合省の協同組合局長
HFWは、ウガンダにおいて、2017年10月から3年間で最終的に1200世帯9600人の生活改善を行い、栄養向上につなげる事業を開始しました。2017年10月19日に事業の発足式典を開催。式典には、事業対象者となる協同組合員とHFW本部職員のほかに、来賓の日本大使や対象地区担当の国務大臣、また近隣の住民たちなど、約200名が参加しました。
事業の対象となるのは、HFWの活動地であるナッケデ区、ルグジ区、トゥンバリ・ルウェンウェデ区、カブンバ区の4つの協同組合員です。この地区は、いずれも90%以上が農業で生計を立てているものの、世帯の72.5%が月収10万ウガンダシリング(2017年11月現在為替で約3100円)で、ウガンダ中部の農村部の平均と比べても1/3に満たない状態です。この貧困地域においてまだ組合に参加していない、特に貧しい世帯も対象に含みながら、主要な食料兼換金作物であるトウモロコシと豆類の生産率を85%増加、対象者の年収を平均200万ウガンダシリング(現在最貧層の住民600名以上含む)に向上、などさまざまな生活の改善を目標に掲げています。
これらの目標を3年間で実現するため、HFWにおいては大規模な支援活動を展開します。
- 生産性を向上させるためトラクターなど農機具を整備する
- トウモロコシに付加価値をつけるため、4地区でトウモロコシ製粉場を建設し、製粉機など加工に必要な備品を配備する。
- 商品化された農作物を組合で販売するため、荷台付きバイクなど運搬用の備品を配備する
- これまで家賃として固定費がかかっていた組合活動の拠点となる事務所を建設する
- 各種設備や備品の管理、及び、有料でそれらを組合員以外にも貸し出しをするサービスを住民が運用できるようにする
- 組合員が適切に家計を管理できるよう、識字と計算の研修を実施する
- HFWの支援が終了しても事業を継続できるよう、組合の役職員に対して組合運営や有料サービスの運用に必要な能力強化の研修の実施
今回の事業費の多くを占める施設の建設や備品の提供などは、本来はHFWがあまり手掛けないハード面での支援です。これは、日本の国際協力NGOの事業に外務省が必要な資金を供与する、日本NGO連携無償資金協力によるものです。持続可能な開発目標(SDGs)のゴール1、2に該当するのはもちろん、日本政府が国際協力重点課題に挙げているアフリカにおける「質の高い成長」や「人間の安全保障」、ウガンダ政府の「既存の農民組織、協同組合、生産者組合の能力強化に集中しマーケティングと農産物の流通を強化する」という計画にも合致し、本事業が選ばれました。3年間の総事業費約9000万円のうち、8200万円が日本NGO連携無償協力の資金です。
単独では実施できなかった予算規模の大きなハードの支援を最大限、かつ持続的に生かすよう、HFWが得意とする住民の能力強化のプログラムをうまく投入して大きな成果を生み出していきます。
本事業の契約書に、日本の外務省とHFWで調印する
手作業での農作業は重労働のうえ、効率も悪かった(ルグジ区2011年)
対象地区には、土壁やトタン屋根、草ぶきの屋根の家も多い(ナッケデ区2009年)
Message from Uganda
私の協同組合は 、2013年に組合員50人で発足しましたが、今は163人に増えました。この事業を通じて、2019年末までに500人に増やすのが目標です。7人家族が、2部屋の草ぶきの家に家畜と一緒に住み、1日1食しか食べられない、そういう最貧層の住民にこそ参加してもらわなければいけません。まず働く意志を持ってもらうことが始まりです。
組合のセンターができることで、いままで固定費としてかかっていた事務所の家賃がいらなくなり、他のことにまわせることは大きいです。また、トウモロコシの加工を行うようになったら、病院、学校、行政に販売しようと話し合っています。個人では入札に参加できませんが、HFWのサポートを受けてすでに組合を法人化してあるので、入札ができます。私たちは一生懸命働いて、この事業を成功させます。
ブランバ・ヌワさん(トゥンバリ・ルウェンウェデ地区 協同組合長)
私も最貧層の人たちの組合加入が課題だととらえています。この地区で最も貧しい人たちは、組合は少しでも貯金ができる余裕のある人のものだと誤解しています。まず、この思い込みを変えていきます。そして、種の貸付などの具体例を出して、組合がいかに生活向上に役立つかを丁寧に説明することはもちろん、私は何より「相互の助け合い」を強調しようと思っています。また、私は経済状況の改善だけでなく、さまざまな研修により私たちの能力が向上することを期待しています。日本に行って、日本の協同組合の運営を直接見て、学びたいです。
チェユネ・ジョンさん(カブンバ地区 協同組合長)