ミトンは、バングラデシュの食の現状と課題について、飢餓で兄弟を亡くした体験や現地の献立などを紹介しながら伝えた
HFWが実行委員会メンバーを務めるフードロス・チャレンジ・プロジェクト主催のシンポジウムが10月11日(土)、東京農大キャンパスで開催され、社会人、学生、主婦、企業、NPOなど68名が参加しました。
今回のテーマは「食の循環とつながり」の体感。食料ロス・廃棄問題が生じる背景には、食の生産の場と消費の場がかけ離れたことによる「食の循環とつながり」の分断があるととらえ、食べ物への感謝の気持ちや、食が結ぶ人と人、自然とのつながりを回復させるため、問題解決への糸口を探りました。
第一部では、東京農業大学準教授の上岡美保氏とチェンジ・エージェントの小田理一郎氏が食料ロス・廃棄問題の現状やフードシステムにつて解説。続いて登壇したHFWバングラデシュ支部事務局長アタウル・ラーマン・ミトンからは、既存のフードシステムによって引き起こされている課題と解決に向けた取り組みを紹介。バングラデシュで食料増産のために政府が推奨する大量に農薬と化学肥料を使う農業が、コストを押し上げ環境と健康に悪影響を与えていると指摘。安心して食べられる地域づくりのために、化学肥料に頼らず、地元にある資源や知恵を活用した持続可能な農業を推進していることを伝えました。Food Innovation Initiativeの菊池紳氏、トータルフードプロデューサーの平井巧氏からは、日本国内で廃棄される予定の農作物や食料を有効活用していく取り組みについてご紹介いただきました。
シンポジウムに続くランチでは、参加者が持ち寄ったフードロス予備軍の食材をシェフに料理してもらうサルベージ・パーティを体験。そして、午後の第二部では、塩、発酵、乾物、保存食の調理ワークショップと、食品の供給過程を疑似体験するビールゲームの5つに分かれ、手や身体を動かし、五感をフルに使って学びました。
最後に参加者たちが一堂に集まり、一日の学びの成果をお互いに共有。同じ問題意識を持って集まった人との対話は、大きな刺激となったようでした。
家庭で持て余した食材を参加者が持参、サルパの材料に。買いすぎた、使い方がわからないなど理由が記されている
乾物のワークショップで。匂いで紙コップの中身を当てる。さまざまな意見が出て答えが割れた。改めて自分の五感を研ぎ澄ます体験に
午前中のシンポジウムの間、子どもたちは食料ロス・廃棄問題を楽しく考える鬼ごっこゲームにチャレンジ
参加した方のコメント
話を聞きながら、生産の現場に身を置く農業体験が自分に欠けていると痛烈に思った。農業体験をしてみたいです
食料ロス・廃棄が多いことに衝撃を受けた。社会のシステムの問題もあるが、消費者である我々が求めた結果でもある。自分たちが一人ひとりできることから始め、周りの人も巻き込んでいきたい