朝食会の開始前には紙芝居形式で栄養や衛生管理の重要性を伝えた
ベナンでは、約5年前から0歳から3歳までの栄養不良児155人を対象とした栄養改善事業に取り組んできました。近年の食料価格高騰にもかかわらず、2021年までに126人の栄養状態が回復しています。
この事業では、これまで栄養不良児とその家族を直接支援してきました。2022年はその支援を通じて培われてきた住民との協働の実績を土台に、「地域のアクター」と呼ばれる地域住民への支援が中心になっています。地域のアクターは、朝食会や栄養価の高い食材の利用を促す料理教室など、栄養改善事業で実働してきた地域住民。今後は、さらに地域のアクターの能力を高めることで、栄養改善事業が住民と行政によって継続し、拡大する体制を整えていきます。
2021年は、村長や地区長といった活動地のリーダーに向けた研修、栄養不良児の母親を対象とした「菜園グループ」の結成も進めました。
リーダー向け研修では、栄養バランスの取れた食事の大切さに加え、地域をあげての高栄養価作物の生産、各家庭へのサポートの重要さを説きました。その結果、自治体から2020年に4ヘクタール、2021年には1.2ヘクタールの用地の無償提供を受け、栄養価の高い地場作物の栽培が始まっています。
菜園グループは、これまで支援対象家庭に推奨してきた家庭菜園を発展させたもの。グループで取り組むことで、農作業を通して母親たちの相互扶助を促進でき、また、収穫した作物を対象家庭や地域全体が消費できるようになります。アマランサス(穀類)、オクラ、トマトなどを栽培する菜園グループが5つの村で誕生し、85名が栽培技術向上のための研修に参加しました。
今後は住民と行政が地域の栄養改善を継続できるよう、HFWは地域の課題の抽出や地域のアクターの能力強化に注力していきます。
支援対象児の母親たちがおかゆを調理し、子どもたちの栄養改善を実践
活動地のリーダーに対し、栄養バランスの大切さ、高栄養価な地場作物の重要性を伝える地域のアクター
菜園グループでは、研修で学んだ栽培技術を実践して野菜を育てている
Message from Benin
HFWの研修に参加し、村のすべての家庭で栄養バランスの取れた食生活を送ることが大切で、そのために住民と行政が協力することが必要だと気づきました。村の農家には、畑の一部を栄養価の高い作物の栽培にあてるよう勧めています。他の村のリーダーたちにも呼びかけています。
アンブロワーズ・メッセノンさん(ウェジ村 村長)
朝食会に参加したことで、病気がちだった息子が健康になりました。いっしょに朝食会に参加している母親たちとは、学んだことを家でも実践し、参加していない母親たちとも共有しようと話しています。
コジョ・アルムラディンさん(ウェジ村 栄養改善事業対象児の母親)
朝食会によって、地域の子どもたちの栄養状態は大きく改善し、食品衛生、バランスの取れた食生活、母乳育児などの大切さを母親たちに啓発できました。これからも地域のアクターとして、住民の参加を促し、朝食会を続けることを約束します。
ラリー・ロマンさん(ジョコ村 地域のアクター)