住民たちで、地域課題の優先順位付けをしているときの様子
ガオンゴ郡のヴォセ村とワルドゴ村では活動のベースとなる調査も無事完了し、2024年3月より農業生産性の向上を目的としたパイロットプロジェクトを開始しました。そこまでの道のりをブルキナファソ事業担当の私、槌谷からご報告します。
実はこのプロジェクトは開始までに、どの分野にするかの決定が、一度白紙になった経緯があります。地域住民で構成されたチームによる実態調査を行ったところ、「水」「農業」「栄養」などさまざまな課題が浮かび上がりました。この結果を住民総会で発表し、最初の会議では「水」の問題に取り組むプロジェクトが良いのではないか、という結論になったのです。
しかし、私はその結論に少し違和感を覚えました。決定があまりにも早すぎるように感じたからです。その後、話し合いの内容を確認したところ、会議では地域の課題を確認することに多くの時間が割かれており、それぞれの課題の優先順位の検討が十分に行われていなかったことが分かりました。
そこで、支部職員と相談し、再度住民たちとの話し合いの場を設けることに。今度は、課題の比較方法を工夫し、基準を設けてそれぞれの課題を数値化しながら検討を進めました。 その結果、「農業」の方が地域のリソースをより活用でき、さらに緊急性が高く、成果が得られるスピードも速いことがわかり、「水」から方向転換し、最終的に「農業」の分野でプロジェクトを開始することになったのです。
現在、環境の変化に強い作物の種を購入し、栽培を始めています。これにより、生産性の向上だけでなく、栽培した作物を食事に取り入れることで栄養面の改善や、市場での販売を通した収入の向上も期待されています。
予定通りは危ない? プロセスと成果のバランス
なにもかも初めてなのに、うまくいきすぎている場合には、「住民主体」ではなく、HFWがやりたい、やれることを「忖度」してしまっている可能性もあるのではないかと思っています。そのため、今回のように行きつ戻りつしながら、住民の理解や熱意が伴っているかどうか丁寧に確認しながら進めることが大切だと考えています。
とはいえ、戻っているばかりで進展が見えないと、住民たちのやる気の低下や「少しずつしか進まないけど、このままHFWと一緒に活動していて大丈夫か…?」と疑念を持たれてしまいます。住民の信頼を得るための「見える成果」も大切です。ブルキナファソ支部職員がいつも苦労しているポイントです。
パイロットプロジェクトを通じて、住民たちにとってもHFWにとっても、「この住民主体のやり方でやっていける!」という自信とやる気があふれてくるような運営ができればと思っています。また次回のレポートで嬉しいお知らせが出来るよう頑張ります!
種が無事到着。どの種にするか、どの種会社から買うかについても住民同士で話し合い選定した
栽培場所を確認中。これからこの場所に種を植えていきます
私が報告しました !
槌谷保子 HFWプログラムオフィサー
大学生の時にHFWのベナン・ブルキナファソ担当インターンで国際協力デビュー。その後、外務省や国連等で国際協力・アフリカと関わり続け、15年ぶりにHFWに舞い戻ってきました!
マイブームは無添加おやつ探し&(たまに)おやつ作り。