2019.03.20 べナン
住民らがゼ郡庁に土地の管理組織設置を申し入れ、2ヵ月半で実現へ。ゼ郡全体の土地取引がスムーズになることが期待できます
ゼ郡長官に多くの住民の要望であることを伝えようと、78名のメンバーでホールを訪れた
2018年12月20日に、HFWの活動地を管轄しているゼ郡庁のタウンホールに、村長、4つの協同組合の議長、農家の人々、HFWの青少年組織YEHメンバーなど78名が集まり、長官に申し入れを行いました。2017年8月に改訂された土地法では、市長の命令によって各地域に土地管理委員会（CoGeF）と、各村に作られる下部組織の村落資産管理課（SVGF）を設置する、と定められているにも関わらず、未だにそれがなされていなかったからです。
この二つの組織は、ベナンの土地の取り引きを合理的、公正に管理する目的で設立されるはずでした。メンバーは、市議会の議長、市議会で選出された地区長、農民組織や女性団体の代表、農家の代表、その他地域の識者などで構成すると土地法には明記されています。これらの組織が機能しないことには、土地の取り引きができません。これまで食料を栽培する土地を手に入れたくても入れられない人や、不正な取り引きに巻き込まれて土地を失う人もいました。女性が土地を相続できることを知らず、不利な立場に立たされることもありました。そこで、HFWは当事者となる住民自身が自分たちの声をゼ郡庁長官に届けられるよう、アドボカシー委員会を組織しました。地域の発展のために力を尽くしている人や、コミュニティで影響力を持つ人、HFWの事業の協力者、他NGOメンバーなどから78名を選出。他NGOはアドボカシーのノウハウがあるところや、他の地域で同様の活動を展開できる団体を選びました。そして、事前に土地法について勉強会を開催し、準備をしてきました。
当日、ゼ郡庁のタウンホールに全員で行き、代表の3名が長官を前に、CoGeFとSVGFの重要性を伝え、設置するよう求めました。長官は、「みなさんの訴えはよく理解しました。CoGeFとSVGF は設置します。SVGFは2019年1月末までにゼ郡のすべての村でメンバーの選挙を行い、3月上旬までに設置します。そして土地文書の発行を始めます。それまでもう少し待ってください」と答えました。読み書きのできない住民たちもいるなかで、このようにきちんと土地法を理解し、長官としてやるべきことを思い出させてくれたことに感謝し、住民たちの行動を称えてくれました。そして、この時の約束どおり2019年3月7日に、CoGeFとSVGFが設置されました。このことによって、HFWの活動地だけでなく、ゼ郡全体の土地の取り引きがスムーズになり、土地を不当に失う農家や女性がなくなるなどの改善が期待できます。
代表の3名が、長官（写真右端）に要望を伝えた
Message from Benin
今回のゼ郡庁長官への嘆願を経験したことで、人前で発言することに対する恥ずかしさを払しょくすることができました。これで政策決定者に自分たちの声を届ける心の準備ができました。この経験は、HFWが将来撤退した後も自分たち自身で問題解決ができるようにするための、とても良い機会だったと思います。また、ゼ郡庁長官への嘆願の前に行ったシミュレーションセッションは、アドボカシー委員会メンバーの能力強化をするにあたり、非常に有益でした。この活動に参加したおかげで、土地へのアクセス問題に対する自分の理解が深まったと思います。また、アドボカシー活動を通して政策決定者に会い、自分たちの声を届けることで、自分たちが幸福になるための解決策を得られることがわかり、とてもうれしく思います。
アラダーグべ・エディスさん（幼稚園の理事でアドボカシー委員会メンバー）
このような活動に参加できたことは非常に喜ばしいことです。なぜなら、人々の栄養状態が改善され、彼らが「食料への権利」に気づくためには、農地へのアクセスが必要だからです。この活動をリードしてくださったHFWに感謝します。人々が自分たちで自らの声をゼ郡庁長官に届けたことにとても感動しました。正直なところ、ここまで成功するとは思ってもみませんでした。今後住民が自分たち自身でアドボカシー活動を展開していくにあたり、今回の活動が非常によい予行演習になったと確信しています。これからも、ゼ郡における私たちのアドボカシー活動に対するHFWのサポートに期待しています。
ドジヴォ・ザビーンさん（NGO職員でアドボカシー委員会メンバー）
