畜産研修を通じて、女性グループと行政の対話を促進 : 飢餓のない世界を創る国際協力NGO ハンガー・フリー・ワールド HUNGER FREE WORLD     

活動レポート バングラデシュ

2023.09.01 バングラデシュ

畜産研修を通じて、女性グループと行政の対話を促進

   

地域の畜産局の施設で研修が開催できた

ハンガー・フリー・ワールド(HFW)が支援するボダ郡とカリガンジ郡の女性連合会は、特に貧しい女性たちを対象に畜産研修を実施しました。現代的な家畜の飼育法を学んでもらうことで、貧困層の収入を増やすことが直接の目的ですが、HFWとしては連合会の女性たちに、自らこうした学びの場を企画・運営する力を身につけてもらうことも重視しています。

研修は2023年5~6月、カリガンジ郡の花開く女性と子どもの福祉団体(BNSKS)と、ボダ郡のウィメン・エンディング・ハンガー (WEH)連盟によって行われ、計250人の女性が参加しました。これまで両地域のトレーニングは、主にHFWが運営を担っており、両連合会が主体的に実施するのは初めてです。
以前の活動レポート(女性グループ連合会が活動計画を立案)でお伝えしたように、HFWは住民への直接支援から連合会のへと活動をシフトし、地元の女性自身の手で貧しい人々を支える体制づくりをサポートしています。
研修では、女性たちは30~40人のグループに分かれ、2日間にわたって鶏や牛、ヤギの病気に関する知識や、予防接種の方法などを学びました。ボダ郡の研修では、成功した畜産農家2人が、体験談を語る場も設けられました。
参加者の多くはこれまで伝統的な方法で家畜を飼い、感染症などで家畜を失うこともしばしばでした。家畜の持ち主がワクチン接種などを進めれば、より多くの家畜を出荷できるようになり、収入増につながるとも期待されます。参加者はみんな、笑顔で研修を終えたそうです。

冒頭でご紹介したように、今回の研修にはBNSKSとWEH連盟の女性メンバーに、自分たちで研修内容を決め実行する力を身につけてもらう、という重要な狙いがあります。
HFWバングラデシュ支部の職員はこの地域の女性たちを「繭の中に閉じ込められているよう」だと表現します。外で仕事を探したり、商売をしたりすることに大きな制約があり、女性たち自身も外に出るのを恥ずかしがります。連合会のメンバーにとって直接行政官と交渉し、外出をためらう貧しい女性たちを説得して研修を受けてもらうことは、大きな挑戦でした。
研修を無事実施できたことは、連合会のメンバーに大きな自信をもたらしました。さらに、畜産局や行政機関の担当者との面識を得て、直接情報をもらえる関係性を築くこともできました。両連合会は、今後もキノコ栽培などの研修を計画しています。
HFWは連合会メンバーに対して、行政とのやり取りに関する助言を行ったほか、交通費や予防接種代など資金面もサポートしました。今後も地域が支援から卒業する日を目指し、コミュニティ内での支援の担い手づくりを続けていきます。

カリガンジ郡の女性連合会「花開く女性と子どもの福祉団体」のメンバー

ボダ郡の女性連合会「ウィメン・エンディング・ハンガー連盟」のメンバー

適切な時期にワクチンを打てば家畜を救えることなど、家畜を飼うのに役立つ知識をたくさん身につけることができました。きちんと予防接種を受ければ、鶏たちもコレラなどの感染症で死ぬことはなくなるでしょう。研修で学んだことを生かして高い値で売れるような家畜を育て、家計にも貢献したいと思っています。

モスト・レヘナ・ベガムさん(研修に参加した「花開く女性と子どもの福祉団体」メンバー)

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