マッピングで食料問題解決の糸口を探る!  フードシステム変革推進チームの活動に期待が寄せられる : 飢餓のない世界を創る国際協力NGO ハンガー・フリー・ワールド HUNGER FREE WORLD     

活動レポート 日本

2024.04.20 日本

マッピングで食料問題解決の糸口を探る!  フードシステム変革推進チームの活動に期待が寄せられる

 

2月26日 国連食糧農業機関(FAO)日比所長との意見交換会

日本の食を取り巻くしくみ(フードシステム)を変えることで世界の飢餓や食料問題の解決を目指す学生インターンチームである「フードシステム変革推進チーム(FSチーム)」の2年目が終了しました。FSチーム2期生の馬場が報告します。

今年一年の活動を振り返り来年度に活かすため、2024年2月末から3月にかけ、国連食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所の日比絵里子所長や、「世界食料デー」月間2023参加団体のみなさんに活動の成果を報告し、講評いただく報告会を2回開催しました。

FSチームはこの一年、前年の成果を受け、食料問題に関する課題や取り組みの「つながり」に着目。複雑に絡み合う課題の中から重点的に取り組むべきレバレッジポイント*を探すため、マッピングを活用しての分析に挑戦しました。

*働きかけを行なうことで多くの事象が解決するような、優先的に取り組むべき点(詳細は以下の事業概要をご確認ください)

報告会では、このマッピングの有効性やFSチームの活動について終了時間ギリギリまで多くのコメントや質問が交わされました。

例えば、民間企業対象のマッピングや食育への応用といった、今後のマップの可能性が広がるご指摘は、FSチームの活動の後押しとなりました。他にも、社会人・学生・主婦などのマッピング参加者の属性はデータの一部としてとても重要であるというご助言も、大変学びとなりました。報告会でいただいたご助言を糧に、データの分析と活用の改善を強化し、インパクトの強い活動を目指していきたいと、FSチームの熱意も高まりました。

1期生の調査から「つながり」をテーマとして、新しい手法「マッピング」に挑戦した2期生。3期生では、さらなる活動の拡大と定着を目指し、食料問題解決への糸口を切り開いていきます。

3月1日 「世界食料デー」月間2023参加団体のみなさんとの意見交換会

食料問題は非常に複雑です。マッピングという手法は、そんな複雑な問題をシンプルにまとめることができるとても良い手段だと思います。マップを完成させることにはこだわらず、どのように分析して活用するかが重要となってくるでしょう。例えば、社会全体が食料問題に関して高い意識 を持っているわけではありません。マッピングの対象者を、食料問題への意識が高いグループや低いグループ、どちらでもない中間グループなど、階層ごとに焦点をあてて分析すると異なるデータが取れます。 また、興味関心がまだ固定していない子どもを対象に行なっても、食料問題について考えるきっかけづくりとして効果的と思われます。 民間企業への活用もとても面白いと思います。企業は、営利と社会貢献を両立するために先鋭的な姿勢を持っています。民間企業やすでにある企業同士の連携をピックアップしてマッピングすると、興味深い視点が発見できるのではないでしょうか。 

 国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所 日比絵里子所長 

社会を変えるのは、発言者のパワーなのでしょうか。食料問題解決に向けて動かないのは、人々が食料の現状を知らないから行動しないのか?それとも時間がないから行動しないのか?など、提言は誰に行うのか考えないといけません。また、人は言うだけでは変わりませんし、動かないので、どうやって自分たちの影響力を高めていくかも大切です。 

特定非営利活動法人 Wake Up Japan 鈴木洋一代表理事

レバレッジポイントを見つけるまでに、すごく手間と時間がかかったことが伝わってきました。ただ、レバレッジポイントから提言につながるまでに具体性がないため、誰に向けて、どこで、どういうタイミングで提案するものなのか詰めていくとより良くなると思いました。 

せっかく見つけたレバレッジポイントを提案だけでなく仕組み作りなどさまざまな方向に活かしていくか、検討する余地があると思います。 

認定NPO法人ハンガー・フリー・ワールド 籠島康治理事

事業概要:FSチーム2期生の活動内容および意見交換会の詳細

期間:2023年4月1日〜2024年3月31日 対象地域:日本

【フードシステム変革推進チームとは】
フードシステム変革推進チーム(FSチーム)は、「食料への権利」を実現するために活動している国際協力NGOハンガー・フリー・ワールドの学生インターンチーム。
食料問題解決に向けたネットワークづくりを活動の中心に据え、食料問題に取り組む多様な団体のハブ的存在になることを目指して日々活動している。

参照URL:https://www.hungerfree.net/whatyoucan/volunteer/foodsystemteam/

【FSチーム2期生の活動報告および意見交換会について】
「誰もが、お腹を満たし健康な食事をすることで『食べる幸せ』を感じることができる世界」を目指して、FSチームが行なってきたアクションや確立した手段の有効性について有識者から客観的な意見を聞くために開催された報告会。

報告会の内容と流れは以下の通り:
・FSチームが目指していること
FSチームのミッションである「世界の食料問題をジブンゴトとして捉える仲間を増やし、市民一人ひとりが参加できる方法・きっかけを示す」ことの達成を見据えてメンバーが辿った変遷と今後の展望を説明した。

・FSチーム2期生の活動
食料問題解決に市民参加を促すため実施したワークショップについて。興味のある課題やとりくみについて聞くことでまずは主体的に食料問題について考えてもらう機会を提供しようと試みた。

・マッピングの概要と解釈
上記ワークショップにおいてキーワード(興味のある課題やとりくみ)を集める際にFSチーム2期生はマッピングという手段を採用し、人々から収集したキーワード同士の相関関係を考えて分析した。
具体的な方法は以下である。まず様々なイベントで行ったワークショップで完成したマップを統合した後、キーワードを配置し直し、重要なキーワードのみが残るようにそぎ落とした。そして最終的なマップ上で多くの相関関係で結ばれたキーワードをレバレッジポイントとして取り上げ、それを中心としてマップの分析と解釈を行った。

・マッピングから導いた提言
「安くて、安全でうまいものを求めている」「食を大切にする気持ちの薄れ」の2点をレバレッジポイントと特定し、フードロス啓発を行う際の新たな切り口を提案するための足掛かりとした。

・講評の時間
FSチーム2期生は報告を経て、自分たちの活動が掲げているミッションに即しているか否か、マッピングという手段の妥当性や更なる可能性についてなど、様々な角度からフィードバックを受けた。多様な意見が飛び交い、FSチーム2期生にとって実りある活動の集大成となった。

FSチームの具体的なアクションおよびマッピングについての詳細は成果資料よりご確認ください。