新活動地で住民の信頼を得て 活動のベースとなる調査を実施中 : 飢餓のない世界を創る国際協力NGO ハンガー・フリー・ワールド HUNGER FREE WORLD     

活動レポート ブルキナファソ

2022.12.06 ブルキナファソ

新活動地で住民の信頼を得て 活動のベースとなる調査を実施中

キーパーソンを尊重しながら住民と対話を重ねる

新しい活動地としてガオンゴ郡のワルドゴ村とヴォセ村を選定したHFWブルキナファソでは、今年3月から両村にスタッフが入り、予備的な調査を始めました。
HFWでは、PAR/PRA(参加型アクションリサーチ / 参加型農村調査)の手法を使って、住民自らが課題、問題点に気づき、自分たちの力で解決できるように支援しています。住民とともに活動を始めるにあたり、まず地域とHFWの間の「壁」を取り払い、住民の中に溶け込む必要がありました。

そこで、具体的な活動に入る前に、以下の目標を設定しました。

① 新たに活動を始める村の人々と良好な関係をつくり、HFWの活動を理解してもらう。
② 村における子どもの健康状態、住民の栄養状態、食料の安定的な供給、持続的な食料生産に関する現状と、その背景を理解する。
③ 保健衛生や生活の向上に影響を与えられる、村のオピニオンリーダー、キーパーソンを見つけ出し、その周囲の人間関係やグループの相関図を作成する。

そのためにHFWブルキナファソでは、スタッフを両村に派遣し、合わせて3週間ほど滞在しました。村の住民と食卓を囲み、仕事を手伝い、宗教などの行事にも参加して会話を重ねる中で、村の日常を体験し、お互いの理解を深めるよう努力を重ねました。

両村の住民も外部から来たHFWスタッフによる家庭訪問を快く受け入れてくれました。HFWブルキナファソ地域開発部門の事業マネジャーであるウエドラオゴ・ジョエルは、このことを新活動地の特筆すべき特徴とし、次のように話しています。
「住民たちはもてなしの心で私たちを受け入れ、調査にも積極的に参加してくれました。村が抱える重大な問題を解決してくれると、HFWに寄せる大きな期待を感じます」

住民の協力もあり、雨季に入る7月までに支援のベースとなる社会調査を完了できました。11月からは地域住民で構成されたチームによる地域の実態調査が本格的に行われます。

ワルドゴ村にある調剤薬局を視察

2村の住民には2、3地区ごとに集まってもらった

ガオンゴ郡庁舎前の広場

HFWは私たち地域住民との関係を築く過程で、行政や地域の長老などを尊重してくれました。一人ひとりの住民ともきちんとコミュニケーションを取って調査を進めてくれたことに感謝します。スタッフが長期にわたって村に滞在してくれたことで、開発事業の実現に向けた信頼関係が生まれたと感じています。

ワルドゴ村 村長

ブルキナファソの新事業地選定が始まったのは、HFWの新しいビジョンとミッションができて間もなくのことでした。「飢餓のない世界というビジョンを実現するためにHFWが果たすべき役割は、人々と地域・社会をエンパワーすること!」という意見を表明してきたブルキナファソ支部が参加型アプローチを強く意識して新事業地での活動を開始したことは必然でした。しかし、現実は甘くないとはよく言ったもので、理論どおりには物事は進まない、車両は故障し天候も味方してくれない・・・この結果、こちらのページでお伝えしていた事業地の調査は、2022年12月30日まで休み返上で行われました。年明けの最初のミーティングで、どんなにか疲れているかと思いきや、スタッフは、こんな感想が住民から寄せられたと嬉しそうに報告してくれました「目指す地域の姿、そこにいたる道のりを、みなが同じように理解できていい方法ですね」。

細井なな(海外事業担当)

PARとは

ブルキナファソの新活動地で行われたPAR(participatory action research)とは、日本語では「参加型アクションリサーチ」と呼ばれ、対象者の参加や主体性を尊重しながら社会課題の解決を図る実践・研究です。従来の「リサーチ」が対象の観察に重きを置くのに対し、「アクションリサーチ」は改善を目指した働きかけを行う調査・研究。特に地域開発の分野では対象者が主体的に参加する研究や働きかけに発展したことから「参加型アクションリサーチ=PAR」と呼ばれます。PARでは、調査の計画段階から対象者が参加することで、外からの視点では気付きにくい課題が見え、自立を促します。
PARは、HFWのミッションである人々や地域の「エンパワー」の実現にも有効だと考えられます。そこで、HFWはブルキナファソの新事業地で、「住民自らが自分たちの未来に決定権を持つ」ことを目指してPARを採用。バングラデシュでは住民の女性のグループが自分たちの組織強化の活動を計画することを支援するなど、各国で住民の参加と主体性を尊重した活動を行っています。

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